対談・洪熒・佐藤勝巳

 

来日の目的不明

佐藤 キムヒョンヒ氏が来日(720日から23日まで)しましたが、あのバカ騒ぎはなんですか。呆れてものが言えません。

 ソウルでは、アメリカの国務長官・国防長官が韓国のカウンターパートナーと22で哨戒艦撃沈問題を協議し、軍事境界線を4人で視察し、金正日政権に圧力を加える行動をとっているときに、日本では前首相の軽井沢の別荘で、キムヒョンヒ氏と田口八重子氏の長男がエプロン姿で料理を作り、飯塚家と会食をしている。国際情勢への余りの認識のズレニ、あいた口がふさがりませんでした。

 

 特別機まで使って何のために日本に呼んだのか、信じがたい騒ぎです。彼女は、ほぼ23年前に韓国に来ていますから、日・韓当局は拉致について色々な角度から聞いたはずです。決定的な新しい情報が出るはずがありません。日本政府の責任者である拉致担当大臣はその事実を知らないはずがありません。別の伏線があったのでしょうか。

 

佐藤 721日付読売新聞の社説は、キム氏来日の目的を「国民に拉致事件への憤りと関心を持ってもらうため」と書いていましたが、これが事実なら、今回見られた秘密主義や贅沢ぶりは逆に国民の反感を買っただけです。民主党は口さえ開けば、国民の目線とか、生活第ーといっていますが、キム氏をチャーター機で送迎し、ヘリコプターで観光させるのが国民の目線なのか。そもそもなぜ日本に呼ばなければならないのか。被害者家族がキム氏と食事をしたいなら、韓国に行って食事をすべきです。横田家が彼女に会いたいなら、自分たちのカネで韓国に会いに行けばよいのです。

 

家族会、救出運動“お前もか”

佐藤 拉致は、個人の尊厳と人権の問題ですが、日本国家にとっては主権が侵害されたことです。拉致解決は、犯された主権の回復、蹂躙された人権の復元です。ところが今度民主党政権がやったことは、キム氏とー部被害者家族との会食、面会というもので、新事実が出てきたわけでもありませんから、拉致救出に何の役にも立ちません。特に、犯された主権侵害を回復するという闘いとは無縁です。

いまひとつ問題なのはこんな、とんでもないプログラムに被害者家族など一部の救出運動関係者が同調したことです。国民の目線で言うなら、「家族会、救う会“お前もか”」ということです。全国の心ある国民が、救出運動に参加してきたのは、特定の家族救出のためではなく、国家の名誉を回復するための戦いが根底にあったからです。

それをないがしろして、あんなバカ騒ぎをしたのが民主党政権です。民主党とー緒になって国民を裏切ったのが一部家族会幹部と運動幹部です。

 

運動の質の低下

洪 家族の中には親が年を取った、生きているうちに会わせてやりたいと訴える人がいます。お気持ちは当然で、分かりますが、あの悪魔の金正日を相手に何人かの日本人拉致被害者のみを地獄から救出することが現実的に可能でしょうか。こんな要求の仕方でよいのでしょうか。法治そのものが存在しない北の2000万人以上の人間、核兵器で脅迫されている人間は拉致被害者家族以上に沢山います。

悪の体制を倒さなければ拉致の根本的解決は期待できません。その認識が家族会などの共通認識になっていたら、今回のようなおかしなことは起きなかったはずです。めぐみさんに会ったことがあるかどうかが、なぜ、そんなに重大なことなのですか。すでに分かっている二十数年前の事実がどうしてあんなに騒がれるのか、理解の仕様がありません。

 

佐藤 救出運動は、質として明白に後退しています。軽井沢の別荘で手料理などと中井大臣から提案があったら、国民の常識から言って受け入れられない。ヘリで空から日本観光、そんな非常識なこと同意できないと断ればよいのです。それに同意したのですから、中井大臣と同質ということが明らかになりました。

 

評価を下げたキムヒョンヒ

 さっき拉致事件への公憤と関心を持ってもらうと言う話がありましたが、今指摘があったように、逆な結果を招きした。私は、韓国当局に問題があると思います。 韓国当局は安全や警護という理由で、彼女の自由を事実上束縛してきました。何よりも自由社会でのまともな高等教育の機会を与えるべきでした。そうしたら、彼女は当然、より正常な人間関係や交流を通じて、もっと成長したはずです。そして自由開放社会での権利や責任を実践する日常を営めるようにすべきでした。それが出来ていたら、日本政府のこんな馬鹿げたスケジュールの招請には応じなかったかも知れません。

彼女がなすべきことは、料理を作ることではなく、また、訊かれた事にばかり答えるのではなく、日本の拉致家族並びに日本社会に、彼女自身のことを、つまり、自分が平壌で大学に在学中、労働党から工作員になるように命じられ、親子の縁を切られ、「国家や首領」に拉致された体験を具体的に話すことです。

内戦中の国々で、誘拐された子供たちが兵士として戦場へ駆り出されるように、北では聡明な青少年が工作員として教育され、他国の人々を拉致・誘拐してきて、彼らを工作員に仕立て上げ、外国人をさらってこさせるという「悪の世界」を彼女は暴くべきです。そうすることが拉致への義憤をかき立て、公憤の共有化が図れることになるのです。彼女はそれをしなかった。多くの人が彼女に失望したと思います。

 

没主体的な中井大臣

佐藤 それにしても中井大臣の態度は誤りです。記者達が批判的質問をすると、「家族会、韓国側の要望によるもの」と回答していましたが、民主党政権は韓国当局と家族会の要望ならなんでも聞くのですか。 常識に反することは相手が誰であろうと断るべきです。政権の主体性は何処にあるのか。没主体と言うことでは鳩山由紀夫氏と同じです。

要するに金正日政権をめぐる米中の確執は、北朝鮮の覇権争いに収斂されてきています。菅内閣はこの情勢を分かろうとしていない。だから、軽井沢の別荘で手料理を作って会食をすることで拉致に対する怒りや関心が高まるというような、信じがたいことをしでかすのです。それにしても家族らは10年以上も救出運動に係わって、何も学ぼうとしない怠惰な態度は批判から逃れることは出来ないと思います。

 

他人の痛みを感じない家族会

佐藤 東京にいる幹部は、国民とー緒に運動していないから、経済不況の中で苦しんでいる国民の気持ちなど分かりません。いや、知ろうともしていないのです。拉致奪還のために全国の活動家が炎天下で署名運動をしていることや、職のないものが不安に怯えていること、金正日の暴政下で人が大量に殺戮されていることをリアルに認識していたら、今回のようなことはできなかったはずです。

そして自分の子供が拉致されているのに、テレビカメラに向って、いつもニコニコ笑って発言している横田滋氏の態度は、世の中の感覚とは著しくずれています。テレビに出てくる他の家族からも、真剣さがほとんど伝わってきません。運動の質の低下は目を覆うばかりです。今回の事態は起こるべくして起きたということです。

また、メディアが被害者家族を甘えさせたのが主要な原因ですが、いつの間にか勘違いをして、一部の家族が、尊大な態度で国民に臨んでいます。国民の側にも嫉妬もあって、「あの人達は、拉致が解決したら困るのではないか」など公然と言われだしています。

 

自らの言動を矛盾と感じない民主党

 そもそも民主党政権が彼女を日本に呼んだのは、平壌側から見れば敵対行為です。キムヒョンヒは日本人拉致に対し、真相を語り貢献したことは周知の通りです。しかし、その彼女が評価を下げて帰りました。結局、こういう結果にー番得したのはキムジョンイル(金正日)と言えます。他方で民主党は、総連所有の高等学校の学生の授業料を援助すると言っています。とんでもない矛盾です。なぜ、これが矛盾と彼らは感じないのでしょう。

 

佐藤 支離滅裂です。笑ってはおられないのですが、漫画ですね。中井大臣は「拉致のことは俺がー番詳しい」と公言しているようですが、このような思い上がった発言は本人および日本の利益を損ないます。慎むべきです。菅内閣の金正日政権に対する認識の度合いは、1990年の金丸訪朝団の水準を超えていません。

この程度で「政治主導」といって政策を勝手に推進されたら、必ず足をすくわれます。今回のバカ騒ぎはその始まりです。民主党政権の傲慢な体質は危険、非常に危険です。(つづく)

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60年間の戦争を終わらせるため

洪熒(統一日報、2010623)

1950年6月25日、日曜日の明け方、金日成はソ連と中国の全面支援の下、大韓民国を奇襲攻撃した。天安艦への魚雷攻撃(今年326日)のように宣戦布告なしの卑怯な不意打ちだった。

中国共産党の媒体「環球時報」は先週の17日付で、60年前の「6.25戦争は金

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スターリン

日成とスターリンが起こした、共産圏の侵略戦争であったことを認める長文の記事を掲載した。なお、中国(毛沢東)は巻き込まれたと主張した。


共産圏の目標は、アジア大陸の東端に出現した、自由民主の大韓民国を抹殺することだった。事実、国連が第2次世界大戦後初めて、民主的政府樹立として認めた国が韓国だった。また、共産圏が武力まで動員した「スターリン主義」の移植に挫折した唯一の国が韓国だった。朝鮮戦争は20世紀後半の東西冷戦の流れを方向付けた。

朝鮮戦争は勃発から60年経った今も、自由民主(南)と野蛮な独裁体制(北)が互いに妥協できない熾烈な戦いを続けている。韓民族史の正統性を争う闘争でもある。韓国と自由世界は、この戦争で勝利するため、原点に戻って見なければならない。

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戦犯1号は金日成だ。
19458月、日本の敗戦で北韓を占領したソ連軍は、素早く専制的な共産独裁体制「スターリン主義」の移植に着手した。私有財産の無償没収から始まった共産主義の暴圧体制は、日本の植民地時代より遥かに苛酷なものだった。

ユーラシア大陸に跨がる帝国を拡張していたスターリンは、極東の新しい衛星国・植民地となった北韓を「朝鮮民主主義人民共和国」と直接名付けた。モスクワの操り人形だった金日成は、スターリンに気に入ってもらうと同時に、自分の権力基盤強化のため、米国との全面対決を避けようとしていたモスクワと北京を説得し、韓半島赤化戦争を懇請した。

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金日成は、トルーマン米大統領の迅速な韓国救援決断によって戦争で敗退するや、53年の停戦後から米国に復讐するため「間接侵略」(破壊工作と政治謀略戦)に転じ、韓半島の外へと戦場を拡大し韓半島赤化の策動を続けた。平壌側は韓米同盟を弱化させ、米国と自由陣営を苦境に陥れるため、手段を選ばず彼らの持つ全てを投じた。

韓国はこの戦争でアジア大陸から完全に切り離され「島国」になった。だが、米国と同盟を結んだ韓国は、平和でない環境・条件下でも、先進海洋文明と連帯し韓半島史上最強の軍隊と、世界有数の経済力をもつ近代国家を建設した。

反面、平壌側は、すでに失敗した共産独裁体制と同盟を結んだ。韓国が10人の大統領の下で国家を建設してきたのに対し、「金氏王朝」の2人は60年間も人民から収奪・搾取しつつ、鎖国的兵営国家・収容所国家を作った。

韓国が「漢江の奇跡」への道を走っていた冷戦時代、北韓はモスクワと北京の下請人として、紛争やテロを輸出する不良国家・テロ国家の代名詞になった。90年代半ば以降、北韓では人口の15%に当たる300万人が餓死した。金日成と金正日は、僅かな資源を人民のための拡大再生産にほとんど投資せず、ひたすら核武装など軍拡に注ぎ込んできたためだった。

スターリン主義の最悪の変種である「金氏王朝」の下、人民の暮らしは日本の植民地時代より遥かに後退した。人民は、日本の植民地(35年間)の倍近い65年間、さらに苛酷な「スターリン主義」や「金氏王朝」の収奪・搾取の対象になった。男性の身長が植民地時代より低くなったのは、北韓が過去100年間、植民地状態であることを物語る。

53年に調印された停戦協定は、平和を意味しなかった。平壌側はすでに停戦協定の破棄に何度も言及している。

「天安艦事件」は、北側がこの57年間、韓国に対してやってきたことを端的に示す象徴的な事件だ。

そもそも、共産主義や全体主義独裁体制にとって、平和とは形を変えた戦争の延長にすぎない。停戦協定により、戦場は韓半島から地球規模に拡大した。冷戦化した6.25戦争で韓米と戦ってきたのは「金氏王朝」だけでない。北韓を庇い支援した勢力は、中ソをはじめとする共産圏はもちろん、自由世界の中にも多かった。多くの犠牲者を出した拉致問題も「金氏王朝」の反人類犯罪の一部である。

日本は特に重要な位置を占めてきた。625戦争勃発後から駐韓国連軍司令部の後方司令部が設置されている日本は、韓米同盟の後方基地であると同時に、共産圏の最大の攻略目標であった。沖縄の普天間基地は、今も日本国内の国連軍後方基地の一つだ。日本内で金氏王朝に盲従する朝総連や彼らを庇護する勢力も、韓国と自由民主主義の敵である。

6.25戦争」は、新羅が7世紀に百済と高句麗を統一して以来、韓半島で起きた最も長い戦争である。この戦争はもう終わらせねばならない。韓国は北の住民にも自由や人間的な生を与えられる能力を持っている。北の同族救助は、大韓民国憲法の命令でもある。

日本の植民地からの解放は、韓国人自らが勝ち取ったものではなかった。韓国が南侵に耐えられたのも米国のお蔭だ。冷戦中に奇跡的発展を遂げられたのも、自由市場経済を共有した友邦の支援・協力なしでは不可能だった。北韓同胞の解放でも、誰かの支援を期待しているのか。

韓国の今までの成功は、北韓を解放してこそ意味がある。57年にもおよぶ休戦期間は、韓国が韓半島を自由統一する実力を蓄えるための時間ではなかっただろうか。

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今韓国の前には、60年前の冬、韓国と国連軍による韓半島の統一を阻止した中国が、より大きくなって立ちはだかっている。だが、今の韓国は60年前とは全然違う国だ。60年前に夢見た統一が、今からできないはずはない。問題は信念と勇気があるのかだ。

世界の一人前の国は、全て国運をかけた挑戦を乗り越えてきた。韓国は悪との連帯を「同族愛」と思う錯覚から覚めねばならない。

人間も共同体もより高い理想と目標を追求し続けてこそ発展する。2000万の同族を奴隷状態から解放することは、韓国が真の先進国になるための条件だ。

こういう素晴らしい歴史的課題が与えられた国やその主役の世代は、偉大な目標が与えられたことに感謝すべきだ。60年におよぶ戦争に勝利して100年植民地の北韓同胞を解放しようではないか。(6.25戦争」60周年を迎えて)

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(対談:佐藤・洪熒)

 

佐藤 62日、韓国で地方選挙が行なわれました。北の魚雷攻撃による哨戒艦撃沈の調査結果が発表された2週間後でしたから、北に近い民主党系候補は全滅するのではないかと思って見ていました。ところが意外や意外、ハンナラ党が苦戦した。選挙結果は、知事・ソウル市長など15人のうち、ハンナラ党が6人、民主党が7人、自由先進党が1人、無所属2人が当選した。一体選挙で何が起きたのか、お聞かせて下さい。

 

親北左翼が問題をすり替え

 投票日の1週間前にソウルに行き、投票日に帰ってきたので、ソウルで選挙戦を観察できました。撃沈された天安艦の調査発表が520日、李明博大統領が24日国民に談話を発表しました。あの談話の内容は、北が再び類似の侵略を行なったら「断固反撃する」という、威勢の言い極めて常識的なものでした。

あのまま行けば、地方選挙は与党ハンナラ党が大勝するという雰囲気でした。だが、政治は生き物で、あっという間に雰囲気が変わってしましました。つまり、天安艦沈没の当初から北を庇護してきた民主党など親北左翼は、「天安」を轟沈させたのが北側の重魚雷であることが証明されるや、慌てて、李明博大統領やハンナラ党の対北「強硬路線」で行ったなら「戦争が起きる」「戦争か平和かの戦いだ」と選挙の争点をすり替えてきました。

絶対に有利な戦でも決定的な勝利の瞬間に攻勢を緩めば敗北する。という常識を再確認させられました。

 

佐藤 529日、30日に済州島で韓、日、中3国の首脳会談が開催されました。平壌はそれに狙いをあわせて24日の李明博発言を糾弾する10万人の抗議集会を30日平壌で開き、「戦争も辞さず」と声高に叫んでいました。韓国の左翼(金正日に従う勢力)は、北と打ち合わせて、そして中国共産党も巻き込んで「戦争か平和か」という戦術転換を図ったのでしょうね。

 

若者の半分が政府を信用せず

 哨戒艦に対する政府発表があった直後の世論調査で、多少の誤差がありますが、約25%が政府の発表を信用しない、という反応でした。若者では約半分が信用しない、という数字でした。多分、北はそれに着目したのではないかと思います。現在の韓国では、何が何でも李明博政府に反対という勢力が4人に1人います。だから、この25%が扇動に成功すれば、事案によっては2人に1人が政府に反対、あるいは北の肩を持つということになり得るのです。

 524日の大統領談話の中で、今回の平壌側の侵略行為に対して韓国独自の制裁や国連などで協力して北へ圧力を加える、と色々言及したのですが、肝心な韓国内の金正日への追従・内応勢力をどうするのかについて言及がありませんでした。実際何もしませんでした。

 

海外にデマ宣伝

佐藤 韓国では、『アメリカの潜水艦が韓国哨戒艦を撃沈したのだ』という出鱈目な情報を英文で世界中に発信している者がいるそうですね。私の知り合いの新聞記者は、社内では韓国語より英語を読める記者の方が圧倒的に多いから、英文の出鱈目な情報を信用する仲間が多いといっていました。これは北がいつもやる手口なのですが、哨戒艦は間違いなく北が撃沈したということを、韓国内に周知徹底されていれば何も恐れることはありません。しかし若い人たちの半分が政府の発表を信用しないというのは、深刻ですね。

 

内部の敵との戦いを軽視

 そうなのです。「天安艦事態」だけで泣く、韓国内部の敵、つまり平壌への追従(内応)勢力ら英文で世界にデマ情報を流しているのですが、この連中と押さえなくては、韓国の安保は守られません。

もっとも、「従北左翼」より問題なのは「中道勢力」です。ハンナラ党を含むいわゆる「中道勢力」は親北・反逆勢力と戦おうとしません。彼ら(中道)は、嘘や悪や独裁に対して怒りません。そういう病んだ価値観をもった中道論者や奸臣、左翼らがあらゆる権力を押さえています。

核武装をした金正日が停戦協定を事実上破棄したから、戦争に対処できる体制を固める必要があるのに、それをやっていません。その結果、左派に巻き返される隙を作ってしまったのです。

艦長が「敵の魚雷にやられた」と報告しても、それを大統領にもマスコミに伝えず、北の犯行隠しに手を貸した青瓦台の安保・広報ラインを李大統領は一人も辞めさせていません。

 

佐藤 大統領府の安保ラインにまで北のシンパを抱えていること自体が考えられないことです。李明博大統領は524日あれだけ原則を明らかにしたのですから、当然、「軍を信用するな」と言ったスタッフは更迭すべきです。李大統領の中道路線の限界なのでしょうか。

 

 従北左派から「戦争勢力」と攻撃が掛けられると、李大統領は投票2日前の531日「中道実用の基調に変わりはない」と発言しました。哨戒艦を奇襲したのは北です。戦争勢力が北であることは明白です。何が中道なのか。なぜ断固として反撃しないのか。保守勢力は李明博大統領の姿勢を降伏路線と見なし、支持を撤回した。だから選挙に負けたのです。まったく話にならない。

 

安保に対する曖昧な態度が敗北を招いた

佐藤 李明博大統領は制裁の一つとして、軍事分界線で、対北放送を再開する、と言いました。北は、それに対して武力で放送施設を攻撃するといっていましたが、放送を始めたのでしょうか。

 

 昔あった拡声器など施設は取り外しましたから、新しく施設作業が必要です。それには一定の時間がかかるということを、事実通り言えばよいのに、それを言わないから、脅されて中止したかのような印象を与えてしまった。とにかく、投票1週間ほど前から、左派の扇動・心理戦攻勢に完全に押されて流れが変わってしまいました。

 

選挙に負けたのは中道で、保守ではない

 今度の地方選挙を通じて「成果」があるなら、李明博とハンナラ党の性格・正体が非常にはっきりしたことです。金大中・盧武鉉に繋がる金正日と連帯する従北左派、李明博とハンナラ党のようないわゆる中道はあるが、健全な常識人、つまり愛国・保守勢力を代弁する政党がないことが明らかになったことでした。

趙甲済氏に代表される韓国の愛国・保守、常識人の声に、ハンナラ党はまったく耳を傾けようとしませんでした。今回の選挙は、中道勢力が左派に敗れたものであって、保守が敗れたのではありません。愛国勢力は、韓国社会の健全な常識人を代弁できる、安保と統一を目指す保守政党を持つべきだと痛感しました。

 

佐藤 そのほか今回の選挙を総括すれば……。

 

 今回の選挙で盧武鉉路線の継承を誓った李光宰(江原)や安煕正(忠南)や宋永吉(仁川)など「主体思想派」の「486世代」が復活したことは、そして、人口の半分を占める首都圏の教育長を北に近い全教組系に取られたことは、李明博政権2年間が真の政権交替でなかったことを、さらに2012年の大統領選の前哨戦が始まったことを物語っています。

特に、江原道知事に当選した李光宰の場合は、彼自身や彼を公認した民主党も破廉恥ですが、兵役忌避や政治資金法違反の候補を選択した有権者も責任を免れません。

ポピュリズムや宣伝扇動に弱い愚かな有権者を覚醒させねばならないのに、小学校から高校までの教育を掌握する教育長を左派に握られたのは痛かったです。

でも、地方選挙で「従北勢力」が威勢をふるい、そして保守には陣地がないことが分かったことで、愛国保守勢力を奮発させる契機になったのではないかと思います。

 

佐藤 大統領選挙まで約2年となりました。ゆるぎない理念を持った保守党の創出を期待しています。

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選挙は民主主義制度の華であり、かつ要である。選挙はその社会の成熟度や健康度を診断できる機会でもある。だからこそ、選挙制度が健康に機能するように努力せねばならない。

李明博政権への中間評価と言える62日の地方選挙だったが、李明博政府への評価だけでなく、韓国社会がこれから克服せねばならない諸問題が浮き彫りになった。

 

今回の地方選挙は、海軍哨戒艦「天安」の爆沈事件という、「6.25戦争」以来の未曾有の安保危機の中で行われた。政府が「天安」を爆沈させた北韓産重魚雷公開したのは投票の2週間前だった。国際社会が金正日政権の侵略行為を糾弾し、李明博大統領の強硬な対北措置を支持する環境の中で行われた地方選挙でもあった。

 

だが、選挙結果は野党の勝利。「政変」と言えるほど常識的に起こりえない現象だった。親北勢力は正常な選挙運動でなく、北側と連帯して戦争の不安を煽る扇動と謀略、つまり反逆的選挙運動を展開した。民主党は天安艦爆沈と金正日は無関だと主張してきただけに、投票1週間前から、李大統領とハンナラ党の対北膺懲は戦争を招くというキャンペーンに出た。李明博大統領の最大の弱点である没概念と卑怯さを衝く戦術だが、民主党は勝利のために敵(金正日)と露骨に連帯した。選挙には勝ったが、自ら親北勢力であることを証明した。

 

今回も政治的良識に挑戦した犯罪暦のあるものや悪質的な兵役忌避者がたくさん出馬した。昨年自殺した盧武鉉前大統領の路線継承を誓った、「486主思派」の核心人士ら(李光宰江原道知事、安煕正忠南道知事、宋永吉仁川市長など)が堂々と復活した。彼らには、政治資金法違反や、「北核」を露骨に擁護してきた前歴があった。有権者たちはそれを知りつつ支持した。この常識なき投票行動とそれに伴う結果は有権者の責任だ。

もっとも、北韓産魚雷CHT-02Dの物証を提示されても、天安艦の爆沈事件が金正日の仕業であることを認めなかった人々が有権者の4分の1もいた。常識の基準がここまで異なると、一つの共同体を維持するのが難しくなる。

 

国家の安全を護るための基準・常識を統一させる責任は政府にある。法治こそ唯一・最高の基準であるはずだが、李明博大統領は、自らに課せられた憲法的・歴史的責務を果たそうとせず、法治を破壊する勢力を温存させている。

 

先週、韓米連合軍の戦時作戦計画5027を敵に漏洩した現役陸軍将星が摘発されたが、「主敵」を同伴者と強弁した親北左翼政権の国家的反逆構造もまったく是正されていない。ローマは外からの侵略で滅びたのでない。内部から崩壊したのだ。

 

天安艦爆沈への膺懲と自衛権に反対する内部の敵‐野党や親北勢力に対して、李明博大統領とハンナラ党は一言の反駁もしていない。「中道実用」と経済回復ばかりを言っている。李大統領は、天安艦爆沈後誤った分析を報告で大統領と国民を騙した青瓦台安保ラインの一人も処分していない。あらゆる権力の周辺が病んだ価値観を持つ者らで溢れている。

 

親北野党はもちろん、中道与党も常識人の国民に深い挫折感を与えている。ビジョンのない国民は滅びる。韓国社会に常識を取戻すため戦う健全な保守政党の出現なしに、北韓開放も韓国の未来もない。(201067)

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                            (対談:佐藤勝巳・洪熒)

 

「非核化」と無関係な首脳会談 

佐藤 金正日訪中(5月3日‐7日)ついて、その目的や結果などに関係者の関心

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が集まっていたと思いますが、両国とも韓国哨戒艦撃沈は大事件であるにも係わらず、コメントでも一切触れませんでした。それどころか金正日は、北京から帰国して1週間も経たない512日、水爆製造に繋がる「核融合に成功した」旨を発表しています。
 この発表を見れば分かるように、北に対する中国の影響力には限界があるということであり、北の非核化などとは無関係であった、ということです。

印象的だったのは、金正日は今度の中国訪問中、意図的にカメラに自分を曝け出していたことです。これは、「天安艦」奇襲の犯人と指目される雰囲気を変えようとする金正日の演出が底意にあったのではないか、と私は見ています。


天安撃沈は「予告」どおり

 「天安艦」撃沈は韓国だけでなく東アジアの安全保障上大問題です。中国がこれに

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対してどういう態度を取るのか。中国は「調査の推移を慎重に見守っていく」などといっていますが、いまさら何を言っているのか、です。

平壌側は、金正日が病気で倒れた(20088)後から万事焦りが目立ちます。09年の「新年辞」から李明博政権に対して、盧武鉉政権などが北に約束した経済援助などを実行せよと要求し、「朝鮮人民軍総参謀部」や統一戦線部のダミー組織、「祖国平和統一委員会」は、実行しなければ(南・北間の)政治的・軍事的なすべての合意事項を無効にする」、「西海の北方限界線(NLL)に関する合意を破棄する」、「火と火、鉄と鉄がぶつかり合う戦争の一歩手前だ」(09130日の「祖平統」声明)、「無慈悲な攻撃を加える」と言ってきたことは広く知られた事実です。そして偵察総局を作りました。金正日は自分が否定したはずの40年前の「対南事業総局」の武力冒険主義路線に回帰したのです。

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対南復讐の予告通り、平壌側は天安を撃沈しました。韓国の哨戒艦を攻撃したのが北でないとすれば、あの海域にもっとも近い中国が攻撃したのか、ということになります。天安撃沈事態もそうですが、中国はどういう基準からみても一貫して金正日をかばい続けています。韓国の哨戒艦を武力で撃沈した北を相手に6者協議を云々する中国の態度は言語道断であり、正常な韓国人なら反発して当然です。

中国の責任を問う

佐藤 金正日政権の原爆保有を阻止することが目的で「6者協議」が設けられたはずです

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が、その協議の過程で金正日は06年、09年の2回も核実験を強行しています。「5者」にとって、これほど明白な外交の敗北はありません。中国が仮にも6者協議の議長国と自任したいなら、金正日を抑えられなかった最大の責任は中国にあります。しかし中国はそれに一言も触れていません。「天安」が撃沈され、韓国政府は中国に金正日を招請しないよう求めていたにも拘らず、無視して金正日の北京入りを認めました。日韓米はもっと厳しく中国に対処すべきです。

  

韓国の核保有抑止で一致

 ご指摘のように6者協議の目的は北の非核化であったのに、今回の中国側のコメントを見ていると、「朝鮮半島の非核化」と目的をすり替えています。韓半島の南には韓国はもちろん、アメリカの核もありませんから、朝・中の意図は北の原爆廃棄を棚に上げて、韓国の核抑止力を阻止することで「意見の一致」を見ることにあったということです。破廉恥で「犯罪的」な会談です。

 

佐藤 平壌側発表にはないのですが、「朝鮮日報」(58日付)は、中国「新華社通信」(7日付)が「両国は毎回あるいは長期的に両国の内政・外交問題での重要問題や、国際・地域情勢、党・国家統治の経験など共通の問題について、深度ある意思疎通を図る必要がある」と要約して報じています。「内政・外交」「地域情勢、党・国家統治の経験」の「意思疎通」など信じがたい報道がありました。これは極めて注目すべきものです。

 

中国の内政干渉容認か

 中国は、共産主義政権を樹立した以降「互恵平等」、「内政不干渉」を「外交」の基本だと唱えてきました。今紹介された中身はこれから露骨になると思いますが、中国側が韓半島の北を「保護国」乃至「植民地」のように管理すると闡明したも同然です。

中国は北に対して随分前から「中国式の改革開放」をやれと言ってきました。誰も明確に指摘しなかったのですが、あれは歴とした内政干渉です。それを受け入れたら首領独裁体制が維持できなくなりますから平壌は抵抗してきたのです。中国共産党の基本姿勢は中国と海洋勢力の間に、一種の緩衝地帯を置くことです。今回の新華社の報道は、その政策を一歩踏み込んで要求したのでしよう。もっとも中国側は、韓国に対して韓米同盟は東西冷戦の遺物だから破棄せよ、とまで言っています。

 

「核の綱渡りやめろ」

佐藤 歴史は繰り返している、という感じがします。中国が核実験をしたのが、1964

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年ですが、中ソの対立が顕在化するのがこの年からです。それまでソ連は、社会主義圏の唯一核を保有した盟主として君臨して来ました。中国が核を保有すると、社会主義圏内の力関係に変化が生じますし、西側の扱いも違ってきます。 ソ連は面白くなかったはずです。

これと同じことが、今中国と金正日政権との間に起きてきている、ということではないでしょうか。513日付中国共産党傘下の機関誌「環球時報」、国営新華社系の「国際先駆報道」などが、前述の北の「核融合」発表に対し、「核の綱渡りをやめろ」(朝鮮日報514)と厳しい批判をしていることがそれを裏付けています。中朝の核の「覇権争い」という側面と、中国が下手に締め上げると金正日政権を崩壊追い込み、ポスト金正日の急変事態を自ら招きかねないので、そのリスクは避けたいという打算もあり、依然として朝・中の駆け引きが続いているのではないかと思われます。

 

核拡散の張本人は中国

 中国が独自の原爆開発に着手したのはご指摘の通り中ソ対立が切っ掛けですが、初の原爆実験は、ちょうど、東京オリンピック開催期間(196410)中でした。日本をはじめ欧米への報復の意志表示という象徴性もあったと思います。結局、中国は原爆を背景に国連の常任理事国になりますが、その後の中国共産党の動きを見ますと、アジア、アフリカ、ラテンアメリカなどの第3世界の反米を応援し、イスラム過激派やポルポト派を援助し、北やパキスタンなどに核技術を提供します。中国共産党こそが核拡散の張本人です。

教養ある人々の中の多くの人が鄧小平を称賛しますが、これはとんでもない間違いです。中国共産党のプロパガンダが創りだした鄧の顔は「改革開放」「市場経済」とソフトですが、彼の本当の顔は、「アメリカ帝国主義」の手足を縛るために、平壌やパキスタンやイスラム世界などに核技術を拡散するように命じ、天安門事態の時「民主化」の要求を武力鎮圧するように指令した共産主義者です。

中国共産党指導部にとって、北に核技術をお教え、彼らが原爆を保有しても北京に敵対する政権でなければ心配はありません。北の力を西側に向けさせればアメリカなどに対抗手段として都合がよく、もし北京に敵対するようになったら、1979年にベトナムにやったように武力で抑えればよい、と考えて世界戦略を行なってきたのです。だが、中国はアメリカの力の衰退気味や日本の無気力などを見ながら、いよいよ北を直接管理することにしたようです。

 

日韓が北の体制転換の決断を

佐藤 アメリカ国務省は金正日訪中で、北に「変化なし」と冷たい反応を示しています。「まず韓国哨戒艦『天安』沈没に関する真相を究明してから、6者協議再開論議を行なう」という態度は変わっていません。岡田克也外務大臣は、天安撃沈事件で「韓国の立場を支持し、必要な協力は惜しまない」と表明しました。

一応、天安撃沈で韓国、日本、アメリカの足並みが揃ったわけですが、この3国の団結いかんで、中国の対応も変わります。 今まで繰り返し言ってきたことですが、北の体制を変えなければ同じことが果てしなく続くということです。何よりも韓国と日本が決断しなければ、情勢は変わらないことで意見の一致を勝ち取ることでしょう。

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洪 中国は「建国」(1949)して1年後、韓半島を侵略しました。韓半島の北から「スターリン主義の植民地」が消滅するのを阻止する目的でした。中国共産党は、又も崩壊しかかった史上最悪の「スターリン主義の変種」の野蛮を救うため、なり振りかまわずに覇権主義の馬脚を露わしていると言えます。野蛮をかばう勢力は野蛮です。悪を利用し悪と連帯する勢力はそのものが悪です。自ら悪や野蛮の保護者になる選択をした対象に対しては、その悪と野蛮性を矯正する対応が必要です。

 

*写真説明(上から):大連を訪問中の金正日、天安艦の切断面、韓国軍が見付けた天安を撃沈させた北韓産重魚雷CHT-02Dの破片、金正日と胡錦濤、中国の原爆実験(196410)、「6.25南侵戦争」中の金日成()と彭徳懐()

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                                          対談・洪熒・佐藤勝巳(2010430)

 

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 佐藤 韓国の哨戒艦「天安」を魚雷攻撃で撃沈したことを、北はいつもの調子で「デッチ上げ」と言って否定しています。青瓦台(大統領府)からは、事件当初の軍に対しての「証拠を出せ」「予断するな」というような信じがたい発言はさすがに聞かれなくなりました。

 問題は、北がどういう情況の中で韓国に攻撃を仕掛けてきたのか、です。これから韓半島に何が起ころうとしているのか。金正日政権はアメリカに向かって停戦協定を平和協定に替えようと、繰り返し提案していますが、今回の哨戒艦撃沈事件とこの主張との関連はどういう意味を持つのか、なども話し合ってみたいと思います。

 結論を先に申上げますと、不幸なことですが、事件は起きるべくして起きた、ということです。

 

中・朝間の国際認識に大きなズレ

 昨年、ミサイルと核の実験をして国連安保理で北に対する制裁決議が採択された直後に、北は、「ある国はわれわれの前では、われわれを支持し、国連では逆の態度をとっている」と言って、事実上中国、ロシアを名指して「裏切り者」と言わんばかりに批判しました。だが、中国は、北が今ミサイルや核実験で世界を敵にまわすことは、愚か者のやることだと腹の中では思っていると思います。国連において、中国が金正日のため中国自身が困るようなことをやるなどありえない話です。反面、北は宇宙は平壌を中心にまわっていると考えていますから、同調しない中国は「裏切り者」と映っています。

中国経済は近年、否応なしにグローバルスタンダードという欧米のシステムとの繋がりが深まっていくしかないのが現実です。中国は19世紀以来味わった屈辱を晴らし、復讐するためには力をつけなければならないが、これからも暫くは国際社会との全面的な摩擦は避けなければなりません。ところが、北がやったことは、逆に鎖国、先軍政治、核ミサイル開発政策です。中国とは逆な路線をとっています。中朝間では国際社会をどう捉え、どう対応していくのかで、戦略的・戦術的に大きな差が生じているのではないのか、という印象を受けています。中国と北が生きる生態系は同じものでないと言えるのではないでしょうか。

 

佐藤 昨年末頃から金正日が北京を訪問する、する、と言いながら未だ実現していません。中・朝2国間で解決しなければならない問題も多いはずですが、今指摘のあった国家として、国際社会にどう対応して行くのか、アメリカの評価も含め、埋めがたい溝が生じ、調整に手間取っているのではないかと思います。

 中国から見ると、金正日政権は核ミサイルの開発に全てをかけ、国連の制裁決議に中国が反対しないから「裏切り者」呼ばわりをし、経済が行き詰まると「援助をしろ」と言ってくる厄介で面倒くさい存在だと思っています。また、中国の企業が茂山の鉄鉱石の採掘権(50年間)を北朝鮮から買いました。しかし、金正日政権が契約を実行せず、結果として中国企業が詐欺にかかったようなケースもかなりあります。やりたい放題です。中朝2国間関係でも緊張している問題を沢山抱えています。

 

自閉症的「先軍政治」

 北は、昨年、憲法を改正して「先軍思想」を国家指導理念に、国防委員会を最高権力機関にした。特に注目されるのは、党の作戦部や35号室と人民軍の偵察局などを国防委員会の「偵察総局」に集中させ、統合したことです。1960年代の「対南事業総局」を彷彿させます。組織を改編すれば何かやらねばならない。今回の哨戒艦撃沈事件はそういう背景も見逃すことは出来ないと思います。グローバルスタンダードなどとは無縁な、自閉的「先軍政治」の世界です。「偵察総局」はこれから韓半島の緊張激化の震央になるでしょう。

 

裸の王様

佐藤 次に、「通貨改革」で分かったことですが、昨年6月の国連の制裁決議などで、経済が急速に行き詰まり物価が高騰し、通貨価値を百分の一に切下げ、市場の閉鎖を命じました。この一連の措置の中で、とんでもない事実が判明してきました。軍も党も傘下の商社を使って中国からモノを仕入れ、市場を通じ利益を得て、軍や党を維持していたことです。金正日の命令通り市場を閉鎖したら、党も軍も維持できなくなったため、金正日の命令が覆されて、完全ではないが市場が約2ヵ月で復活したのです。

 金正日の命令が通じなくなった。金正日は鳩山由紀夫氏と違って、深刻な危機意識を持ったと推測されます。ホンさんが指摘された国防委員会の組織改編に伴う成果主義と、特に金正日の場合は落ちた独裁者の権威を復権するためには哨戒艦を撃沈する必要があった、ということでした。

 

 北の経済的困難打開の道は、取りあえず、中国からの援助を手にするか、李明博政権から騙し取るかです。金大中・盧武鉉政権の時は、南北会談で援助を騙し取るのが北の常套手段でした。水面下で李明博‐金正日会談の話が進められていたことは間違いありません。416日の佐藤先生との対談「哨戒艦撃沈事件で、怖気づく青瓦台」で触れましたが、李明博大統領は、危機・緊張状況に直面すると怖気づく様子を見せます。韓国の哨戒艦を魚雷で攻撃したら、北の潜水艦基地を報復攻撃する姿勢の韓国政権でしたら、簡単に軍事攻撃をするでしょうか、出来ません。水面下でトップ会談の事を打診しながらも、金正日は李明博政権を甘く見て、脅したら屈服させられると考える。そして今回のような事件を起こすのです。もう一つ、共産主義の本質は、ご存じの通り強硬挑発のときはいつも対話などを平行させて相手側の油断を誘うものです。

 

深刻な体制危機

佐藤 今回の事件でいわゆる「唯一独裁体制」が存続する限り、野蛮的暴力性は変らないことと、こういう集団には力で対処する以外ないことも改めて明らかになりました。李明博政権を見ていると、日本の進歩派が権力の中枢にいる、そんな印象を受けました。

しかし、金正日政権の方は比較にならないほど体制的危機に陥っています。軍、党、住民のすべてが市場(資本主義)に頼って生存していることです。経済の仕組み(下部構造)は人間の考え(上部構造)に必ず影響を与えます。市場機能の拡大によって人民は金正日や党が示す社会主義文化でなく、ほぼ時差なしで流入された韓国の映画、流行歌などを秘かに楽しんでいることです。また、党の役職よりカネが力を持つ拝金主義が蔓延していることです。金正日独裁体制は文字通り体制的危機に直面しています。最近平壌側が警察にあたる「人民保安省」を「人民保安部」に変えたのも人民弾圧のためですし、哨戒艦攻撃は危機の反映に他ならないと見ています。

 

「天安」撃沈に賭ける金正日

 北は、先軍政治と言いながら、西海のNLL(海上北方限界線)で韓国海軍に何度も敗北を喫していますから、国内的には名誉回復を、そして韓国内の「従北勢力」(北の手先)を使って、だから緊張緩和のためトップ会談が必要と言わせ、アメリカに向かっては、停戦協定を早く平和協定に変える対話をと、中国には援助しないと何が起きるか分からないと恫喝をかけるなど、いつもの多目的挑発であると言えます。

李明博政権内部やその周辺の金大中路線支持勢力、青瓦台の安保首席(金星煥)、統一秘書官(鄭文憲)、国民統合特補(金徳龍)、そして国策研究所である世宗研究所(宋大晟所長)などは南北トップ会談が開かれると言い切っていました。李明博政権を恫喝して援助を手にしなければならない危機が迫っているからです。

 

 黄長燁氏来日の狙い

佐藤 韓国に亡命した元朝鮮労働党書記の黄長燁氏が、中井拉致担当大臣に招請され4月上旬アメリカからの帰りに日本を訪問しました。日本では拉致関係の国会議員などに会ったようです。会った人を取材して判明したことですが、氏の話の内容は拉致の話はなく、北を20年ほどかけて「中国式の改革・開放」に導く、ということに力点があったということです。金大中は金正日政権に援助して、黄氏は金正日を排除しての違いはありますが、太陽政策(援助)と言う点では同じものです。氏が韓国に亡命してきた時の主張とは明白に違っています。しかも今なぜ日本に来てこんなことを拉致関係者にしゃべる必要があるのか、です。

 日本は、ここ3年ほど拉致解決を北朝鮮外交の最重要課題と位置づけ、原則的態度を取り続けてきました。この日本の原則的態度は南北トップ会談を予定した李明博政権にとって歓迎すべきものではありません。黄氏の日本での言動は拉致関係者の失望を買ったようですが、黄氏の目的は、青瓦台から頼まれて、強硬な外交姿勢をとる日本にブレーキをかける任務を帯びた来日であったのではないかと推定しています。

黄氏来日に道をつけたのは中井大臣・李明博大統領の兄、韓日議連会長の李相得議員ルートと言われています。ところが黄氏来日直前に哨戒艦撃沈事件が起き、南北トップ会談は難しくなりました。日本での黄氏の話に今ひとつ迫力がなかったのはそのせいではなかったのか、と思って見ていました。

 

韓国保守派と黄長燁氏の違い

 黄長燁氏は金正日の「首領独裁」を否定し、金正日死後の北は中国式の改革開放へ進むべきだと言います。「金氏王朝」3代目の後継体制を作るべき責任を負う忠誠分子からすれば、黄長燁が到底赦せない悪質かつ危険分子ということで「刺客」を送るわけです。

黄氏の主張は、中国のように労働党の指導下で中国式の改革開放で北を救えるということです。黄氏のいう民主主義とは共産党の「民主集中制」のことで、労働党を解体どころが、中国式の改革開放を指導すべき主体ということです。だから、100年植民地の北を解放せねばならないと信じる韓国保守派とは、金正日の退場後の韓半島の進路に対して考えがまったく違います。

 南北統一、北の解放は、共産党一党独裁を打破して自由を拡大することが前提です。労働党の存在を容認するなど論外です。

 

前途多難

佐藤 黄氏の日本での講演録を読んでも、中国式改革開放を繰り返し強調していますが、誰がそれを進めるのかに全く触れていません。中国式改革開放とは共産党指導の下に改革開放を行なうことです。諸悪の根源は共産主義の独裁にあることは多言を要しません。北の場合は労働党を基盤とする金正日個人独裁です。労働党の廃棄を認めるのかどうかがリトマス試験紙です。黄氏の中国式改革開放云々に対して参加者の誰からも疑問や質問、哨戒艦撃沈についても質問が出ていませんせんでした。要するに何が問題なのか、わかっていないということです。また、黄氏訪日の意味も知ろうともしていません。この水準で核や拉致が解決できるはずがありません。日本の前途は多難です。

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< 解説>NLL(海上北方限界線)

停戦協定(1953727日発効)には海上境界線は明示されていない。停戦当時韓半島の制空権と制海権を掌握していた国連軍が北側の全ての島々を確保していたためだった。それで停戦協定の発効直後、クラーク駐韓国連軍司令官が停戦管理のため一方的に設けた境界線がNLL

国連軍司令官がこの事実を北側に通報した時、北側の明確な異議の提起もなく北側はこれを遵守した。北側は1973年から西海の韓国領土の白翎島など5つの島の周辺水域が北の沿海であり、この水域の航行のためには事前承認が必要だ、と主張して南北の艦艇が衝突する事故が起きはじめた。

1992年合意した南北基本合意書の11条に「南と北の不可侵境界線と区域は、1953727日付け軍事停戦に関する協定で規定された軍事境界線と今まで双方が管轄してした区域とする」となっている。したがって韓国政府はNLLの侵害は停戦協定精神の違反として対処している(解説・洪熒)。 

 

▼ 1頁の写真はNLLの位置

  最後のページの写真は、海上北方限界線を拡大したもので、西海の南北軍事力の現況。1~3は南北間海上交戦位置。天安艦の沈没場所は最左端の海兵旅団が駐屯する白翎島の南西沖。

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 韓半島西海の海上休戦線である北方限界線(NLL)を哨戒中だった韓国海軍の天安艦が326日にNLL南側の白翎島付近で撃沈されてから1カ月が過ぎた。この事件で韓国軍47人が戦死または失踪となり、捜索作業に参加した民間人からも9人の犠牲者が出た。軍艦が武力攻撃を受けるのは宣戦布告の事由に当たる。北側の攻撃なら停戦協定の破棄を意味する。北側はNLLの無効化を狙い30年以上挑発してきた。今回も金正日政権の仕業であることは明確だ。今は李明博韓国大統領がこの事態にどう対処するのかが専ら関心事である。

 

李大統領は事件直後から理不尽な態度を取った。常識的な韓国人なら北側の仕業と直感できたのに、大統領と彼の安全保障スタッフは、北側の攻撃だと報告した軍を「予断するな」と叱責し、「北側介入の証拠はない」と発表した。青瓦台(大統領府)はさらに「軍が言うことを信じるな(報道するな)」とメディアに圧力をかけた。これで韓国の「親北左派」は一斉に北側介入の可能性を否定し、逆に国軍を非難する異常事態になった。外部からの攻撃であることが判明した今も、大統領は加害者への報復は言わず、被害者の国軍ばかりを(とが)めている。

李大統領はなぜこういう不思議で怪しからん態度を取っているのか。理由は非常に単純だった。実は、青瓦台はひそかに南北首脳会談を推進していた。それで、まさか北側がやったはずがない、何とか首脳会談を実現させたい、という念願が、判断力と対応を狂わせたのだ。

 

青瓦台は今年に入って南北首脳会談の根回し工作を活発化してきた。大統領の側近を自任する人々は、あらゆる機会をとらえて、今年中の第3回南北首脳会談開催を既定事実にしようとしてきた。青瓦台を牛耳るのは、金星煥安保首席秘書官、鄭文憲統一秘書官、金徳龍国民統合特別補佐官など、金正日政権との共存を主張してきた面々だ。

そもそも、李大統領が標榜する「中道実用路線」は、安保に適用できない幻想だ。敵と戦わないのは共存を意味するが、共存の条件は、こちらが相手を抑えるか、相手の要求をのむかである。経緯は不明だが、李大統領は南北関係において金大中元大統領と盧武鉉前大統領の路線を継承した。それは中道実用主義価値観の必然的帰結だ。盧武鉉への「国民葬」と金大中への「国葬」こそ、その証拠だった。天安艦事態は李大統領の本質を露呈した。李大統領は金大中氏と盧武鉉氏の対北路線を継承し、実行だけが遅れている点で左翼政権3期目と言えるだろう。

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洪熒・佐藤勝巳(2010.04.16)

 

佐藤 326日夜922分、韓国西海の白翎島(はくれいとう)近くで韓国の哨戒艦(1200トン級)が撃沈され、「事故だ」「北の仕業だ」と色々な憶測で大変な騒ぎになりました。ホンさんは騒ぎの最中にソウルにいたのですが、経緯と問題点をお話いただけますか。

 

魚雷攻撃以外考えられない

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 暗い海上で104人が乗った哨戒艦が突然爆発し真二つになって僅か2分ほどで艦尾が完全に沈みました。自室に閉じ込められた艦長も外からドアーを破って救出されました。爆発瞬間に海軍戦術指揮統制体制のモニターからも「天安艦」の符号が消えましたが、海軍第2艦隊司令部が状況を把握したのは携帯電話で救助を要請されてからでした。南北が3回も交戦した「接敵海域」で沈没した哨戒艦から「やられた」という報告があったわけですから、軍は最高の警戒態勢を敷き、生存者の救助と同時に哨戒艦を攻撃した敵(潜水艦)の捜索と撃破を命じました。まさに戦争状況でした。

警察も軍から情報を受けて「乙号非常警戒令」を発令します。甲号は戦争のときですからそれに次ぐ警戒態勢です。これを見ても分かるように、軍は平壌側が今まで「予告」し続けてきた攻撃という当然の判断を下し対応したのです。

戦争や戦闘では混乱は付き物で、沈没時刻などは後から正確に特定してもよかったはずなのに、政府も国民も、特にメディアはこれが準戦争状況だという意識がなく、まるで海難事故のように捉えました。青瓦台(大統領府)が混乱を助長しました。

青瓦台(大統領)は、素人の目には見えるはずのない軍事・戦争行為に対応しようとせず、テレビカメラに映る沈没光景ばかりを気にしました。奇襲攻撃を受けて対應に追われている軍に対し、大統領が軍の情報判断を予断だと退け、証拠を求めるのは正気でありません。

大統領は人命救助ばかりを強調しました。人命救助は、大統領が指示しなくても当然行います。火事が起こったら大統領が鎮火せよと指示する国は碌な国でありません。大統領が言わなくても消防士が鎮火しますから。大統領や青瓦台がやるべき役目は別途にあるはずです。そもそも最高指導者の仕事は、不確実な状況でも必要な決断を下すことです。

 

佐藤 どこから北が攻撃したかどうかわからない、と言う話が出てきたのですか。

 

北の攻撃を打ち消す青瓦台

 天安艦か沈没中の26日の深夜、大統領が主宰した安保関係長官会議が開かれましたが、会議の後、青瓦台のスタッフが哨戒艦沈没と関連した「北の特異動向はない」旨発表しました。ほぼ全報道機関が、北の仕業を念頭においていたのに、青瓦台が敢えて軍の情報判断、つまり科学的・専門的判断を「証拠がない」から「予断だ」と退けたのです。

哨戒艦が真っ二つになった現場から、艦首部の58人のみを救助したと報告を受けながらも、当局は艦尾に穴が開いたと状況を縮小、隠蔽し続けました。これが合図だったかのように、左派が支配するメディアは一斉に「座礁」「内部爆発説」「触雷説」などルーマーを創作し、事態の核心を「奇襲攻撃」から「海難事故」へと持っていきました。

 

 朝鮮日報がスクープ

これに対して、僅かな保守的インターネット媒体が専門家などの分析を紹介し、青瓦台側や言論の主張を反駁しました。テレビや新聞などが、海軍が何か隠しているに違いないと「疑惑がある。疑惑がある」と騒いだのは、何より青瓦台の高官が言論に軍がいうことを信じるなと言ったためです。国民の多数と軍と朝鮮日報などは北の仕業だと思うのに、青瓦台とメディアの多数は事故説に傾き、常識と非常識の対立局面がまたも演じられました。

が、朝鮮日報が総力取材で北の潜水艇による攻撃の可能性が報道され、東亜日報も似た報道を出します。朝鮮日報が、「やられた」という艦長の携帯電話による報告を報道したことでようやく軍を疑う報道の流れが変わり始めました。

続いて白翎島にある地震計が、3262122分に、人工的な爆発、重魚雷の威力に該当する水中爆発があったことを記録していることが、そしてその事実が観測の直後に青瓦台などへ報告されたことが判明しました。

 すると青瓦台は、1970年代に北が白翎島を攻撃してくる事態に備えて、海岸に爆雷を改造した防御陣地、つまり敵が上陸を試みると陸上からスイッチを入れて接近した敵の艦船を破壊する防御施設を設置したことがあり、その後撤去したが、回収されなかった一部に触れたのではないか、などと言い出します。つまり「北だと断定するな」と青瓦台はあくまでも、北による攻撃の可能性を排除しようとしました。

 

機雷は100パーセントあり得ない

佐藤 韓国の報道を読みながら、昔の体験を思い出します。私は戦争中B29が投下した機雷に触れて沈没した船の数少ない生き残りです。 機雷は船の下で爆発しますから、立っている人の全てが頭を天井に強打、鼻・耳から大量の血が噴出します。そういう負傷者は皆無でしたから、機雷では100パーセントないと断言できます。 だとすれば可能性は艦内爆発か魚雷です。韓国海軍が何のために艦を爆破しなければならないのか。また、僚艦を魚雷攻撃する必要があるのか。どれもこれも考えられない話です。攻撃・撃沈の犯人は金正日政権以外ないのです。

 

 青瓦台の関与暴露される

 それが常識です。国会も42日国防部長官を呼んで、哨戒艦沈没事件を質しました。ハンナラ党の国会議員が、一つ一つ沈没の可能性を消去法で消して行き、最後に「機雷か魚雷かのどちらか」と質問したら、国防長官は「その場合は魚雷の可能性が実質的だ」と答弁した。その直後青瓦台が、答弁中の国防長官にメモを入れたのです。

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「魚雷以外もあらゆる可能性があると言え」という内容でした。このメモは、国防長官の席を後ろから見下ろす記者席にいた「ノーカットニュース」の記者が、青瓦台からのメモを読んでいるところを望遠レンズのカメラで撮ったものです。大スクープをした記者がその写真を5日にインターネットに掲載しました。

この写真こそ、北の関与を排除したい青瓦台と、北の仕業だと判断する軍が対立・衝突しているという動かぬ証拠になりました。この図図しい行為に対して青瓦台はもちろん開き直りますが、撃沈した犯人は北であり、その可能性を否定しようとしているのが大統領府ということは誰の目にも明らかになりました。金正日としては、多分青瓦台も、沈没地点が水深50メトルほどだったのが悪かったのでしょうか。水深数百メトル以上の海だったら物証が見付からないかも知れないのに。

 

北の攻撃を北支持勢力も認める

実は、北の仕業という事実は、韓国内「従北勢力」の中でも物事が少しは分かる者たちはよく分かって内心認めています。興味深いのは、アメリカで平壌のため「統一学研究所」を運営する韓浩錫は、北の潜水艦が発射した魚雷が天安艦を撃沈したとその状況を堂々と詳しく論証しています。もっともその記事は親北サイトに掲載されてから直ぐ下しましたが、関連した彼の文(412日付)は今も統一ニュース(www.tongilnew.com)に載っています。彼は、天安艦の撃沈は「韓米の海上北侵演習」に対する自衛的な措置だと強弁しています。

 

佐藤 青瓦台は、どうして「証拠を出せ」「予断するな」と金正日政権をかばうのですか。

 

軍アレルギー

 李明博大統領をはじめ青瓦台の外交安保首席秘書官などはそもそも兵役経験がないですが、そのせいか普段から軍を好まない、軍を不信する姿勢でした。韓国は建国以来、国防費は国家予算の増加率を上回ってきましたが、金正日が核ミサイルを増やし続け、逆に韓米連合司令部は解体が進められている中、今年初めて、国防費が予算増加率を下回りました。この国防費の削減に抵抗した国防長官が、李明博が信任する国防次官によって首が飛んだのが半年前のことです。それほど李明博の青瓦台は安保問題を軽視しています。

 

佐藤 大統領府の態度は、取りざたされていた水面下での南北トップ会談と関係はなかったのですか。

 

 去年金大中の葬式に平壌から「弔問団」がソウルに来た以降、李明博‐金正日会談問題は水面下で色んな模索がありました。今年に入ると大統領の側近を自称する人々が、月刊朝鮮などに上半期にトップ会談が実現するとまで言っています。何しろ、青瓦台安保首席秘書室の「統一秘書官」(鄭文憲、前ハンナラ党議員)などが、金正日と堂々と野合した金大中の反逆的「6.15宣言」の支持者ですから。

李明博政権は、「6.15宣言」や盧武鉉と金正日の「10.4宣言」を支持した者らをまったく整理(粛清)しなかった。彼らは国連の対北制裁自体が気に入らない。白面の書生か偏狭な民族主義者かそれとも積極的に金大中・盧武鉉の反逆路線に加担した者です。

 

緊張恐怖症

佐藤 トップ会談を実現するために、北の関与を消そうとしたということですか。

 

 それにもう一つ、北の関与、つまり大韓航空機爆破テロのように金正日の指令であることが明らかになった場合、その後彼らが直面する現実を恐れているようです。

 

佐藤 恐れているって、どういう意味ですか。

 

 北が韓国艦艇を撃沈したという結論になれば、これは「停戦協定」の違反を超えて協定の破棄ですから、当然、韓国は国家として報復措置はもちろん、再挑発の余地を無くすなどの対応をせざるを得ないからです。青瓦台は多分そういう状況が悪夢で恐いのでしょう。だから「北が関与した証拠を出せ、証拠を出せ」と言いながら、とりあえず時間稼ぎをしているように見えます。

 

佐藤 日本も大変ですが、韓国も深刻ですね……。

 

 深刻です。常識と法治が機能しないという点で、李明博政権は大統領が変わっただけで左翼政権3期目だという保守派も多いです。というのは、法治よりポピュリズムや左翼の真似をして「社会統合委員会」などを作る手法への絶望もありますが、何より金正日体制の本質を見る姿勢のためです。

 

佐藤 ホンさんは北が「白翎島の奪還のため上陸を試みるかも知れない」と昨年から言い続けてきましたね。

 

 専門家たちは、色んな理由から、金正日が韓米との全面戦争を回避しながら軍事的賭博ができる場所として白翎島を指目してきました。今度は上陸ではなく、哨戒艦を攻撃したのです。だから当初から目的、動機、意図、能力、そして犯行予告、つまり北側は西のNNL(海上北方限界線、*海上休戦線)を認めないと繰り返して主張し表現の強度を高めてきたから、軍は北側の奇襲だとほぼ本能的に判断できたのです。

なのに、安保軽視、軍事に無知の青瓦台は物証を求めながらこの現実から逃げようとしています。

 

決定的瞬間にミス

佐藤 金正日政権は決定的瞬間にミスを犯したと思います。哨戒艦を攻撃しないでトップ会談に持ち込めば、援助を手にすることが出来たかもしれない。引揚げされた哨戒艦が北の仕業であることを決定的に証明するでしょう。李明博大統領が考えていたトップ会談は当面無理です。「脅して取る」手法が今度もまた裏目に出たのです。中国だって韓国を武力攻撃した北を援助することは難しくなります。困るのは金正日政権です。

 

洪 国防長官は軍事に関して大統領を補佐する最高職です。その国防長官や軍の軍事問題に関する判断を素人の青瓦台が「予断するな」と退けば、天気予報も予断で、「景気予測」など、政府のあらゆる政策予測も全部「予断」となる。まるで漫画です。

専門性に基づいた信念のない者は、危機に直面するとどうすればいいか分かりません。昨年の「狂牛病」デモのときも、最初から堂々と対応したら「騒動」にならなかった。国の政を慎重に行うのを悪いとは言えません。だが、臆病や無能を隠すため慎重さを強調する人々が指導的立場にある人にもあまりにも多い気がします。

李明博大統領は今回の事態で「予断をするな」と軍を叱責し続けましたが、軍の判断が予断だったら、その判断によって取られた作戦も全て過ちです。大統領が自らの予断を反省するのか、それとも自分には誤りなど無かったと突っ走るのか、それによって国防長官や海軍の首脳部の寿命が決まりそうです。

 

佐藤 今後の展開は・・・・

 

「仮想現実」からの脱却

 「天安艦沈没事態」は遠からず最終結論を出さざるを得ません。韓国は天安艦を攻撃した敵が誰でも報復せねばなりません。問題は意志ですが、李明博の青瓦台は対応策の重荷から逃れようと韓米同盟を超えた国際的な枠を期待する模様です。

自由世界最高レベルの韓国軍を指揮すべき青瓦台が怖気づいているように見えるのは残念です。これくらいの危機、挑発にも狼狽する政府が韓米連合司令部を解体した後はどうするだろうかは想像もしたくありません。

安全保障と危機管理は、まず現実を冷静に把握することから始まります。現実と懸け離れた「仮想現実」で生きる者は危機管理ができません。韓国の問題は安保を観念論の世界、「仮想現実」のルールで見ている者(いんちきの北韓学者など)が多いということです。彼らは現実のことを教えてあげても聞かないし、仮に分かっても勇気がない。

李明博大統領が今度の事態を契機に、青瓦台、軍、情報機関など政府と国家の中枢から金正日と通じた反逆勢力や無能な分子を整理、粛清しないと、100年植民地状況の北韓住民の解放どころか、韓国の未来が危うくなると思います。

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李明博政府はの危機管理も分からず、覚えようともしないアマチュアの同好会なの?

添付画像
天安艦が沈して半月が経ったのに、李明博政府はの公式立場を表明する政府明すら一つ出していない。李明博大統領が整理された公式文書を表したのもない。大統領の今までの言は、全てがスポクスマンを通じての間接話法か議席上で言った整理されなかった言葉だ。ラジオ演談であって公文書と見るのは難しい。

 

防部長官の国会での証言や、表文は一部署の考えであって家全体を代表する政府の立場を表したものではない。社の職員が十人失踪し生存の可能性のない大事件が起きたのに、社の社長が社次元の公式表をしないのと同然だ。としたら、大韓民社にも劣る協会レベル? 李明博政府はの危機管理も分からず、覚えようともしないアマチュアの同好会なの?

 

www.chogabje.com  2010-04-11 21:29

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池萬元

天安艦沈没に対する調査が国際共助で行われれば、遠からず北韓の仕業であることが天下に公開されるはずで、これに対して国連安保理が積極的に臨むだろう。UN安保理がどれくらいの膺懲を加えるかは全的にわが政府の姿勢によって決まるはずだ。

 

オバマ大統領は46日、「アメリカはNPRを通じて核拡散禁止条約(NPT)の当事国や核非拡散の義務を遵守する非核保有国に対しては核兵器を使うか使うと威嚇しないが、北韓とイランに対しては例外」と闡明した。「非拡散の義務を遵守しない国々は一層孤立することが分かるようになるはず」と警告し、ゲイツ国防長官は北韓とイランに対して「全てのオプションがテーブルの上にある」と言った。

 

「天安艦事態」に対する調査が国際的共助体制を整え、アメリカの対北姿勢が強硬になりながら、ひかがみがしびれた北韓は今非常に焦って不安に思っているはずだ。いよいよ全軍に指示を出し、指示の要旨は米・韓の取る今後の措置に緊張状態を維持し備えようということだった。

「米帝と南朝鮮軍部勢力らが彼らの艦船が海に水葬されたことをとんでもなくわが共和国と関連させるのは反共和国の謀略策動になる。もし、敵が謀略策動に拘れば英雄的な人民軍は一発で破壊するための万端の戦闘準備ができている。」

 

調査が進められ真実が明らかになって韓国が直接取る行動と国連安保理が取る行動が具体化されれば、南・北韓は殺伐な冷戦に直面するようになる。済州海峡を完全遮断し、北韓との全ての約束を廃棄し、北韓に滞在する全国民を完全撤収させ、北韓に対する全ての人道的支援を中断し、南・北韓間の人的・物的交流を全面禁止させる措置は、最も基本的な措置になるだろう。北韓に投資したのは最初から冒険をしたものだから全てを捨てる覚悟をせねばならない。

 

痛く悔しく自尊心が傷つけられる天安艦の悲劇を経験しながらもこういう措置を取らないなら国民のための政府でないはずで、こういう措置に自ら率先して応じない国民は問題のある国民だと思う。このような措置は北韓も予想しているはずだ。したがって、北韓は先手を打って、言い掛りをつけて、開城などに滞在中のわが国民を大量に捕獲(?)し、人質として確保することでわれわれの取れる措置の自由空間を極度に制限しようと出ることがあり得る。

 

まさかと思いぐずぐずしていて捕獲作戦に嵌ったら、国家にはこの上なく大きな負担になり、国民から恨まれ厳しく睨まれるだろうし、家族らは隣から冷たい視線を浴びるようになるはずだ。

 

http://systemclub.co.kr/ 2010.04.07.

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