タブー視すべきではない日韓の「核武装論」”(産経新聞2013年7月6日、自由人の思索)

                                                     洪熒

 中国の習近平国家主席は、先月行われたオバマ米大統領との首脳会談で、日本の安保と関連して最重要懸案の一つである北の核問題について、北韓に核廃棄を要求し、核保有国として認めないと公言した。そして(韓半島の)非核化に向け、米中が協力を深めていくと表明した。

 だが、習主席は、韓国の朴槿恵大統領との会談(6月27日)では、(北韓の核武装に)対応する核兵器開発こそが東北アジアの平和と安定に脅威だとの趣旨の発言を行い、日韓を牽制した。そもそも、北京は「歴史的に「核を危険国家などに拡散させた張本人」といわれる。正常国家へ回生する見込みのない北韓にとって、核ミサイルは体制の生き残り、いや、わずかでも延命が期待できる最後の希望だ。

 北側がいま、どれほど切羽詰っているのかは彼らの行動に表れている。5月に日本から「首相の特使」を受け入れ、その直後には中国に特使を派遣。韓国に対話を提案しては自ら霧散させ、その5日後には、米国に高位級の対話を提案した。専門家らが目には、北の必死かつ、あわただしい行動はやはり「時間稼ぎ」に映る。

 そう。北韓は間もなく核兵器体系、核ミサイルを完成するはずだ。北の核兵器体系の完成は韓国に対する「軍事的絶対優位」と東北アジア地域の「途方もない不安定」を意味する。

 そして、北韓の核ミサイルで直接的、致命的な脅威にさらされるのは米・中でない。韓国であり、日本なのだ。それなのに日韓両国は問題の「解決」を事実上、米中に任せている。そしてこの両国は、どうやら「6者協議」の再開の方向で動くようだ。北韓が6者協議10年のうちに「核保有国」になったにもかかわらずだ。

 日韓は、米中に「自国の運命」を任せていいのか。この辺で自国の安保への致命的な脅威を自力で排除するための創造的対策を講じなければならないのではないか。

 歴史は、核武装した敵にどう対応すべきかを非常に分かりやすく教えてくれる。まずは、敵の核武装を物理的に阻止する。そしてそれに失敗したら、こちらも対応の核武装をする。外交努力で敵の核武装を防げた例はない。

 日韓では核武装論は長い間タブーだった。しかし、人類が第2次世界大戦後、2世代が経て世界大戦のない平和を享受できたのは、理性的に平和を維持し管理できたためでなく、大国間全面戦争を不可能にした核兵器のおかげだ。だから核武装はそれ自体が立派な不可侵協定ともいわれる

 元々、北韓という危険極まりない野蛮的封建体制が出現したのは、ソ連のスターリンが大戦後、占領地に衛星国家を作ったからだ。他のスターリン主義衛星国は東西冷戦の終結と共に消滅したのに、化石化した残滓のみが延命している。中国共産党のおかげだ。

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 中国は韓国を(米、日などとの)海洋文明から切り離し、自分の影響力の下に置こうとするが、韓国は中国が支配する文明秩序には入らない。歴史上はじめて享受する自由民主主義を放棄して前近代へ戻るのはあり得ないからだ。米国は前近代の圧力に対抗する同盟国の核武装を阻止するのか。同盟を抑圧するのが、海洋文明と米国の利益になるだろうか。

 韓国ではすでに約3分の2の国民が独自の核武装に賛成した世論調査結果も出ている。日本は中国の思惑通りその議論すらタブー視するのか。

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