李春根

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 金正恩が5回目の核実験を敢行した後、朴槿恵大統領は“金正恩の精神状態は制御不能”と言った。メディアも金正恩を‘核狂人’、そして、われわれはその狂人の前に‘裸で立っている格好’と現状況を描写する。既往の対北政策では北側の核を放棄させることが不可能で、そのため非常な対策を立てねばならなくなったという意味で金正恩を狂人と規定するのは正しい。だが、核兵器体系の完成を目指す金正恩の執拗な努力と戦略まで狂気の沙汰と見てはならない。金正恩の核開発努力は核戦略理論の真髄に従っていると見えるからだ。

 既往の戦略理論はどうすれば戦争で勝利するのかを苦心するものだった。だが、核戦略の理論はどうすれば戦争を回避、もしくは抑制できる(deter)かの問題に集中する。核兵器は実際に使うことで効用を求めるより保有する事実自体で効用を求める。使うと脅迫するだけで相手を屈服させるのが核兵器だ。

 多くの識者が北韓が体制維持のため核を作ると言う。間違った話だ。体制維持のためなら食べるのも着るのもできない核爆弾ではなく、パンや服を作るべきだった。北韓の夢は‘統一朝鮮民主主義人民共和国’を建設することだ。‘6・25戦争’を通じて米国と不倶戴天の敵となった北韓は、今も米国さえいなくなれば自分の望み通り韓半島を統一できると考えている。北韓は大韓民国を消滅させることに米国が介入できないようにするあらゆる方策を講じてみた。だが、米国は北側の執拗な不可侵条約、平和協定締結要求などを全部拒否した。米国は、北韓が大韓民国を破壊しようとすれば、韓国側に立つことを明確にした。

 北韓は結局、米国まで届ける核ミサイルを保有しない限り、韓国と単独で統一の一本勝負ができないと考える。米国が自国の本土に届く北韓の核ミサイルを真剣に悩むようになる日、北韓は事実上、韓国と1:1の統一のための決戦ができるようになる。著名な国際政治学者のハンス・モーゲンソーは“争う二つの国のいずれかの国は核武装をし、もう一つの国はそうでない場合、核武装していない国はオプションが2つになる”と述べた。一つ、日本がそうだったように立ち向かって死ぬ。二つ、戦わず降伏する。

 北韓の核戦略は‘決断’の瞬間が来たとき米国の韓半島介入を遮断して、“いくら悪い平和でも戦争よりまし”と考える人々が特に多い韓国を戦争もせず接収することだ。金正日はすでに数十年前に言った言葉がある。“首領様の代に祖国を統一するためには米国本土を撃てる能力を持たねばならない。そうしてこそ、安心して祖国統一の大事変を主動的に迎えることができる。”

 今、われわれに残された選択肢はあまりない。金正恩が核のならず者であることが判明した以上、イスラエル式の北核除去作戦、金正恩政権崩壊、米国の戦術核の再持ち込み、最後の手段である核武装などを深刻に考慮する瞬間がきた。大韓民国が金正恩の核に翻弄されながら生きるわけにはいかないのではないか。

 * 朝鮮日報2016年9月14日付に掲載されたコラムです。

http://blog.naver.com/choonkunlee/ 2016.09.16 18:17

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