国会が剽窃訴追状を作成し採決過程で適法手続きに違反したことを理由として弾劾を却下することで、憲法裁判所が内戦的状況をもたらす責任を下ろすようにと絶妙な忠告。

                                                       趙甲濟

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 金平祐弁護士の先週2月22日の憲法裁判での弁論は歴史的意味がある。朴槿恵大統領弾劾裁判の流れを変えた名弁論だっただけでなく政治的、歴史的、思想的側面を立体的に、人間的に構成した一遍の法廷ドラマだった。この重要な事案でこのような格調高い弁論が登場したことで、韓国法治の一線を画する作品で、刑事裁判のように進められてきた大統領弾劾裁判の格を高めたという点で勝敗を離れて幸いだった。ただ、裁判の終盤に出た弁論であるため結果にどう影響するかは未知数である点が残念だがこの裁判を事後的にも評価できる基準を立てた点で裁判官たちに心的負担を与えるようになった。

 この弁論を正確に理解するためには準備書面を読むことでは足りず、憲法裁判所の動画を見るのがよい。金弁護士は、憲法と法律の問題を誰でも分かるように平易に説明しながらも、完璧なバランスのとれた論拠を提示、弁論が美しい建築物のようだ。小説家の金東里先生の息子という点が改めて意味を加える。金弁護士は、法律が幾何学的美學を持っているという表現をするが、この弁論こそ政治、裁判、法律が文学や人生と会う場面だ。

 憲法裁判官たちも約二時間も続いた金弁護士の弁論を聞いて衝撃を受けたはずだ。大統領弾劾裁判を見る視野が広くなったのではないか。金平祐弁護士は、単任制大統領の罷免の可否を決定する憲法裁判所の審理を憲法的、政治的、歴史的な観点から幅広く、そして深く見ながら絶妙な代案まで提示する。

 金弁護士は、国会が独自の調査もせず、検察の捜査記録とメディアの報道を剽窃したように弾劾訴追状を作って、ただ1回の討論もなしに13個の事案について一括採決したことの違憲性を集中的に指摘し、憲法裁判所が国会の適法手続き無視を重要に扱わねばならないと強調した。

 “大統領弾劾事件は国会と大統領との権力衝突です。つまり一種の政変です。この政治的変乱を裁判官たちが判断するのが果たして可能かと疑問を持つ人も多いです。法の物差しで政治権力の戦いを判断することは裁判官たちにも大きな負担です。2004年、盧武鉉大統領弾劾事件時は審判の中間時点である2004年4月15日、国会議員総選挙があってその総選挙で盧武鉉大統領の弾劾訴追が選挙の最大争点となったが、盧武鉉大統領を支持するウリ党が圧勝したため、政治的観点では弾劾棄却という結論がすでに下されました。しかも、事件の内容も大統領の公開発言が公職選挙法違反だという比較的軽微な内容であったため、弾劾棄却が自然にできました。また、メディアも双方が均衡をなしました。したがって、憲法裁判所は重大性・違法という理論で妥協的判決を下して双方から歓迎される判決ができました。”

 “ところが、今回の弾劾事件は内容が複雑なうえ、770億ウォンの賄賂罪の成立可否が核心であるため事案が非常に深刻です(弾劾が引用されれば、朴大統領は検察に逮捕されて矯導所に行くことがほぼ確実です)。さらに、ロウソク示威と太極旗示威が激しい対立しているため、裁判官たちとしてはどんな結論を出しても激甚な反発に遭うのが火を見るより明らかです。ともすれば、憲法裁判所の存立自体が脅かされます。このようなジレンマ状況で、憲法裁判所が取るべき最善の道は、拙速な弾劾訴追議決の手続きを調査、判断して弾劾訴追議決自体を手順違反で棄却か却下することです。それだけでなく、法理上にも適法手続きの審理、調査を拒否するよりはこれを審査するのが憲法や司法の法理に符合します。”

 金弁護士は、憲法裁判所が権力闘争の結晶体である大統領罷免の可否を直接扱うことは非常に危険であるため、剽窃、拙速弾劾訴追をした国会の適法手続きの無視を理由として却下または棄却決定を下して、責任を国会に帰すべきだと主張したのだ。そうしてこそ憲法裁判所が権力闘争と国論分裂の中に巻き込まれて深刻な後遺症を抱える負担が避けられるということだ。

 彼は弁論を終えながらこう建議する。

 “この国の法治主義の最後の砦である憲法裁判所が、この事件の審判をめぐって極限的に対立、分裂されたこの国と国民を救い、憲法裁判所の存続と国民の信頼を得るためには弾劾内容の眞僞を調査する刑事裁判に入る前に、誰が見ても明白な国会の拙速処理を理由として弾劾決定を拒否し責任を国会に渡すのが‘蒔いた者が収穫する’、‘結者解之’の国民常識にも符合し正義にも合致する決定であることを信じます。わが国の法治主義のため切にお願いしながらこの準備書面を終えます。”

 国会が弾劾訴追案を処理した過程が適法手続きに違反したことは明白だが、憲法裁判所はこの部分は国会の裁量権に属するため当否を審理しないことにした。大統領側の弁護人もこれに同意した。金平祐弁護士はこの日の弁論でそう済ませる問題でないと粘り強く指摘した。朴槿恵大統領の統治行為に対してはそのような裁量権を認めず執拗に食い下がった国会に対して、憲法裁判所が裁量権を理由にして適法手続きの違法、違憲性を糺さないのは不公平だということだ。

 金平祐弁護士は韓国の弾劾制度の問題点を指摘し、だからこそ大統領弾劾に対する国会の適法手続きの遵守を糺す理由があると主張する。韓国は單院制であるため国会の暴走を牽制できないうえ、副統領がないため大統領に対する弾劾はそのまま選挙につながり、大統領単任制を揺るがすようになる。他国にはない弾劾訴追の議決で大統領の職務が停止される制度も危険だ。三権分立の大原則が揺らぐほど国会が有利だが、憲法裁判所までがそのような国会の肩を持てば国会の独裁化が可能になる。したがって、憲法裁判所は国会の拙速弾劾に利用されず、適法手続きの問題を厳格に糺して国会が大統領弾劾権を乱用しないようにする歴史的な先例を残してこそ韓国の法治民主主義を護り抜けるということだ。金平祐弁護士のこういう指摘は、今までどの政治家もどの政治学者もしなかった核心的問題提起だった。

www.chogabje.com 2017-02-26 22:56

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