洪熒・佐藤勝巳(201199)

 

 ソウル市長辞任

佐藤 日本では殆ど取り上げられなかったのですが、824日ソウル市で、学校給食費の無償化問題をめぐって住民の賛否を問う「住民投票」が実施されました。投票者は2157772人でしたが、有権者総数の3分の1に達しなくて、投票そのものが不成立に終りました。オ・セフン(呉世勳)ソウル市長は、約束どおり市長を辞任(826)しました。

ところが、新しいソウル市長選挙(1026)をきっかけに、従来の韓国政治の枠組を根底から変える激動が始まっているようです。学校給食無償化問題が、なぜソウル市長の辞任、そして既存の与野党を一挙に無力化させる「政変」にまで突き進んだのか。どんな政治的背景があり、来年12月の大統領選挙にどういう影響を与えるのか、教えていただければ有り難いです。ところで、呉世勲ソウル市長はどんな経歴の政治家でしょうか。

 

 弁護士から国会議員になって、ソウル市長は2期目でした。国会議員の時は、与党所属でしたが、イデオロギー的にはどちらかと言えばノンポリという印象でした。呉市長が変わったのはソウル市長2期目になってからです。

 

佐藤 契機は何ですか。

 

左翼の福祉ポピュリズムと戦わなければ国が滅びる

 昨年(2010年)6月の地方議会の選挙で、ソウル市議会の70%以上を野党、左派が占めました。左派は、早速、ソウル市の小学校の給食費を税金で負担せよと決議し、市長に実行を迫ったのです。

それに対し呉市長は、現在、既に貧困層の児童の給食費は税金で負担しており、全額負担にしたら、より緊要な教育予算を給食費に転用せざるを得なくなるので、それは出来ないと拒否し、左翼の大衆迎合政策と対立していたのですが、昨年の12月に市議会を掌握している野党は、3分の2の再可決をしたのです。 

呉市長は市議会の要求を拒みつづけたため、市政が麻痺状態になりました。そこで呉市長は、ソウル市民に直接意見を聞きましょうということで、野党・左派の「全面(即時)無償給食」か、市長の「財政状態を見ながら段階的無償給食拡大」かを問う住民投票となったのです。呉市長は行政の現場で、果てしない福祉ポピュリズムと戦わなければ国が滅びると素直に目覚めたのです。

 

佐藤 開票要件である3分の1になぜ届かなかったのですか。

 

選管の非中立

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 野党や左翼は、議会の決議が市民の意思の反映だとして、住民投票の必要はないと反対し、投票不参加を決めただけでなく、「悪い投票」への投票拒否を市民に呼びかけました。住民投票法では、有権者の3分の1が投票しないと開票できないことになっています。左傾化した選挙管理委員会は、野党と左翼の投票ボイコットの呼びかけを野放しにしたまま、市長の「投票しましょう」という呼びかけ(824日は住民投票日」写真参照)を「投票誘導に当る選挙法違反だ」として禁止したのです。

今ひとつは、投票日が平日だったことです。投票するためには勤務中に職場を無断で抜け出すことなど出来ず、早退や休暇という手続きを取らなければなりませんでした。投票日の決め方も市長には不利、左翼に有利に働くという著しく公平さを欠いたことも投票が規定数に至らなかった無視できない理由でした。

しかし、もっと重大な問題は、呉市長に反対する左派は投票自体を拒否したため、投票に参加する人たちの大多数が市長の主張の賛成者ですから、投票に行く者は市長への賛成派に見られ、選挙の原則の一つである投票の「秘密」が破壊され、全体主義社会を彷彿させる事実上の公開投票になったことです。その上、投票をボイコットしたはずの野党や左派は投票場に参観人として入って、野党や左翼に反対する有権者を把握、監視したわけです。つまり、「福祉ポピュリズム」に反対する有権者が心理的に圧迫感を感じる中で投票が行なわれたという、極めて問題の多い選挙でした。

今回のソウル市の住民投票は、現象としては「給食費の全面無償実施」か「市の財政を見て段階的に実施する」かというー地方の「給食福祉」をめぐる争いのような受け取り方がありますが、ことはそれほど簡単なものではありませんでした。野党や左翼は来年の選挙政局をいわゆる「福祉」で争点にしようとしたのです。

 

ばらまきは従属への道

佐藤 私の孫は東京都下の市立中学2年生ですが、給食費は月額5000円支払っています。ソウル市議会の給食無償化措置は、民主党の「児童手当」と同じ最も安易な大衆迎合で、カネをばらまき、票を集める愚民政策の最たるものです。

日本の現状は、政権担当者が赤字国債(借金)を発行して、自民党政権時代から国民にカネをばら撒き、有権者もばらまくものに投票して来ました。その累計赤字は900兆円、国民1人当り700万円という天文学的な借金です。借金は返済しなければ国家財政が破綻(はたん)します。返済するためには、景気をよくして税収を増やさなければなりません。その目途は全く立っていません。韓国も例外ではなく、株価が暴落、物価上昇を止めることが出来ないでいます。国家財政はピンチなのです。

日本の国債(赤字)は、日本の金融機関が買っていますから、日本政府は金融機関に対して、一定のコントロールが出来ます。しかし、韓国の国債は中国など外国資本も買いますから、政府のコントロールが効き難いのです。内政のばらまきは、健全な自由民主社会を破壊し、やがては外国資本の発言力を強める深刻な問題を内包しているのです。

 

 新しい政治の嵐

洪 さらに深刻な問題は、左翼は学校給食を税金から賄うことを「給食福祉」と呼んでいるのですが、これは序の口で、これから「無償シリーズ」が爆発しかねないことです。なんでもただみたいなことは、社会主義の真似、北の真似ごとなのです。そもそも社会主義に勝つために拡大させてきた先進国の「福祉」政策路線が、理性を失って大衆迎合になると社会主義そのものになりかねません。

実際、「全教組」(教員組合の全国組織)の核心勢力は、無償学校給食を「小ブルジョア家族制度の撤廃」と位置づけています。そもそもすべての生徒に画一的な食事を強いるのも野蛮ですが、左翼はそれを「福祉」という名で選挙に利用、革命を目論んでいます。

今、指摘があったように左翼の煽動に迎合すると、金融を通じて中国の支配を招く売国の道にも繋がります。「福祉ポピュリズム」を拒否した呉世勲市長の言動は、高く評価できる新しい政治の嵐の前兆と言ってよいでしょう。呉市長の今回の失敗はより大きな前進のための「投資」でした。

 

佐藤 ところで与党ハンナラ党は、このたびのソウル市の住民投票にどんな態度を取ったのでしょうか。与党が首都で動けば、こんなことは起きないと思われるのですが。

 

左翼と同じ朴槿恵氏

 一言でいうと、ほとんど傍観です。特に朴槿恵系は呉ソウル市長を批判しました。理由は、大衆におもねって票を集めるという点で左翼と同じだからです。国家財政がどうなるか、統一のときの資金をどうするかなど全く考えていません。頭にあるのは、来年4月の総選挙で自分が当選できるかどうかだけです。

真実を訴え、左翼の出鱈目さ加減を暴露し、呉ソウル市長のように戦うならば勝利する筈なのに、逆にばらまけば当選できると思っているのです。大統領候補として最も有力視されている朴槿恵氏は、呆れたことに「住民投票はソウル市の問題」であり、われ関せずと言い放ちました。彼女は10年前に北を訪問してから、金正日批判を一切しなくなりました。韓国の愛国保守勢力は、左翼と戦うソウル市長を支援しなかった朴槿恵と与党ハンナラ党に嫌悪を感じ、今まで朴槿恵を支持した多くの人々が彼女から離れました。

 

佐藤 ところで、左翼はいつからソウル市議会を3分の2占めるようになったのですか。

 

金正日独裁政権と戦わない李明博

洪 ソウル市議会を野党・左翼が席捲したのは、昨年62日の統一地方選挙でした。選挙間近の3月に、北側が韓国海軍の「天安艦」を撃沈して47人の海軍兵士を殺したのに、李明博政権は、金正日に断固とした報復もせずにうろたえているうちに、金正日体制を庇ってきた野党や左翼勢力に起死回生のとんでもない煽動を許してしまったのです。

つまり、親北勢力は地方選挙で、南北間にこのような緊張状態を作り出したのはハンナラ党と李明博政権の対北強硬政策にあるのだから、「ハンナラ党候補への投票は戦争に繋がる。左翼への投票は平和への道」と、戦争を恐れる有権者を巧みに組織したのでした。その結果、首都ソウル市の議会を明け渡すことになり、「給食費無償化」という大衆迎合となって現われてきたのです。

要するに、李明博とハンナラ党は執権3年半が過ぎた今日まで、金大中と盧武鉉政権が10年間、反憲法的活動を行なってきた人達を李明博は、言論界なども含めて排除するのではなく、広く登用してきたことです。その結果、左翼は力を温存し、ソウル市議会を占有するまでになりました。

大統領という合法的権力が与えられているのに、その権限を行使せず左翼を野放しにしたことが、逆に左翼にやられるという深刻な事態に直面しているのです。

 

愛国勢力の統一候補に

佐藤 天安艦を撃沈したのは金正日なのだ。左翼の言い分は、李明博政権が金正日の気分を害したから緊張状態が起きた、という「奴隷の平和」論そのものです。こんなインチキな親北左翼の煽動を粉砕できずにソウル市議会を彼らに占拠されたのです。その根本的な理由は、「中道」「国民融和」などという観念論に毒され、左翼と戦う勇気がなかったからです。このような事態を招いたのは、ハンナラ党と李明博大統領の自業自得です。                                                                                                                  

だが、愛国保守勢力にとっては「不幸中の幸い」ということが言えるのではないか。日本ではハンナラ党が韓国の保守勢力と理解している人が多いようですが、それは誤解であることがますますはっきりしたことです。

もう一つ、来年末の大統領選挙で愛国保守勢力は万難を排して呉世勲氏のような候補で一本化すべきではないでしょうか。韓国の愛国保守勢力は大統領ポストを握れるかどうか、天下分け目の戦いになって来ましたね。

 

未来を切り開く「福祉ポピュリズム」との戦い

 非常に厳しい状況です。実は、呉市長が辞任した直後に、呉市長を辞めさせた「無償給食」の張本人である郭魯炫ソウル市教育監(教育長)が、去年6月の教育監選挙で、左派の有力候補をおカネで買収していたことが発覚しました。郭の候補買収はあまりにも重大な選挙犯罪ですから、今週末にも逮捕されると見られています。これは左派には致命的で、ハンナラ党にとって絶好の材料なのに、李明博とハンナラ党は1026日のソウル市長選挙をめぐって主導権を握れないでいます。逆に、野党でもない朴元淳という骨の髄までの左翼と、ソウル大学融合科学技術大学院長の安哲秀という左翼煽動家に押されています。

メディアや教育、そして「文化権力」を掌握した左派の長期間の組織的な宣伝・煽動によって、普通の有権者や庶民は経済や暮らし向きにばかり関心をもち、「福祉ポピュリズム」を振りかざす左派煽動屋の餌食になり易いのが実態です。

「福祉ポピュリズム」の誘惑を拒否して住民投票に参加した215万人のソウル市民(全有権者の25.7)に象徴される韓国の健全な愛国勢力が、北韓解放という未完の自由民主主義革命を成し遂げるためにも、反逆的従北勢力はもちろん、現状に安住しようとする一切の既得権勢力の打破のために決起すれば、韓国は未来に向けて前進し続けられると思います。そのための動きが活発化しています。

 

洪熒 桜美林大学客員教授

佐藤勝巳 ネット「現代コリア」主筆

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2011
722日、民団中央本部を訪問した李正姫を歓迎する黄迎萬議長。

在日民団が憲法に挑戦する違憲・従北政党で金正日の手先である南韓労働党を歓迎した。反国家団体である韓統連の招待で訪日した民労党代表、朝総連を庇護してきた民労党の代表を歓迎したのは民団の歴史に残る汚点、恥辱になるはずだ。従北・反逆勢力を歓迎するこの1枚の写真は2011年7月現在の民団中央本部の理念的座標や体質を物語る。

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洪熒

最近、韓国キリスト教界に影響力の強い外国人牧師が、教会の集会で平壌の「金氏王朝」の世襲を認め、特に金正恩を祝福する言動を公然と行った。この衝撃的な事件は各種スキャンダルなどで揺らいでいる韓国キリスト教会のアイデンティティに改めて疑問を投掛ける契機になっている。

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韓国「イエス伝道団」の創始者である米国人・デイビッド E. ロス(韓国名;オ・デウォン、呉大院、76歳、*左写真)牧師は、先月の623日、韓国屈指の大型福音主義教会であるオンヌリ教会(河用祚担任牧師)が主催した「マリア行伝」という女性伝道者たちのための集会(ソウル)で、「北韓の金正恩がイスラエル歴史の中の『ヨシヤ王』のようになれるよう神
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様にお祈りしましょう」と
3,000人ほどの参加者に求めた。その場にいた参加者たちによれば、オンヌリ教会(右写真)は、ロス牧師のこの許せない反キリスト教的発言を公式的に問題にせず公開しないまま引き続き他の宣教集会にも講師として招いている。

ロス牧師が金正恩を祝福するため比喩に引き出した『ヨシヤ王』(紀元前640年即位)とは、ユダ王国歴史上イスラエル人の神様への信仰心を復興させたもっとも優れた王の一人として旧約聖書に記録されている人物だ。

ロス牧師は、26歳だった1961年に宣教師として韓国へ派遣されてから『イエス伝道団』を作り、アメリカの『ユース・ウィズ・ア・ミッション』(YWAM、世界青年宣教会)と一体になって活動中だった1986年、政治的活動を理由に韓国から追放された人物だ。

彼はアメリカへ帰ってから在米韓国人2世たちの「霊的(意識化)訓練」と「対北宣教事業」に集中してきた。在米韓国人社会では、彼がシアトルを根拠地として全米の韓国人教会(現在約4,000箇所)の親北化を目論んでいる張本人で、彼の影響力によって年間少なくとも数千万ドル以上の巨額の献金が金正日体制に流れているはずと言われてきた。

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金大中・盧武鉉の左翼政権以来、韓国の宗教界は人道支援を名目に対北支援を拡大してきた。だが、キリスト教界の場合、「平
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壌科学技術大学」(*左写真)を建設した「所望教会」の郭善煕牧師や「心臓専門病院」を建設中の「純福音教会」の趙鏞基牧師をはじめ、いわば“韓国クリスト教左派”による金正日体制への支援は、韓国社会や教会に葛藤と分裂だけをもたらした。特に、多くの教会や信徒がキリスト教を抹殺した金正日体制への支援に出たのは、親北政権による「太陽政策」のせいもあるが、より根源的な背景には悪魔的世襲独裁への批判意識を封鎖し、麻痺させるための対南工作に加えて、キリスト教左派による長い間の周到な工作があったと専門家たちは指摘する。(*右写真は「平壌科学技術大学」内の「金日成永生塔」)

今韓国でもっとも注目されているオンヌリ教会や愛の教会など目覚しく成長しつつある教会らが、ロス牧師の根拠地であるYWAMなどのいわゆる「新使徒運動」に寛大である。特に50年に及ぶ韓国への宣教活動を通じて築いた一種の「カリスマ性」を持つロス牧師のような人物を統一関連集会に講師として招待することが、教会内で従北勢力を拡散させる大きな要因になっている。

ロス牧師が国際的規模で主管する「新しいコリアに尽す働き手学校(NKSS)」の親北性を暴露した参加者もいたが、ロス牧師は先週(712)、シアトルでのあるインタービューで、余生を北韓で送りたいとも言い放った。

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(佐藤勝巳・洪熒対談)

 

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佐藤 金正日が、520日から27日まで訪中しました。今回もまた「恒例化」したあの大名行列の列車旅行でした。延べ5000キロ以上ですから中国側は警備などで大変なはずです。中・朝両方は、いったい何を考えてあんなことを今やっているのでしょうか。

 

介護人が常時必要

 金正日は2000年以降7回も訪中し、今回と似た視察・遊覧コースも列車で何度も旅行しました。父・金日成の真似かも知れません。内外のメディアの報道では、あれだけ長い旅行ができたのは金正日の健康が回復し、北の内部状況も安定している証拠だ、などの解説もありました。

ご指摘の通り金正日の「恒例化」した中国列車旅行は、いわゆる「中朝関係の特殊性や親密さ」の象徴のように言われがちですが、私はこういう列車豪遊こそ、金正日と共産独裁体制の前近代性、そして北・中国関係の不健全さを物語っていると言いたいです。

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いずれにせよ、去年の天安艦テロ攻撃以後3回も訪中とは尋常でありません。そして今回の訪中では、金正日体制の問題点が非常に分かりやすい形で現れたような気がします。そのヒントが金玉の然りげない登場、いや彼女の存在と役割の誇示です。

金正日の列車豪遊に女性同伴は付き物ですが、今までは公にはしませんでした。だが今回は同伴女性が金正日の車にも同乗し、そして中国側が設けた公式晩餐会ではフアストレディー並みの待遇です。金玉の存在と役割は、北の内部では決して人民にまでは知られて欲しくない問題の筈です。

 

佐藤 確かに今度金玉の存在と役割の誇示は注目に値します。絶対権力者の直ぐそばに座れる、位置できるのは、いろんな情況によって違ってきますが、普通の正常な情況では奥さんか序列第2位の人物です。ただ、安全のための警護責任者や、公式会談での通訳や秘書、病人なら主治医や介護人が直ぐそばで世話をします。金玉の今度の登場は、どうも介護人としての役割と北の内部の複雑極まりない政治的事情が反映されている気がします。今の北朝鮮が政治的にそれなりに安定しているという大勢の見方は、まったく間違っています。

 

 金日成死亡後、金正日では体制維持は難しいという予想が支配的だったが、現実には体制を維持しました。だから、金氏王朝の体制不安定説には二度と騙されるまい、というのが多くの専門家の気持ちなのかも知れません。同時に、「現状固着」を望む北の特権階層が、特権を維持するために、また南の親北左翼勢力も、金正恩への順調な権力承継を意図的に流しています。

 

 情勢の変化

佐藤 内外の情勢はめまぐるしく変わっています。この変化をどう捉えるかです。金正日は先月の中国訪問で、今までかたくなに拒否していた「6者協議」の再開に同意しました。ところが、中国から帰ってから南北間の秘密接触を暴露し、李明博政権を激しく非難(61)します。

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中国のもくろみは、天安艦爆沈と延坪島砲撃がもたらした「日・韓・米の結束」を崩すため「6者協議」の再開し、その前提として南北関係の緩和を推進しようとしていた筈です。南・北韓の秘密接触(59)は北京で行なわれたのですから、中国は知らないはずがありません。それを金正日が暴露して、つぶしにかかっているのです。この豹変は中国への不満なのか、平壌政権内での権力争いの結果なのか、極めて注目される現象です。

 

 0.1パーセントの富裕層

 長い間北を観察してきた専門家、特に北の軍を観察研究した専門家によりますと、今北で何の不足なしで贅沢な生活のできる人口は最上層の23万人だそうです。つまり人口の0.1パーセントは中国の中流以上の生活ができ、残りの99パーセントは体制に依存することなく、独自に生活の糧を手にしているということです。

つまり、金正日・金正恩が物質的に世話できるのは23万人にしか過ぎないため、最上部の0.1パーセントを含めて国全体が統制が利かなくなってきています。 だから、北の住民が警察(人民保安部)の言うことをきかなくなり、特に餓えている軍人たちを抑えられずに治安が悪化しています。そのため、今年(2011)3月に、その責任を問われて周相成人民保安部長が解任され、「国防委員会」行政局長の李明洙(*「人民軍総参謀部」の作戦局長出身)が後任に充てられました。

また、軍隊でも、軍を取り締まる総政治局長のポストが趙明録の死亡(201011)後未だ後任が発表されていません。軍も核ミサイルを持ったものの、食糧をはじめとするあらゆる補給が途絶えています。そのため末端の兵士は栄養失調になり、部隊の士気が落ち、敗北主義に陥っている。これらの回復は、金正恩を取巻く将軍たちの急務であり、こうした現状が、金正恩時代を担う「新軍部」が対南挑発に走る背景と見られます。

 

佐藤 コップの中に水と油を入れると、水より軽い油が水と分離されて浮きます。平壌居住者を含むその油の部分がそもそも北の「核心階層」でした。ところが、この「核心階層」にも配給が届かなくなり、今や市場勢力の成長で9割以上の水の部分は、油と関係ない世界で生存しているということですね。金正日政治の核心をなす軍にも食糧が行きわたらないで、総政治局長人事も決まらないということは“安定”などとは程遠い状態ですね。

 

 南北秘密接触の暴露

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 金正日体制が安定どころでない証拠が、6月1日の「国防委員会」による南北秘密接触(59)の一方的な暴露です。そもそも「唯一指導体系」の個人独裁では南韓との秘密接触を進めるのも、また、それを中止、暴露するのも金正日の批准(サイン)が絶対必要です。

周知の通り、北側は金日成時代から労働党の統一戦線事業部がその対南工作の戦略戦術全般のコントロールタワーとして「首領」を補佐しました。

それが2009年に人民軍に「偵察総局」ができてからは、統一戦線部が南北関係においての企画統制機能を失っています。金正日が健康なら偵察総局をコントロールできたでしょうが、病床にあって3男に権力移譲を急ぐ状況では、先軍後継体制の前で統一戦線部が無力になるのも当然です。

天安艦撃沈と延坪島砲撃、そして南北秘密接触の暴露は、金正恩後継を支える「新軍部」の、従来の統一戦線部(の遣り方)への不信や不満の爆発という側面もあるでしょう。現に、既に金正日には南北首脳会談のための気力などありません。だから、略奪に頼ってしか生きようのない「パルチザン伝統」に忠実な偵察総局や「新軍部」は、力で南韓を脅かし屈服させようとします。問題はソウル(李明博政権や親北左派)がこういう事情が分かっていないことです。

この時期に、介護人(金玉)に支えられての5000キロの大名旅行を通じて、金正日は、自分が判断力の機能しない病気の老人、裸の王様であることを、自ら行動で示しました。そもそも今回の訪中は病気の老人の気分転換の目的から始まったのではないでしょうか。

極端な個人独裁の唯一指導体制で、その「首領の脳髄」の機能不全がどういう結果を招くかが危機管理の次元で注目すべき点です。

 

 市場経済にあくまでも抵抗する金正日

佐藤 金正日を支えてきた側近達は、正恩時代が来れば現職に止まれない。現に金正日と一緒に記念写真に写っていた軍幹部達の顔ぶれが大幅に変わってきています。内部で世代交代(権力交代)を進めつつ、逆に独裁体制を維持し、23万人が身を守るという政治力学が働くことは軽視出来ない問題だと思います。

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しかし、金正日に権力が世襲された時と決定的に違うのは、国内外的の安定度です。もちろん、今の北が直面している苦境は金正日自身が招いたものです。洪さんと私の対談で今まで何度も指摘したことですが、住民の90%が“市場”を利用し生きて15年以上経過しています。実態として、初歩的な市場経済化が進行しつつあります。あれを「力」で押さえつけることは多分無理かと思われます。言葉を替えて言うなら、北朝鮮は中国経済圏に既に組み込まれているということです。

 

洪 人民は生存闘争を通じて市場経済を体得しているのに、金正日と労働党は依然として「黄金坪特区」だの、「羅先特区」だのと、他人のものをただで貰う工夫ばかりの卓上空論で終始しています。新義州が毎年ちょっとした雨にも浸水するのに、あの中州をどうするというのか。丹東地域の開発もまだ完了していない中国が、ライバルの経済特区などを本気で支援するでしょうか。

政治的に不安で経済論理が機能しない所に投資することなどあり得ません。中国が「羅先」地域に持つ関心は経済だけでありません。表に出しているのは経済ですが、裏は軍事です。

 

安い安全保障費

佐藤 いまひとつは中国の動向です。北のトップが中国の言うことを聞く限り、面倒を見ると言うのは、中国共産党としては、北の独裁体制が崩壊し、自由民主主義が中国と国境を接する事態だけは何をしてでも阻止する戦略です。そうでなかったらこのご時勢に、中国領土内5000キロを金玉との「新婚旅行」まがいに汽車で走るなど馬鹿馬鹿しいわがままを認めるはずがありません。中国の安全保障費と考えているからです。それなら安いものです

 

洪 中国としても金正日の豪遊は気まずく、国際社会に対して恥ずかしいかも知れませんが、中国が描く戦略に金正日を利用できれば、実用的な対応として合理化できる筈です。しかも、若しかしたら今回は、金正日が生きているうちの最後の訪問になるかも知れませんから。でも、中国共産党の実用的な寛大な待遇こそが、金正日を窮地に追い込んだ結果になるかも知れません。

 

 金正日の説明責任

 つまり、金正日は世界に向けて、少なくとも北の人民に向けて死ぬ前に、今まで「わが民族同士」を闡明しながらも、なぜソウルとの対話を拒否し、頻繁に中国に物乞い出向いたか、また国内では今まで決して公にしなかった「妻」を中国で先に公開したかとう事情を 説明する責任があります。金正日の女性パートナーは、本来ならば北の国の「オモニ(お母さん)」の筈だからです。

 

金玉同伴の意味

 話を戻しますと、なぜ金玉を中国に公式同行させたのかということですが、金玉こそ今のところ平壌の複雑な事情を解くに欠かせない存在と見るべきです。平壌の権力地図は、金正恩が後継者として登場する過程で激変しました。金正日の旧友とも言われた呉克烈などが第2線へ後退し、組織指導部の李済剛第1副部長が「交通事故」で殺されるなどありましたが、誰々が銃殺されたとか、北からの血なまぐさい消息はこれからも続く筈です。

今のところ、金敬姫(金日成の長女)大将を頂点にする「白頭山筋」が、金正恩の後継構築を支えるという態勢です。これまで粛清された幹部らはこの構図に抵抗したか邪魔になると見なされた者です。金玉が病弱な金正日を介護しながら金敬姫を支える役割を自任したとすれば今回の訪中での彼女の行動は説明がつきます。

 

佐藤 独裁者が権力を肉親に譲るとき、側近達の権力争いが起きるのは当然です。金日成から金正日の世襲のときも起きました。今、同じことが進行している、ということなのですが、独裁政権の側近達にとっては死活問題なのです。

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要するに金正日の数多くの女の中で、金玉が最終的に金正日のパートナー(同業者)になり、後継問題まで絡んだ。だから、金正日は金玉を同伴し、金正恩の真の後見勢力である中国共産党指導部に挨拶披露したと解釈できますね。

いずれにせよ、諸悪の根源である中国共産党が支える限り、金氏王朝の暴圧体制の本質は何も変わらず、独裁体制の暴走は続くということです。

 

 新しいテロリズム

 この中朝の独裁同盟の挑戦に直面している当事者の韓米同盟と日本は、北の非常に不安定な末期的状況をどう管理、対処すべきかが問題です。特に金正恩の取巻きの「新軍部」の権力基盤の不安さが、これから対南挑発を激化させるのでは、と予測されます。

北のこれからの対南挑発はいろんなことが考えられますが、後見人である中国の立場などを勘案すると、原爆の追加実験よりはサイバー攻撃を加えたテロの可能性を警戒すべきだと思います。特に北側はここ数年、韓国に対し大胆なサイバー攻撃を繰り返しています。

最近、米国防部がアメリカの国家基盤システムなどへの国家的意思によるサイバー攻撃は戦争行為と看做して軍事力で即時報復すると闡明しました。これは、戦場が従来の陸・海・空から宇宙へ、そしてサイバー空間に拡大したのを反映しての対応です。つまり、高度の産業インフラを整え、金融やサービス業などが発達した先進国ほど、北のような大規模のサイバー部隊を持つ後進的敵対勢力の攻撃にもろいためです。アメリカの新しい戦略は、同盟国へのサイバー戦争攻撃に対しても当然即時報復になると思います。

こういう安保脅威が増しているにもかかわらず、韓米連合軍司令部を2015年まで解体するという韓国の国防政策はどう考えても愚かです。

 

佐藤 金正日の死と金正恩への権力世襲は単なる承継でありません。東アジアの「平和と安定」への重大な挑戦です。そう捉えなければならないのに、わが国の政治はうつむきに終始、権力闘争に明け暮れています。金正日が拉致を認めているのに取り返すことが出来ないでいます。本当に情けない話です。日・韓には、アジアに残されている前近代性と独裁を打破すべき責務があると思います。(2011.06.12)

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 佐藤勝巳・洪熒(2011.05.26)

 

佐藤 大型連休最後の58日、日比谷公会堂(東京千代田区)で、拉致救出の全国集会に参加されて、どんな感想をもたれましたか。

 

 訪朝発言の背景は何か

 国民の関心か東日本大震災に向いているとき、 主催者発表1300名も集まったのですから、よかったと思います。集会では、寺越さんを拉致被害者に認定しない政府の態度や、1年半の間に拉致担当大臣が4人も変わったなど批判もありましたが、日本政府が人権啓発基本計画に拉致問題を入れることを決定したという、肯定的な動きも報告されました。

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救う会は(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)、北側が拉致被害者の消息について「調査のやり直し」の約束を履行していないことを理由に政府に対北追加制裁を強く求める決意を内外に示すために、拉致3団体と特定失踪者調査会が一緒にデモ行進(65日の午後)を宣言しました。金正日政権をテロ国家に指定せよ!という主張も出ました。

ところで、拉致議連の平沼赳夫会長が、家族会の要請によって「拉致解決のためにピョンヤンを訪問する用意がある」と発言されたので、一瞬「え、何だ、何か北から接触でも始まっているのか」と驚きました。あの発言の背景になにがあるのでしょう。

 

訪朝発言はアドバルーンか

佐藤 「救う会」の動向は、メールニュースしか読んでいませんので全く分かりません。一般論で言いますと、今まで北が、何か日本に動きかけをするときは必ず水面下で、事前に「工作」がありました。平沼赳夫議連会長に工作が始まったのでしょうか……。

いや、それは考えにくいことです。議連の主要メンバーは自民党、民主党、公明党、立ち上がれ日本などですが、『訪朝』となれば、それぞれの政党の思惑が絡んできますから、議連内で合意を得ることは簡単ではないはずです。何よりも議連に外交権もおカネもありません。そんなところに北が接触してくるとは思われません。

あくまでも推測ですが、力不足の菅直人政権にとって、福島第1原発放射能汚染と東北大震災復興に精力をそがれ、拉致どころではない、というのが現状ではないかと見ています。国民の関心は拉致より放射能汚染や大震災復興に集中しています。まさに拉致は忘れられる存在になりつつある中での平沼会長の『ピョンヤン訪問』発言は、菅政権攻撃と国民の関心を呼ぶためアドバルーンだったのかも知れません。

 

説明責任

洪 それにしても不可解な話です。平沼議連会長は、「家族会の要請により」と集会ではっきり言いましたが、日本政府の基本方針は、拉致救出はもちろん、核、ミサイルの三点の一括解決が対北関係回復の前提条件でした。平沼会長と家族会は、拉致を、核とミサイルから切り離して優先解決せよと言っているようにも聞こえます。これは非常に重要な点ですが、日本や東アジアの安全保障問題から拉致救出を切りはなし解決するというのかどうか、家族会、「救う会」、議連は、説明する責任があるのではないでしょうか。

 

救出できない理由は何か

佐藤 家族会の幹部の中に制裁だけではなく、話し合いも重要と考えている人がいることは間違いありません。確か、「救う会」は、最近の運動方針で従来の制裁一本槍から、話し合いも付け加えたように記憶しています。しかし、金正日政権は、過去、彼らにとって都合が悪いと判断すれば、難癖をつけて話し合を打ち切ります。

また、3年前に拉致被害者を再調査すると日本政府に約束しましたが、全く履行せず、交渉にも応じていません。そういう相手を話し合いに応じさせるためには、より強い制裁をというのが家族会、「救う会」の方針でした。2006年から政府も基本的にはその線に沿って対処してきました。

だが、5年がたった現在、何も打開されていません。そこで打開できない理由は何か、と言うことが家族会、「救う会」の緊急の課題のはずです。課題について詰めた議論があった気配はありません。だったら家族会は拉致議連会長に何を頼むのか、です。依頼の中身も決まっていないのに、金正日政権に「話し合い」提案をするというのなら、それは余りにも無謀すぎます。敵の罠にはまるだけでしょう。

 

 自国民を救出するための日本政府の覚悟や動員が充分だったのかも問題ですが、政府を動かすのは国民の義憤の声、世論です。また、国民の公憤を誰がどのように組織化するかですが、そこに議連会長のピョンヤン訪問が突然、日比谷公会堂の集会で発表されたのですから、一体何が起きているのかと、誰もが思います。

 

信じがたい家族会の対応

佐藤 政府の拉致対策本部は日比谷集会の直前に、被害者家族に対して「何をやって欲しい、と思っているのか」と意見を個別に求めたのに対して、返事をしたのは、関西の一家族だけだったことを最近の取材で知りました。長期間の運動で疲れ果て、しかも現実は変わらないとは言え、返事をしないということは、家族会は拉致問題が現状のままでよいと、思っているのではないかと受け取られかねない対応です。本当にびっくりしました。政府に聞かれてもなぜ自分の意見を言わないのでしょう。理解しがたい態度です。

 

なぜ、大集会を組織しないのか

かつて「救う会」は、政府と県、「救う会」の3者で、新潟では(政府抜き)6000名、愛媛で3500名、和歌山1600名、熊本1300名、福島1000名、岩手1000名、富山1300名、埼玉1500名と集会を組織してきました。各地でこのような運動を行なうのは、まず当該県選出の国会議員は、拉致救出運動を無視できないこと、霞ヶ関、永田町、首相官邸も動かざるを得なくなること、何より、国民の怒りの声が日本各地で起こることは金正日が困るのです。こうした運動は、継続しておこなうことに意義があります。

関係者の間では知られていますが、「救う会」現執行部と家族会の一部は、上記の運動に反対し、ソウルやワシントンで集会を開くことに力を注いだのです。国民の支持があるから政府をはじめ政治家が救出運動に注目し、「救う会」や家族会の発言に耳を傾けます。現執行部はその道を放棄したのですから、拉致救出に国民の関心が薄らいで行くのは自然の成り行きです。

「救う会」主催で、「東京連続集会」が毎月のように開催されていますが、参加者はこと大東京で50から100名ほど、マンネリの見本です。57日の「救う会」全国協議会幹事会で、神奈川など幾つかの「救う会」が連名で、全国的に救出運動を盛り上げる必要があるが、長い期間の運動で「疲弊している」ので、地方などで拉致救出の集会を開くにあたり、家族会メンバーの参加などを条件に、集会の会場費などを「補填してはどうでしょうか」と文書で、家族会代表に要請しています。

分かりやすく言うと、家族会に集まったカンパを「救う会」地方組織にも使わせろという主張です。こういう信じがたい要請が全国幹事会の席上で提案されています。集会の会場費も集めるのができない組織が、拉致救出など出来るはずがありません。疲れている組織は、世間から「拉致を食い物にしている」と言われる前に、進んで運動から身を引くべきです。

民主党政権になって拉致担当大臣が4人代わるのと、上記の一部「救う会」の言動は質的にどこが違うのでしょう。運動の現状を憂慮せざるを得ません。拉致が解決出来ないでいる主要な原因の一つは、「救う会」、家族会が、国民の心を捉える運動をやっていないからです。

 

金正日政権の本質をどう捉えるか

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洪 平沼議連会長の訪朝発言ですが、カーター(元米大統領)の訪朝や前原前外務大臣の対北独自接触意欲表明などのケースが連想させられます。昨年の暮れ、与謝野さんが菅総理に工作され入閣した頃、菅総理が平沼さんに拉致担当大臣に就任してもらって連立を組みたい、という話が報道されたことがありました。それが裏で再燃したのかという見方も出来ますが、何れにせよ、言葉は、公の場で口から出たら、独り歩きするようになることがよくあります。気をつけねばなりません。

韓国も日本も同じなのです。金正日を相手にするとき、この集団の本質をどう捉えるのかが、決定的に重要なポイントです。金正日は同情されるべき哀れな存在や哀願する相手に飽くまでも残忍な態度で臨んできます。つまり本性が悪です。それを悪魔と呼ぶか、ゴロツキと呼ぶかは別にして、全く信用できない集団と見るかどうかです。こちらが話し合いたいと言えば、「いくら出すか」ということになります。

 

悪の詐欺集団

佐藤 かつて自民党政権が、金正日に「日朝交渉をやりたい」といったら、「コメを寄越したら、話し合ってやる」と言われて、同政権は、1995年から累計で150万トンのコメを献上しました。その挙句いまだ日朝交渉も開かれていません。要するに「話し合い料」だけただ取られて、交渉を打ち切られたのです。『詐欺集団』ということです。平沼先生が話し合いたいと言えば、必ずカネを要求します。家族会は「話し合い料金」を支払う用意があるのでしょうか。議連の交渉に政府が資金供与するなどあり得ない話です。対話料を支払わなければ話し合いに応じないということを家族会が学習をしていれば、この期に及んで、平沼会長に訪朝を要請するなどということはないはずです。第一、何を話すのですしょう。

 

騙す奴が一番悪い。騙される人間も同質だ

 韓国の金大中・盧武鉉など、左翼や左翼民族主義勢力が、金正日も「同族」で「人間」であるはずだから支援をし、話をすれば分かってくれるし通じる、などと彼らはあらゆる手段を動員して、韓国民だけでなく米・日をはじめ、国際社会が金正日を支援するように働きかけました。左翼らは安保予算まで削って対北支援をしました。しかし、結果は金正日の核武装です。騙す方が最も悪いですが、何度も騙される側にも責任があります。

相手の正体が悪であることが分かった後も悪と妥協し、取引する者は金正日と同罪です。歴史的に悪と妥協することで勝ったという話を聞いたことがありません。

 

救出の戦略・戦術なし

佐藤 北はカネが欲しいから非公式に、拉致被害者を帰すからカネを出せ、と幾つかのところに話を持ってきている感触が伝わって来ています。当然、政府にも来ていると思います。

それはさて置き、総理大臣を本部長とする拉致対策本部は、官房長官、外務大臣、拉致担当大臣(事務局長)4人で構成され、その下に事務局があります。問題は、拉致がまぜ解決しないのかということです。その重要な理由の一つに、政府の拉致被害者救出のための 「戦略と戦術」の欠如があります。悔しいことですが、過去も現在もこれからも当分作れないと思います。前述のように当事者である被害者家族がどうして欲しいのか考えていないからです。政治家も官僚も、拉致は主権が侵された重大事件、戦争を仕掛けられているのだと、本気で受け取っている人はごくわずかです。

 

カネを使うノウハウもなし

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ビンラーディン射殺で見られるように、国家情報機関を持っている国でもテロリズムとの戦いは難しいのです。日本人などを拉致している金正日政権は、韓国の哨戒艦を撃沈し、大砲で延坪島を攻撃、正規戦を仕掛けて来ています。それに対してわが国がやったことは、元工作員キムヒョンヒを軽井沢のブルジョワの別荘に招待、料理を作り、ヘリコプターで首都圏を遊覧させたのです。家族会や「救う会」は、政府の馬鹿げた行為に一言の抗議もしませんでした。この政府にしてこの運動ありです。こんな状態で拉致が解決できないのは当然のことではないでしょうか。

独裁国家相手の拉致解決は情報が決定的に重要です。国家情報機関はすぐ設置できませんから、次善の策が必要となります。ところが担当大臣が45ヶ月に1人交替しているのですから話になりません。しかし政府は、キムヒョンヒ招待で見られるように信じがたいカネの使い方をしました。情報集収集についてのカネの使い方、ノウハウを分かっていないと言われても仕方ないと思います。こういう現実の中で拉致議連会長がピョンヤンに行って何か解決できると考える家族会の現状認識は、余りにも雑で無責任過ぎます。

 

拉致問題は戦争だ

洪 金正日は、拉致問題で日本側が疲れ果てて無関心になるか諦めるのを待っています。金正日ももちろん疲れています。しかし、金正日は「我慢くらべ」では絶対自分が勝つと信じているはずです。

何度も話したことですが、北側による「拉致」は、日本の国内法が定めている刑事事件でありません。この問題はテロリズムを道具とする戦争なのです。刑事事件は法律や裁判というルールがありますが、戦争では基本的にあらゆる手段・方法が正当化されます。例えば、寺越さんのケースを、日本当局が証拠云々し、拉致として認定しないことは、責任のがれや偏狭な法治主義であり、敵の戦争攻撃を弁護士に相談するのと同じナンセンスな話です。

つまり、日本側は未だ、拉致問題の本質、金正日体制の本質、そして金正日を庇う中国共産党の属性が分かっていないだけでなく、今までの学習成果はゼロに近いと言わざるを得ません。

戦争は、勝利のために敵の強さと弱さを冷徹に捉えることです。このことに本当に気づけば勝てる手段と方法がいっぱい見えてきます。日本当局はその材料を沢山持っています。なぜそれを使わないのかです。

 

佐藤 結局、やる気がないというか、政治家も官僚も断固として原則を守り、戦い抜くという闘争心がなっからです。関係各省庁には拉致についてのいろいろな情報があるのに、セクト主義で全くと言ってよいほど共有化されていません。ピョンヤンやアメリカに行く前に、国内の改革が先なのではないか、と思います

 

洪 自由と正義は妥協や譲歩の対象でないという原則を堅持することです。最近聞いた、在瀋陽日本総領事館が、これからは脱北者を庇護(受け入れ)しないと中国当局に約束したという噂が事実でないことを願います。

 

メルトダウン

佐藤 えぇ、なんですって。日本の瀋陽総領事館が北からの脱北者を保護しないことを中国当局に約束したというのですか? 総領事館がこんな重大なことを決められるはずがありません。ここでも何が起きているのか。メルトダウン(核燃料が溶ける最も危険な状態)しているのは 福島第1原発だけではなく、菅内閣を先頭に、外交、東京電力、運動体など、いろいろな分野で起きているということですね。

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金正日が520日から一週間、例の列車遊覧旅行に出た。あの列車旅行は金氏王朝の前近代性を物語る。そして中国共産党の本質もよく教えてくれる。

現代外交の特徴の一つは首脳外交の比重が絶対的と言えるほど増大した点である。首脳が動くというのは国家そのものが動くのを意味し、その分国家間の複雑な事案を妥結することが期待できる。 つまり、効率性を重視する時代の流れを反映したものだ。

こういう重さや象徴性から首脳外交は基本的に多目的効果を狙う。金正日の訪中もいつも多目的だった。でも、去年の天安艦爆沈以降の1年間3回もの訪中には特に切迫した理由がある。それは李明博政府を屈服させるため仕掛けた対南武力挑発が裏目に出たのを収拾することだ。

北が中国との連携を経てその収拾策として縋っているのが、彼ら自身が拒否した「6者協議」の再開だ。北・中両方が狙いは「6者協議」の再開という局面を作ることで、対北制裁を事実上無力化させることだ。北・中が天安艦爆沈と延坪島砲撃の責任を追及されず「6者協議」の再開に成功できればそれは韓・米・日への外交的、戦略的勝利を意味する。

北・中の真情を窺えるのが金正日の列車を利用した前近代的様態だ。北が国際社会の一員になりたいならまず非効率の極致の豪華遊覧から止めるべきだ。

同時に、自由世界のメディアは金日成金正日の王朝のと暴力の裁体制、中でも北の宣伝扇動を助長してはならない。例えば、北の経済的窮状の原因や事情を歪曲しないことだ。

北韓は今まで自力更生の社主義体制の優越性を自慢し、人民にこの世の中に羨ましいことは無いと歌わせてきた。しかし、北は1948年以降一刻とも自力更生だったことがない。北の自力更生とは、はソ連がその衛星国らを束ねるために作ったコメコン(COMECON、経済相好援助)から援助をもらうことだった。自由陣峙した主義の自力更生がその正体だった。コメコンは東やソ連邦の崩壊で1991年に消滅した。つまり北の本格的な窮はこの乳母後見人が亡くなってから始まった。

嘘の金氏王朝の物語の中ででないのが一つある。「パルチザン統」という部分だ。パルチザン隊の本性とは言い換えれば集りということだ。 

後見人が消えた北が集りの象を探すのは然だった。だが、韓が集られるのを拒否してきた。金正日は核ミサイルで韓米同盟に挑している。この前近代の不良家、家の後見人を自任して出たのかアメリカに挑する中だ。いくら全体主義裁とは言え、連安保理の常任理事たるが、火遊びのと八百長までやるのは恥ずかしくないか。

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佐藤勝巳・洪熒対談(2011.05.16)

 

佐藤 ちょうど50年前の1961516日、朴正熙将軍をトップに若い 韓国軍将校たち

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が、民主党政権(「第2共和国」)をクーデターで倒しました。当時も今も、このクーデターの評価をめぐって、金日成・金正日政権は「軍事ファッショ」と激しく非難してきましたし、韓国内でも、それまでの既得権層(両班階級)をはじめ、金大中に代表される左派勢はもちろん、金泳三などいわゆる「文民政治家」の多くが過去も現在も全否定しています。

 半世紀たって、このクーデターをどう評価し、今日の韓半島の現状にどうつなげて行くのか、というテーマーで、今日は話し合ってみたいと思います。

 

 赤化統一の危機

 「516革命」は、大韓民国建国から13年目、1950年の「625南侵戦争」停戦(19537)から8年後に起きました。まず、なぜ若い将校たちだったのかということですが、当時の韓国軍はスターリンと毛沢東など共産主義者との戦争を通じて、アメリカ軍と一緒に戦う過程で、世界一流のアメリカ軍から多くのことを学び、祖国の後進性を自覚したのです。

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 当時の韓国は、歴史上初めての李承晩の自由民主主義革命にも拘らず、共産侵略による戦争の廃墟から国を再建するための資源も人材も絶対不足していました。特に、政治は前近代性や封建的体質から脱皮できず、近代国家建設へのビジョンや具体的な各論が無いのはもちろん、政治家たちの封建的体質そのものが近代化への最大の障害でした。北からは「連共統一」攻勢がなされる中、韓国軍の若い将校たちには、命をかけて護り抜いた祖国が赤化統一の危機に直面しているという認識が、決起を促したのです。彼らの危機感や行動が韓国の歴史を変え、救ったのです。(上写真は6.25戦争で破壊された国宝1号の崇礼門)

 

佐藤 当時の韓国において、軍の若き将校たちは3年間の朝鮮戦争を共産軍と戦って、観念論の世界でなく現実の脅威に立向かう覚悟や力量を身につけ、近代的なものの見方が出来るようになった唯一のエリート集団だったということですか。

 

 封建既得権力との戦い

 そうです。「516革命」は、歴史的使命への自覚も足りず腐敗した観念論の封建的既得権勢力と青年将校たちを中心とする「近代化」勢力の衝突であり、近代化を目指した軍隊が権力を掌握した韓民族史上最大の事件、と位置づけることが出来ます。封建的既得権勢力の価値観からすれば、政治(権力)とは文民(ヤンバン)のもので、軍人や労働者、農民などは支配の対象でしかありませんでした。だから国民の義務だった兵役も逃れたこの守旧勢力が手続きや名分論を振りかざして、クーデターの革命性と歴史的意義を否定してきたのです。

 

 朴政権は空腹を満たした

佐藤 「516」を金日成政権の側から見れば、李承晩政権の後を継いだ民主党政権の混乱は、北による共産化統一の絶好のチャンスだった筈です。それを阻止したのが“朴正熙という憎たらしい存在”です。既得権を失った韓国のャンバン政治家などと、北の金日成らの利害が一致し、「敵の敵は味方」という反動どもの一種の「連帯」が出来た時代があったのです。

19604月の学生デモで李承晩政権が打倒されたこともあって、日本では「北主導による統一近し」という雰囲気で溢れていました。在日朝鮮人の北朝鮮への「帰国」が盛り上がっていった大きな理由でした。当時、私もそうだったのですが、共産主義を疑わない「進歩派」は、北のプロパガンダに簡単に騙されました。雑誌『世界』がその見本です。

 

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 朴正熙は、封建的旧守勢力からの批判も、国際的進歩派からの攻撃なども意に介さず、「セマウル運動 (新しい村づくり運動)」で意識改革の農村の近代化を進め、「漢江の奇跡」と言われる産業化、近代化へと突っ走りました。何よりもまず国民の空腹を解決しました。偉大なことです。(右写真は田植え中の朴正熙大統領)

 

佐藤 私が、はじめてソウルを訪問したのが1977年春でした。誰の紹介か忘れてしまいましたが、当時60歳近い韓国の婦人に合う機会がありました。私が、「パク大統領は、国民の自由を押さえすぎると言う批判を耳にしましたが、どう思いますか」と質問したところ、 婦人は物静かに「私は、日本の植民地下、そして植民地解放後幾つかの政権の下で暮らしてきました。貧乏人が自分の娘を売らずに生活できるようになったのはパク大統領になってからです。自由でおなかは一杯になりません。そんなことを言っている韓国人に騙されないで下さい」と確信を持って私に語りかけました。

私は世界大恐慌の最中の1929年に生まれています。物心ついたときは、コメを作っている農民が、雑炊を食べざるを得ないほど貧しものでした。近所で娘が売られたという話は聞きませんでしたが、貧乏からくる飢餓感は感覚として今でも忘れていません。だから婦人の話は韓国を分析したどの論文よりも説得力があり、重く深く私の胸を衝きました。このときを以って私の朴正熙大統領評価は変わりました。

ところで、最近の韓国社会を見ていると、「516」を境に自国の社会システムや文化が構造的に変化したことが忘れられているのではないかと思うのですが…。

 

 朴政権の近代化作業

洪 世界を見渡せばクーデターなど数多くありますが、軍事クーデターで短期間に近代化に成功したのは「516革命」だけです。この成功は「近代化」という壮大なビジョンと信念をもち、それを実現させた有能で強力な司令塔(指導力)があったからに他なりません。

516」当時の韓国には、ハード面でもソフト面でも産業化へのインフラは未整備でした。例えば、自家用車などはなく、自動車の運転免許を取る教習所もありませんでした。そのころ車の運転ができたのは、軍で運転訓練を受けた人だけでした。ベトナム戦争終了後の1970年代の半ば以降、韓国企業は中東に進出しますが、初期のころは土木工事で重機など操作できたのも軍の工兵出身者だけでした。

朴正煕は近代化を推進するために、それまで韓半島に存在しなかった新しいシステム作りを始めました。法治の基礎である法令を整備し、職業公務員制度を確立します。それまで「第1共和国」(李承晩の自由党政権)と「第2共和国」(民主党政権)は、日本の植民地遺産である多くの法令をそのまま使っていましたが、朴正熙政権は、そういう法令を韓国語に翻訳し改正して、政府の行政システムを当時最も進んでいた軍のレベルに引き上げる「近代化作業」を推進したのです。

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朴正煕は戦略的に日本との国交正常化とベトナム戦争への派兵をし、近代化への経済と安保の土台を固めます。こういうことは今の韓国社会はもう忘れ、若者たちは親北左翼の「全教組」の反韓教育のため殆ど知りません。(韓日基本条約批准書に署名する朴正熙大統領)

韓国の近代化は上も下も具体的に担ったのは「文民政治家」ではなく、「516革命」勢力が主導したのです。朴正熙の後に、崔圭夏、全斗煥、盧泰宇、金泳三、金大中、盧武鉉、李明博と大統領が続くわけですが、金泳三大統領からは、朴正熙時代が築いた「近代化」の推進、進取の気性を萎えさせ、金大中・盧武鉉は、野蛮な「金氏王朝」に接近し秋波を送る「反動」の方へと動きます。

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韓国が、「6.25戦争」で日本の植民地になる前の20世紀初頭の惨状に戻った1953年からわずか35年後(日本の植民地35年間とちょうど同じ期間)1988年に、ソウル五輪を成功させてソ連や旧社会主義圏を北から切り離し、金日成王朝を追い詰められた戦略的基盤を作ったのは、李承晩の「自由民主主義革命」と「韓米同盟」、そして朴正熙に導かれた「近代化革命」であることは歴史的事実です。

 

 自主国防を決意

佐藤 アメリカの民主党をはじめ欧米のいわゆる進歩派、日本の朝日新聞や雑誌「世界」などは、欧米や日本の価値観をもって、朴政権を「軍事ファッショ」と非難しました。その一つが雑誌『世界』に連載された「韓国からの通信」です。これこそ朴政権を謀略、中傷し続けた悪名高き代表作品と言えます。

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当該国の民主主義のありようは、その国の歴史と文化、価値観を離れてはありえません。朴正熙氏はそれを「韓国的民主主義」と規定したうえで、“圧縮成長の近代化”を強力に推進しました。彼は、欧米の「進歩派」などが独善的に求める欧米式民主主義を断固拒否し、自主国防のため核武装までを覚悟した自主精神の持ち主でした。(はベトナムで作戦中の韓国軍)

 

 形は文民、中身は反動。形はクーデター、中身は近代化

  金大中や金泳三などは、朴正熙政権を「軍事ファッショ」と批判しましたが、実は彼らの器では「近代化革命」などは所詮理解の範囲を超えるから、批判し否定し続けたのが実態ではなかったかという気がします。形は文民ですが、中身は私利のための封建的「守旧反動」です。誰が進歩派でどちらが反動派なのか、歴史が明らかにしています。

516革命」に即して言うなら、形は軍事クーデターですが、中身は、「近代化革命」であったと言えます。「5.16」は民主主義を破壊したのではなく、民主主義のための土台やシステムを作ったのです。したがって、「516革命」を全否定する勢力は必然的に「近代化への反動」、つまり封建時代の政治に戻ることになります。金大中や金泳三などの言動、様態は稚拙な自己正当化であり封建ヤンバン政治そのものです。

 

 韓国に北シンパが多いのはなぜか

佐藤 あれから50年が経過し、来年は韓国大統領選挙です。最大の課題は、諸悪の根源である北の「金氏王朝」の個人独裁体制にどういう態度で臨むかです。私は、世界一の教育熱心で知られる韓国で、野蛮と独裁を容認する勢力がどうしてここまで拡大したのか不思議に思っています。

 

 前述のように、「516革命」勢力は、反共を国是とし、封建的残滓や旧悪の一掃を目標にしました。第2次世界大戦後、東西冷戦の中で多くの新生国家はソ連の輝かしい成功に魅惑され「社会主義体制」を選択しましたが、共産主義や社会主義革命は人類に災難をもたらした幻・詐欺で終わりました。反面、「516」は自由民主主義勢力を糾合し、左翼や守旧勢力と戦い近代化の礎を築きました。現在「5.16革命」の伝統を継承しているのが、愛国保守勢力です。愛国保守は今、韓国の近代化革命に抵抗する歴史の反動と戦っています。

 李明博大統領に代表されるいわゆる「中道」ハンナラ党は、金大中や盧武鉉ほど確信犯的反逆ではありませんが、封建時代よりも遥かに劣る悪の体制、金日成・金正日世襲独裁体制に対して断固戦う姿勢が欠けています。左翼の扇動・洗脳によって北にシンパシーを持つ韓国の30パーセントの有権者を覚醒させることも近代化革命の課題と言えます。

 

 諸悪の根源を根絶することだ

佐藤 50年前との最も大きな違いは、アメリカの力の衰退です。代わって台頭してきたのが中国ですが、今年に入って中東で起きたデモの嵐が中国内に波及するのか、中国共産党幹部は戦々恐々としている感じです。独裁権力は外からの攻撃には強いが、足元からの攻撃には弱い、というのが歴史の教訓です。中国が最近、勢いがないように感じるのは、そのせいでしょう。何が起きるか分かりません。

金正日政権は、事実上中国の従属国となっていますから、中国に動揺が起きたら、自動的にピョンヤンに波及します。韓国内の左翼は、所詮、朝鮮労働党の影響下にある人たちです。諸悪の根源が絶たれれば自動的に解決する問題です。「516革命」の完結は韓半島で前近代性の残滓、諸悪の根源を除去することにあります。

 

 韓半島の近代化は、北解放だ

洪 東西冷戦という緊張が消えた途端、また次元の違う葛藤・対立が現れ、多くの先進国がポピュリズムに陥った現象を見ています。そして中国共産党の跋扈(ばっこ)を許しています。そもそも、大衆迎合主義では未来への対処はもちろん、現在の問題も解決できません。

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近代を振り返って見ると、大衆の選択は賢かった場合も愚かだった時もありますが、その選択の優劣を決定的に左右したのは価値観や指導者の選択でした。「5.16」の朴正煕も幕末の坂本竜馬も「現状打破」を夢見た革命家でした。現状打破とは抵抗を打ち破ることです。当然容易なことではありません。守旧勢力、既得権勢力を克服する信念と勇気と智謀が必要です。今日本では坂本竜馬を英雄として評価していますが、仮に21世紀の今坂本竜馬が現れたら日本国民の多数は果たして彼を歓迎するでしょうか。

516革命」への歴史認識と評価は韓半島の未来を決定します。韓半島の現状打破、つまり韓半島においての前近代性や悪の克服と清算を、全うするのか諦めるのかです。自由と良識を愛するなら現状打破に出るべきだと思います。「北韓解放」こそ、韓半島の近代化であり、今指摘された「516革命」の完結になるはずです。

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洪熒・佐藤勝巳(201156)

 

佐藤 今回の東日本大震災は、自然が仕掛けてきた戦争と呼んでいいと思います。洪(ホン)さんは、韓国動乱(朝鮮戦争)、ベトナム戦争と2度の戦争を経験していますが、その経験から見て、 わが国政府の対処の仕方をどう思いましたか。

 

危機管理最大の問題点

 阪神・淡路大震災での最も重要な教訓を生かしていなかった、という印象を受けました。最大の問題点は、なぜ311日地震当日の夜の段階で、「緊急(非常)事態」が宣布されなかったのか、という一点につきます。

 

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大震災後政府の状況判断に関して新聞報道を調べてみましたが、例えば、地震発生以後警察庁が毎日死亡者、行方不明者などの犠牲者の数字を発表していました。地震翌日の12日には死亡者や行方不明者数の発表がありませんでした。13日の朝刊には死亡者が696名、行方不明者が641名と報道され、死亡者や行方不明者が1万名台になるのは5日後です。死亡、行方不明者の合計が27000名台になるのは地震から2週間後の325日です。ここに、危機への対処の基本になる危機の認識、判断の失敗が見られます。地震の当日は無理だったとしても、翌日の段階で日本政府はまず人命被害の規模を想定して対応すべきだったと思います。

 

佐藤 どういう方法で判断、想定ができたはずだと思いますか。

 

人命被害規模の想定は可能だった

 莫大な人命被害を出した近年の震災は阪神・淡路でしたが、あのときもインフラ破壊され、行政システムが機能しなくなったのに、現場からの報告を待つばかりで実態を掴むまでに時間がかりました。地震直後の迅速な対応の遅れが、火災による犠牲者を大勢出してしまいました。今回は広域地震と大津波、原発事故です。常識的な政府なら、あの大津波を確認した直後に、まず自衛隊に命令して偵察機を飛ばし広域の被災地の航空写真を撮って、被災地の人口などから犠牲者の規模などを推定して「非常事態」を宣布し、首相が指揮を取り救出に当ったと思います。ところが、こうした積極的な姿勢が必要なのに、それが一切見られませんでした。つまり、阪神・淡路の教訓を全く生かしていないということです。

 

地震後の総務省の発表によれば、今度の大津波による被災地域の人口は震災直前の今年2月の時点で約445000人です。被災地の被害範囲や状況は空からの写真で分かりますから、犠牲者の規模を科学的、合理的に推定することは難しいことではありません。その推定によって災害対策基本法などの法律に規定されている「緊急事態」を宣布し、人命救助や原発への対応に集中できたはずです。

 

被災者の救援活動についても、米軍だけでなく先進国の軍隊なら、夜間でも人間の体温から生存者の有無を認識出来る熱映像装備(TOD)を持っていますから、それを使用すれば孤立して救助を待っている人々や生きている人間は探知できたはずです。

 

ところが、危機管理の司令塔がやったことは、現地からの報告待ちでした。首都東京を含む国土の半分くらいが通信も交通も麻痺し、震災地域は行政システムが壊滅的打撃を受けて混乱しているのに、現場から上がってくる報告で判断、対処するなどでは話にならないでしょう。地震から2週間経過して犠牲者27000という数字が分かった後では、後の祭りです。これでは危機管理でも何でもありません。

 

「緊急事態宣言」の必要性

佐藤 なぜ「緊急事態宣言」が必要かといえば、日頃の行政が縦割りで行われていることにあります。道路の管理は国と県、市町村の三つに分かれているため、行政機関は自分の担当する道路以外は知りません。今回のような大災害が広範囲に発生したら収拾がつかなくなるシステムになっているのです。港も県が管理していますが、桟橋が地震でやられたら使用出来ませんから緊急に調査が必要です。「緊急事態宣言」に基づいて、総理大臣が自衛隊や警察などに命じて調査する以外ありません。タンカーを入港させ、避難所までの道路を整備、タンクローリーでガソリン、灯油、そしてトラックで食糧を輸送するなどということは、地域の縦割り行政でこんなことが出来るはずはありません。現に阪神・淡路では出来なかったのです。

 

民主党では対応できない

菅政権はこの貴重な経験から得た教訓を何ひとつ学ぶこともないまま、ホンさんのいうように、現場からの報告を待っていたのです。このような大災害が発生した時の「緊急事態」宣言には、地方の行政機関に規制を、国民の自由に制限を加えることも出来ますし、時として制限は必要です。菅民主党政権は「地方分権」「地方主権」を公約に掲げています。「緊急事態宣言」をそれと対立するものと捉え、発布しなかったのではないと推測されます。彼らの考えは国家よりも「地方」「地方より個人」という国家解体の思想が根底にあります。今回のような非常事態にはもともと対応できない政党です。一方、現に出荷自粛だの、計画避難区域だのなどを言っていろんな制限を加えています。自己矛盾も甚だしい。民主党政権の国家観が「人災」を加速させたと断言して言えるでしょう。

 

「報道談合」があったのでは

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他方、あれだけ自衛隊が一生懸命に活動しているのにマスメディアは、初期段階では言い合わせたように報道しませんでした。すべてのインフラが破壊され、危険な環境の中で人命を救助し被災民に物資を緊急に届けることが出来るのは、統一された命令指揮系統と航空機など各種装備を持つ軍隊しかないのです。兵力だけでなく装備も動員しなくてはならないからです。ところが報道機関は「死臭」漂う被災地で来る日も来る日も風呂にも入らず、乾パンをかじって死体収容作業に従事している自衛隊の若者の姿を、全くといってよいほど報道しませんでした。自衛隊に「市民権」を与えてはならないという「無言の合意」、「報道談合」が言わず語らずに存在していたのではないかとすら感じました。戦場を知らない記者たちであればあるほど、戦場の怖さを報道すべきであったのに、しなかった。

 

首相官邸が分かっていない

また、首相はやるべき事をやらずに、被災地の視察に執心し、内閣官房長官は、農林水産省の担当課長の仕事ではないかと思われる野菜の出荷規制地域だの、洗濯物の室内干しだのを一々記者会見で告知する。

 

そしてテレビは、かつての社会主義国のプロパガンダのような無味乾燥な中身の公益広告(AC)を流し続ける。災害による非常時にあるというのに、ただマニュアル通り貴重な電波やエネルギーを垂れ流す無神経さ。

すべては危機管理の杜撰さの反映ということです。首相官邸が自分たちの職責すら分かっていない。だから政治家がテレビに露出したいためのスタンドプレー、選挙活動という声がいたるところで聞かれたのです。

 

危機を危機として認知できない自己欺瞞

 残念ながら総理などの言動からは、国民の生命を守るという緊張感を感じ取ることができませんでした。また311日の午後から、首都東京は電車が止まり、電話は通じなくなり、完全にマヒ状態に陥りました。家族にも、仮に盗難や火事など緊急状況が発生しても110番や119番に電話しても通じない。震源地から遠い首都ですら電話がほとんど通じない状況が一週間も続いたという事実だけでも「緊急事態」なのですが、政府にも国民にも、そういう受け止め方がほとんど見られなかったことが不思議な気がしました。

 

火事に備えて家や車などに消火器を買っておきながら、いざ火事が起きたら消火器まで使う必要はない、もっと大きな火事が次に起きたら消火器を使おう、あるいは、自分は消火器を持っていることすら忘れているのではないか、と思ってしまいます。災害対策基本法や警察法などの中の「緊急事態」というくだりが、「千年に一度」の大災害に見舞われた時も適用されないなら、どういう状況を想定して作ったのか。理解できません。

 

自衛隊の動員だけでは対処しきれず、史上初めて予備自衛官まで招集しながらも「緊急事態」を宣布しないのは自己欺瞞も甚だしい。「緊急事態宣言」なしに国民の身体の自由と財産権を制限するのは、どう考えても非正常です。法律を適用・発動すべき場面で法律を適用・発動しないのも法治の破壊と言えるでしょう。支離滅裂と言われても仕方がないと思います。私は、今度の3.11大震災を忘れないためにも、救援活動に動員されて献身した(戦った)自衛隊、警察、消防隊の全員に特別記章を授与すべきではないかと思います。

 

ゲリラに攻撃されたらどうするのか

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佐藤 電車が止まり、電話が通じなくなったのは地震が原因と分かっていたことと、短期間で回復、正常化するという経験則があったからでしょう。地震国日本の特徴だと思います。しかしテロやゲリラに送電線が切断され、電車が動かなくなり、電話が通じなくなったら、情況は全く違ってきます。大混乱に陥ることは間違いないと思います。

 

私は十数年前から北の独裁政権は日本の原発を狙うだろうと想定して、知人の紹介で柏崎刈羽原発を1人で勉強に行ったことがあります。日本の政治指導者は、特に民主党政権では、わが国がテロにやられることを想定して安全保障を考えるという発想は皆無に近いと推定されます。

 

危機管理は最悪の事態を予測して対策を立て、行動すべきものです。このたびの未曾有の被害から沢山の教訓を引き出すべきではないでしょうか。

 

危機を危機として捉えられない

 危機の中で最も致命的なことは、危機を危機として捉えることができないことです。ですから危機管理システムの不在不全ということになったのです。残念ながら今度の大災害で、日本の危機管理の司令塔(司令部)がうまく機能したとは言えません。危機管理の司令塔に経験のある人や訓練を受けた人が見えませんでした。そういう側面で天災に人災が重なったという叱責はその通りだと思います。

 

佐藤 確かにご指摘の通りなのですが、なぜ「危機を危機として捉えることができなかったのか」です。洪さんも私も戦争を体験していますが、個人が戦場で判断を誤ったら命を失います。

部隊長が判断を誤ったら部隊は殲滅されます。政府が判断を間違えたら、国家は敗北没落します。民主党政権にこの認識が決定的に欠如しているからです。

 

「平和憲法」から危機意識は生まれない

菅直人首相をはじめ全閣僚たちは、「平和憲法」のもとで、日本近代史を全否定した「平和と民主主義」の教育を受けただけではなく、それを推し進めることが正義と思って運動を昨日までやってきた人たちです。外交スタンスは、中国や北朝鮮に媚、日米安保を否定し、軍隊を否定してきた日本社会党の亜流です。今、洪さんが指摘した「危機を危機として」受け取る素地などあの政党には全くないのです。この点自民党も不透明なのですが、こんな民主党に多数の議席を与え、政権の座につかせたのは有権者です。文字通り「民族的(国家的)危機」なのです。しかし最近の選挙で、民主党が敗北を喫し続けていることは、有権者がようやく民主党の正体と自分たちの不勉強さに気がつき出したということかもしれません。

 

迫られている価値観の転換

今回の震災に遭遇するまで、この国では電力を贅沢に消費し、食べ物を年間2000万トン以上も捨ててきました。そして「高蛋白・高脂肪」の贅沢な食事日常化し、糖尿病、高血圧、ガンなどの生活習慣病を激増させ、医療費が国家財政破綻の主要な原因となりつつあります。生活全般の見直し、価値観の転換が迫られていることは間違いないと思います。今回の巨大地震はわれわれに、「贅沢はいい加減にしろ」という警告だったと捉えるべきではないでしょうか。これとは別に、4つものプレートが交錯する地震列島日本が、主要エネルギーを原子力発電に依存することの可否をめぐり、この際大々的に議論すべきときです。

 

原発が攻撃を受けた最初の例

 韓国も日本と似たところがありますから深刻です。責任の大きさは権限の大きさに比例するという常識から言うと、今度の人災の最大の責任は、民主党政権が「政治主導」を掲げて官僚を極力排除してきた、その独善的体質や姿勢にあると言わざるを得ません。

 

システムとしての危機管理にはマニュアルが必要ですが、今度、特に原子力()発電所の放射能漏れを通じて日本の危機管理マニュアルの弱点や限界が明らかになりました。「福島第1原発の事故」は、チェルノブイリやスリーマイル島原発事故とは原因が違います。福島原発事態は事故によるものでなく、原子力()発電所が(自然からの)攻撃を受けて起きた重大な事態です。つまり、これからのマニュアルは事故によるものだけでなく、攻撃による破壊をも想定しなければならないことが明確になったことです。

 

中東の津波はアジアにも波及する

予測・想定外に起きるのは、地震や津波だけではありません。今年に入ってからの中東の事態を誰が予測できたでしょうか。中東で起きた〝津波〟が東アジアにどう及ぶか分かりませんが、歴史的な大津波をもたらした「311地震」も震源地は日本の領土の外です。マグネチュウド9の規模になったのは複数の地震が連動して起きたためでした。

金正日独裁体制や中国の軍拡路線が東アジアの深刻な不安要因となっています。テロリストの首魁ビンラーディンがアメリカの特殊部隊に射殺されましたが、この種の要因が加わりますと、どれほどの津波が発生するか予測はむつかしいです。しかし津波は目に見えるところまで来た時はもう遅すぎます。普段から充分に想定して備えねばならないと思います。

 

 求められる行動

佐藤 菅政権は、限りなくゼロに近い落第点です。だから政治空白を覚悟で倒閣すべきなのか。しかし、緊急な復興が求められているとき、今、総選挙が妥当な選択肢なのかどうかです。選挙をやってよりましな政治家が現われる保証でもあれば別ですが、それも分らない。実に難しい局面です。

 

幕末の薩長連合が実現したときは、倒幕側に危機感、エネルギーとパワーが溢れていました。現在の日本の社会からは、菅直人、鳩山由紀夫両氏に代表されるように危機感もパワーも伝わってきません。伝わってくるのは自信のないうろうろとした表情だけです。また、いろいろ言う人は不足しませんが、しかしこの人達も肝心の行動がともないません。

当面、1000年に1度の災害の復興に集中するしか無いのかも知れません。だが、考えてみると、3.11大震災の復旧、復興だけでなく、日本の海岸、特に太平洋側はどこでも全海岸線をこれから高さ15メートルの津波を想定して災難対策を進めなければならないと思います。それは、まったく新しい生き方、文明を目指しての前進です。

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洪熒

歴史の中の「5.16革命」の位置

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50年前の19615月、ソウルで朴正熙将軍をリーダーとする若い将校たちが、合法政権を倒した。韓半島の歴史上最も劇的な変化、近代化への挑戦がこの「5.16軍事革命」から始まった。「5.16」は、李承晩大統領による建国革命(大韓民国建国)から13年後、そしてこの新生民主共和国をスターリン・毛沢東・金日成の国際共産主義勢力が抹殺しようとした「6.25南侵戦争」が停戦してから8年後のことだった。

韓半島歴史上初めての「理念戦争」だった「6.25戦争」は、南北間を徹底的に破壊し、韓半島を20世紀初頭の日本による植民地以前の状況に戻した。だが、当時の自由党政権は、廃墟から立ち直るための具体策や希望を国民に提示できず、その他後進国の政権のように、近代化へのビジョンと力量を備えていなかった。

その1年前の19604月、大学生たちによる「4.19義挙」で李承晩の自由党政権は倒れた。だが、韓国社会、特に政治においての根深い封建性や守旧性を打破することは、学生たちには無理だった。自由党の後に執権した民主党も、封建性や守旧性で自由党と変わらなかった。

後進社会や後発者が、先進社会や先発者に追い付き並ぶためには、それに必要な時間や過程を短縮するしかない。人間のそういう焦りが「革命」という形で現れる。若い将校たちは、学生たちが夢見ものの果たせなかった頑強な封建性や守旧性、つまり近代化への障害物を軍事クーデターで打破したと言える。

 

5.16」は近代化革命

5.16」は形の上では間違いなくクーデターだ。だが、その動機、その後の結果は明らかに革命である。「4.19学生義挙(革命)」を支持した国民の多数は、当初からこのクーデターを支持した。

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大統領になった朴正熙はそれまで韓半島に存在しなかったもの、以前は韓半島の誰も試みなかったことを始めた。近代化のビジョンを具体化し目標を提示し、そのための各論と方法論を作り始めた。当時の将校らは韓国で唯一科学的に思考する集団で、情熱的で有能だった。経済建設はインフラの整備から始め、法令を整備した。改革のためのシステムもできた。外国からの借款を導入し、ものを生産して輸出した。

今や韓国人の誰もが知っているセマウル運動、 韓日国交正常化、輸出第一主義、森林緑化、自主国防、海外進出などが、朴正熙を中心とした新しいエリート集団によってあみ出された。

近代以降、世界各国で数え切れないほどのクーデターがあったが、近代化への革命として成功したのは「5.16」が唯一だ。韓国の「圧縮成長」の成功は、「韓国モデル(朴正熙モデル)」として世界的に知られた。

今日の大韓民国の成就は、朝鮮王朝時代以前の朝鮮人や「5.16革命」以前の韓国人がやったものでない。「5.16」は韓国人、韓国社会を変えた。韓国人の眠っている遺伝子を目覚めさせ、システムを変え、意識を変えた。以前とはまったく違う社会や経済構造ができた。韓国人の生の質は歴史上最高水準であり、韓国は世界が羨む、あるいは警戒する国に変わった。韓国は近代化を目指す多くの開発途上国に希望を与える存在になった。

 

未完の近代化革命

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大韓民国が近代国民国家として建国されたのは1948年だ。だが、本格的な国づくりは、1953年の停戦協定の後から始まる。1953年から35年間、つまり植民地時代とちょうど同じ35年間の年月を経て、韓国はオリンピックを成功裏に開催した。ソウル・オリンピックはソ連と東欧圏の崩壊消滅を早め、韓国は韓半島から自由民主主義を抹殺しようとしたスターリンに復讐した。

もし50年前の5月、革命がソウルでなく平壌で起き、韓国は「5.16」以前の状態のままだったら、今日の南北関係はどうなっていただろうか。

20世紀の成功国家の模範となった大韓民国は、李承晩の「建国革命」と朴正熙の「5.16軍事革命」抜きには語れない。

50年前とは比較できない豊かな環境の韓国社会がビジョンを失い、不安を感じるとするなら、それは「5.16」を歴史の一事件、例外の時代として捉え、折角目覚めた韓国人の進取的遺伝子を再び眠らせたためではないか。

だから、「5.16」は未完だ。韓半島の北部を解放するまでは。

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 本質を報道しないマスメディア

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佐藤 北の延坪島侵略が起きて3週間ほどが経過しましたが、マスメディアは、第七艦隊を中心とする米韓、日米軍の合同演習や「緊張する朝鮮半島情勢」というタイトルで、延坪島が攻撃され、島民が防空壕に避難する映像を繰り返し放映しています。勿論、危機をアピールすることは必要なことですが、どうしても気になることは韓国が、日本がこの事態をどう捉え、どう対処するかという問題意識が希薄なような気がしてなりません。

 テレビで連日歌舞伎俳優の不祥事が報道していますが、北の韓国砲撃の報道と一体どちらが大切なのか。あまりにもバランスを欠いています。このアンバランスが外から狙われて尖閣諸島問題を引起した要因の一つではないのか、と思っています。

北の侵略は北方限界線(NLL)をめぐって起きたのです。そもそもあのラインは如何なる経緯で設置されたのか、全てのメディアを見ていませんから断定的なことはいいませんが、1129日の本ネツト「金正日の野蛮の賭け」で洪さんが説明したもの以外は目にしていません。メディアは国民になぜ正確な情報を提供しないのか、とんでもない怠慢としか言いようがありません。

 

 NLLを動かす侵略

 NLLは、韓国戦争(朝鮮戦争)が停戦した1953727日時点で、制海権は国連軍が完全に掌握していました。共産軍は停戦時、東・西海のどの島も支配していません。波打ち際が境界線だったのです。 ところが国連軍司令官が白翎島の北を一方的に譲歩し、北の陸地と韓国の島との中間点にNLLを決めたのです。

再び指摘しますが、今年金正日の天安艦と延坪島への攻撃は、NLLを武力で移動させようとする、つまり停戦協定(1953年体制)による「現状」の変更を狙う侵略、戦争再開の宣言なのです。この捉え方が日韓ともに十分ではないのが最大の問題です。もっと言えば金正日体制の凶暴性の捉え方が不十分だから、戦闘機が空母から発着陸する映像を放映し続ける、劇画的ニュース報道に陥るのです。なぜ金正日を糾弾しないのか。

 

領土は力関係で決まる

佐藤 砲撃があった直後、NHKの「日曜討論」で砲撃問題を専門家たちが討論していましたが、金正日政権がなぜ攻撃して来たのか、ほとんど議論をしなかったように記憶しています。この事件の最大のポイントは今なぜ、北が砲撃してきたかです。南・北は経済力をはじめ、文化、教育、科学技術、農業など何を比較しても、比較の仕様もないほどの大差があります。つまり弱者が強者を攻撃してきたのはなぜか。

これを「中・朝」対「韓・米」という枠組みで見ると、アメリカの力の低下や中国の躍進という、より大きな戦略構図の変化が起きていることです。日本に民主党政権が誕生してから、沖縄の米軍基地問題などで摩擦が生じました。まさにそのとき、金正日が韓国哨戒艦を撃沈し、中国が尖閣諸島に出てき、金正日が延坪島を攻撃して来たのです。「領土(国境)は力関係で決まる」というのが私の持論です。今ひとつは韓国を脅してモノなどを取らなければ、北の政権がもたなくなってきているからです。

 

自主防衛

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 李明博大統領の行動は、暴力団が押しかけて家族に刃物を突きつけて生命を脅かしているのに、まず体当たりでもして家族を護らねばならない場面で、電話機を持って110番に電話ばかりして、早く来てくれないのが怪しからん、と言っているのと同じです。天安艦が撃沈されたときに、断固反撃をしていたら、あんなに簡単に延坪島攻撃は出来ません。今回も、空軍機が北の陣地をミサイル攻撃で打撃を与えておけば、次に容易に手が出せないのです。(*写真は北の砲撃を受けながら反撃に出る韓国海兵隊延坪部隊の砲兵隊)

 

能力と適性を欠く大統領

 佐藤 李大統領は反撃をしないで、「今後攻撃したら断固報復する」と、盛んに言っています。天安艦撃沈の時も同じことを口にしていました。 殴られてその場で殴り返さず、「今度殴ったら酷い目にあわせる」といっているのですから、金正日にとって痛くも痒くもありません。完全に足元を見透かされています。

 

 あの大統領は、原発を売り込むとか、仕事を取るなどの商売は上手ですが、国家の安保のために戦うという決断が出来ない臆病者です。天安艦撃沈の時の大統領と彼の取巻き達は、「予断するな」「北だという証拠を示せ」と軍の判断や対応を牽制したのが今年の3月、韓国民の誰もが記憶しています。北に対する制裁をあれこれ口にしたが、北に打撃を与える制裁は結局何もしなかったのです。

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延坪島が砲撃を受けたら軍がたるんでいるといって、国防長官を更迭しました。天安艦のとき、北を擁護した青瓦台(大統領府)の幹部は誰一人責任を取っていません。北は「先軍政治」を唱えて核保有を既定事実化しているのに、南は李明博大統領(*右写真)をはじめ政権の中枢に軍隊の経験のない人が多すぎます。これは致命傷ですね。危機に当って大統領が軍事を軽視し臆病では話になりません。だからこんな危機的状況に陥っているのです。

 

戦争を望む北住民

佐藤 臆病と言う点では鳩山由紀夫、菅直人両氏も、多分、日本国民も国を護るために断固と戦うという態度をとることは現状では難しいと思います。個人も国家も「失うもの」を余りにも多く持ちすぎました。

北の「強さ」は10年ほど前から、生活苦から現状脱出のため、一種の戦争待望論が国民の間に広まっているという話が伝わってきてきました。飢餓からの戦争待望論、豊饒からの戦争回避論。主観的にわれわれがなんと考えようと、飢えた狼の群れは、太った 動物に襲いかかってきます。

 

仁川空港が危ない

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佐藤 11月に、日本経済新聞の鈴置高史記者が小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞社刊)を出版しました。この小説の中で、仁川空港沖で韓国軍が誤って中国の貨物専用機を撃ち落し、仁川空港(*右写真)が全面閉鎖されたという話が出てきます。そのときウォン、株式の暴落。ハイテク部品の空輸が止まったとき、韓国経済に何が起きるのか、韓国が中国に飲み込まれていく過程が、詳細に描写されています。

私は、このくだりを読んだとき、咄嗟に1986914日、北がソウルのアジア大会阻止を狙って「金浦空港爆弾テロ」事件を思い起こしました。 金正日がこの次に韓国に仕掛けてくるのは、仁川空港テロではないか、と直感したことです。 情勢は、危険水準をはるかに超えていると現状を捉えるべきだと思っています。

 

 金正日が「西海NLLの変更」に出たのは、白翎島や延坪島など「西海5島」が、仁川空港だけでなく韓国の首都圏全体の息の根を完全に止められる急所だからです。つまり「停戦協定体制」の一部を変えることで、陸上の休戦ラインを破る全面戦争をしなくても韓国を事実上支配できる勝利を狙う戦略です。

金正日は人民を搾取し収奪して、結果的に今仰ったように戦争を肯定する状態に民を追い込んで、独裁者の野望を果そうとしています。もちろん、金正日の目論見は諸刃の剣でしょう。

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中国は、このような金正日の冒険主義を積極的に阻止せず、攻撃された韓国が憤慨すると「自重」するよう韓国、日本、アメリカに求めています。要するに客観的には金正日を擁護し、米韓日の力を削いでこの地域に覇権を拡大して行くために、中国と北は、お互いに利用し助け合っているのです。韓日米の外務大臣が、会議を開いて、中国にもっと金正日に圧力を掛けろといっていますが、見当外れもいいところです。(*写真は引揚される天安艦の艦首、20104月24日)

 

「摩擦と相互利用」

佐藤 ヤクザの子分が、親分の前で堅気の人間に向かって、大きな声で吠えて脅します。すると親分が子分を「まあまあ」と言って抑えます。これはゆすりたかりの常套手段です。中国に対して北に圧力云々など、親分に対して子分に圧力をかけろ、と言う話です。実態を知って駆け引きで言っているのならともかく、本気で口にしているのなら相手に馬鹿にされるだけです。

 ただ中国は、北京が射程圏内に入る北の核ミサイル保有は容認できないはずです。したがってこの面で両国は摩擦関係です。 反面、金正日に韓国を攻撃させ、米韓日3国を追い詰めることは両者にとって利益です。中朝の関係は「摩擦と相互利用」というヤクザの親分と子分の関係に酷似しています。

 

 限界のない我慢は奴隷

 北は、128日、白翎島の近くのNLLに大砲を打ち込んできました。限界のない我慢は「奴隷の我慢」です。 ヒットラーを増長させたのはイギリスとフランスの宥和政策であったことは広く知られた史実です。戦争を防ぐのは断固たる態度をとる以外にないことは歴史が物語っています。何よりも韓国は砲撃され、日本は尖閣諸島を中国に狙われています。ロシアも日米の合同軍事演習を公然と妨害してきました。相手()の意志が弱い、甘いと見れば、寄って集って襲いかかります。これこそ日韓米が直面している現実です。

 

現実を学習、将来に生かそう

佐藤 今東アジアで起きていることは、日韓米が、中朝にどう対処し、自由民主体制の安全を護るのか。金正日政権の「末期的自爆テロ」を未然にどう封じ込めるのか。情勢と課題は鮮明になってきました。日本の民主党政権は、合同軍事演習と言う名の戦争が始まったのに、この戦列から離脱し、党内の主導権争いにエネルギーを消耗しています。

政権が自滅するときはいつも似た現象が起こります。自民党も駄目、民主党はさらに駄目だった。選挙民はこの現実から何を学ぶのか。だが、この現実を作り出したのは他ならぬ有権者、有権者の(投票)行動です。自分のため昨今の事態を勉強して欲しい、と思います。

 

洪 金正日の挑戦やその背後の中国共産党の覇権主義、つまり大陸独裁勢力からの現状変更の圧力に立向かうためには、自由民主主義の価値観に対する確信とこれを護り抜くという意志が必要です。

金正日体制と中国共産党の戦略、攻勢の根源が軍事力、その中でも特に核ミサイルである以上、韓日は、向こうの圧力・戦略を一挙に無力化する戦略やこれを実行する意志を闡明する対応が避けられません。今のところ韓日が取るべき選択は中・朝への強力な独自の抑止力確報です。われわれの自由、われわれが享有する体制を護るための投資を今怠ると日韓は将来もっと高い代償を強いられることになります。(2010年12月12日)
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