対談(洪熒・佐藤勝巳、2012118)

 

 NHKの報道姿勢に異議あり

佐藤 金正日が死亡して誰がどんな発言をするのか関心をもってきましたが、中国、韓国、日本の首脳たちは、口を揃えて「韓半島の平和と安定」(20111226日胡錦濤・野田佳彦会談)を言っています。

 

日本は、「不測の事態に備えて、情報収集する」、「6者協議の再開」、「あらゆる可能性を視野に入れて拉致問題に対処するが、現状においては制裁の強化はあっても緩和はない」(松原仁拉致担当大臣)旨の認識を示しています。しかし外務省や民主党の一部には、制裁緩和の意見は根強く存在しています。

 

 特に、NHKは、田中均(元外務省審議官)、小此木政夫(慶応大学教授)、李鐘元(立教大学教授)氏など6者協議賛成論者を機会あるたびに番組に出演させ、正しくない情報を流布しています。このNHKの番組は、NHK自身が、6者協議の歴史も現実も正しく認識していない、無知から来る偏向報道だと思います。

 

 李明博大統領も新年の国政演説(12)で、「韓半島の平和と安定を維持するのに最善を尽します」、「最も緊要な目標は韓半島の平和と安定です」、「対話を通じて相互不信を解消し相生共栄の道へ進まねばなりません」、「われわれは6者協議の合意を通じて北韓の安保憂慮を解消し経済を回生するのに必要な支援を提供する準備を整えています」と現実から逃避する話をしました。

これまで北が、核を放棄しない、核保有国として認めろ、と粘ってきた経緯は説明の要らない事実です。繰り返しこの対談で指摘してきたことですが、そもそも「6者協議」は、北核の廃棄を追求する目的で始めた筈です。だが、その協議の最中に、金正日は2006年と2009年の2回も核実験を強行しました。この事実は韓国、日本、米国などの恥ずべき外交であり、安全保障面での大失態です。それなのに今また、「6者協議」を再開しなければならない、というのは何故なのかということです。

 

6者協議」で何を話すのか

 佐藤 ピョンヤンは「話し合いも戦争」と位置づけ、時間を稼ぎながらミサイルに搭載可能な核爆弾の縮小化を図ってきました。核武装こそ金氏王朝を護る唯一の活路という切迫した認識で 6者協議に臨んできている北に対して、韓国、日本、アメリカに必要なのは、北の独裁体制を本当に除去するという“決意”です。その決意をもって「中・朝の連帯」に臨まなければならない。ところが、それがないだけではなく、結果として中・朝に騙されてしまった。北に2回も核実験をさせた挙句、北の独裁者が死亡したら、またもや6者協議しましょうというのですから、気は確かかといわざるを得ません。

北は核を放棄するはずがないという認識は関係者の誰もが持っています。北が、「核武装は金正日の遺産だ」と宣言した以上、野田政権は「日本も核保有の準備に入る」と通告するために6者協議を再開する、というなら賛成ですが、そんなことは毛頭考えていないでしょう。だったら6者協議を再開して何を話し合うのかを国民に説明する義務があります。改めて説明を求めます。

かつて金日成は「われわれは核武装する意思も能力もない」とウソを吐きました。このウソと言うより「謀略」を、岩波書店の雑誌「世界」や「朝日新聞」、和田春樹東大教授ら「進歩的文化人」、社会党などが擁護してきたことをわれわれは忘れていません。騙される方が愚かなのですが、外務省は「6者協議」でなぜ失敗したのかを総括して、国民に対して説明する責任があります。

NHKが報道しなければならないのは、「北の悪辣さ」と「中国の策略」についてです。そしてそれに踊られた外務省の無能を批判することが公共放送の責務のはずなのに、逆のことをやっています。金正日が拉致を認めているのに10年が経過しても解決できないでいます。こんな状況に対しても誰も責任を取っていません。そして外務省はまたもや6者協議を口にして憚らない。これでは国のため戦わず給料ばかりを取っているということです。国の安全、国民の生命財産を守る意志のない外務官僚は、職を辞すべきです。

 

6者協議」は金正日を助け中国に利用されてきた

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 未だ6者協議を云々している人達は、これまでの自分の誤った主張や分析を正当化するため、客観的情勢を無視し、日本の世論を平壌や北京が望む方向へ誘導する無責任な主張を続けています。自分の主張が客観的に何を意味しているのか、分かろうとしていない不誠実な人達です。

過去の6者協議に即して言うなら、共産党一党独裁の中国をまともな普通国家と期待したアメリカや関係国の外交官たちが、金正日に重油などを支援し、野蛮的金氏王朝の延命を助けて来たのです。金正日が核ミサイルを保有することに決定的に手を貸してきたことは否定できません。リビアやシリアなどの独裁者を支持するのと同じ、歴史に対する反動、平和に対する反逆勢力です。

 

佐藤 なぜこんな馬鹿馬鹿しいことが繰り返されてきたかといえば、北の独裁政権にモノを与えれば、改革開放に誘導できる、「軟着陸」は可能である、と考えた人たちがいたからです。そんな間違ったことを言ってきた代表的人物が、韓国の金大中と盧武鉉、両大統領でした。それに加えてアメリカと日本の政府(小泉政権まで)でした。

 

野蛮と独裁に怯える韓国と日本

しかし、金正日政権は、改革開放どころか、核兵器を手にしてしまった。軟着陸論者たちの主張や分析が完全に誤りであったことは誰の目にも明らかになっています。それなのに李明博政権は、新年になって、無条件対話を北の独裁政権に提案しました。金大中や盧武鉉とどこが違うのでしょうか。要するに、独裁との闘争が恐いから南北対話とか、6者協議を云々しているだけです。この点に関しては、日本政府もオバマ政権も大差ありません。自分たちの臆病を隠すために独裁政権の延命に手を貸す、という無責任きわまりない話です。

 

 その無責任な対応による最大の犠牲者は、独裁政権下の北の住民たちです。最小限の基本的人権までも独裁集団に奪われた北の住民たちは、搾取収奪の末、餓死に追いやられ、政治犯強制収容所の中で殺戮され続けています。

この事実を、「6者協議」を云々している当局者も、「専門家」も見てみない振りをし、金正日が死ぬと今度は、「集団指導」などありえない空理空論のデマを振りまいて、国民をミスリードしています。彼らこそ卑劣で非人間的だと言いたい。なぜなら、金氏王朝との6者協議を続けることは、これから「金正恩体制」の確立や権力闘争の過程で行なわれる筈のおびただしい粛清と虐殺に韓・日・米も結果的に手を貸すことになりかねないからです。

 

エゴとの戦い

佐藤 このような非人間的な者が一部政治家、一部「専門家」だけなら救われるのですが、現実はそうではないと思います。今回の大震災で色々な救援活動が展開されていることは評価されることですが、どこか足が地に着いていない、危うさがあるという不安を消すことが出来ません。

例えば、瓦礫処理についてです。政府が被災地の瓦礫を調べて放射能汚染の心配がない、と言っているのに、瓦礫を引き受けているのは全国で、東京都だけです。汚染された土砂を引き受ける自治体は皆無であるのに、世の中では“絆”が喧伝されています。しかし、その中身を一皮剥けば、協力とは「自分に被害が及ばない範囲」という“エゴ”が露呈したことでした。それは沖縄の基地問題にも表れています。沖縄県民の犠牲で日本国民が身の安全を図っている、というエゴを沖縄県民が感じないわけがありません。エゴイズムとの戦いなしでは何も解決しないのです。韓国もアメリカも事情は似たりよったりです。

このエゴの拡大したのが6者協議だと私は思っています。ですから、核軍縮を話し合っている最中に、独裁政権に2度も核実験されても、誰も責任は取りませんし、取れという声も上がりません。逆に6者協議や日朝交渉をやれという声が多いということは、無責任な国民が支配的ということです。

わが身に被害が及ぶと分かったら、基地も瓦礫も引き受けない人間が圧倒的に多いということです。エゴイズムからは相互不信は生まれても、信頼関係は生まれようがありません。こんな日本にどうしてなったのかが、実は最大の問題なのですが、論旨が拡散するのでここでは触れません。

 

 北側の戦略は、最初から核ミサイルを持つことで韓国を人質にとって金氏王朝の安泰を図ることでした。韓・日・米は、北側の肩を持つ中国の姿勢がはっきり分かった段階でターゲットを中国に変えるべきでした。中国当局の理不尽な姿勢の根源には、言うまでもなく個人の自由と安全の拡大という普遍的価値への抵抗があります。

日・米・韓は、北に核の破棄を強いると同時に、自国の覇権追求のため核を持った野蛮的暴圧体制を利用している共産主義の中国を抑えなければなりません。自由世界の大勢の人々は独裁や野蛮を恐れます。独裁と野蛮の犠牲者になっている人々を見棄てる人は、やがて彼自身も独裁と野蛮の犠牲者になります。

だから、われわれは独裁政権や中国の覇権主義との戦いを放棄することは出来ません。
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洪熒(20111210)

 

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(*北韓人権週間行事の国際セミナー(2011.12.10、都市センターホテル)で韓国からの参加した張哲賢氏の報告へのコメントとして用意したものです。)

今、金正日体制をどう捉えるべきかの問題で貴重な証言を聞きました。張哲賢さんは多くの脱北者たち、いや北韓住民の殆どが知り得ない秘密をわれわれに教えてくれました。張氏の発表()の中で金正日の対日基本姿勢や対日工作、特に心理戦(政治戦争)に触れた部分と関連して私の所感を4点ほど申し上げます。

 

以前ソウルで張さんに会ったとき聞いた話を思い出します。張哲賢さんは北を脱出して韓国に来たら、自分が生きてきた北韓とは全く違うもう一つの北韓があることに驚いたと話しました。つまり、世の中には二つの北韓が存在するということです。

韓国(自由世界)の北韓や「北韓学」の専門家たち‐主に「北韓学」教授たちですが、彼らが作り上げた架空の北韓、つまり観念論の中の「偽者の北韓」が存在し、しかも自由世界の多数の人が脱北者たちが言う北韓より、「悪魔が支配する生き地獄」を社会主義と美化した「北韓学者」たちが作り出した「偽者の北韓」の方を信じることに愕然とし、憤怒しているという話でした。

張さんだけでありません。多くの脱北者が嘆くことは北から来た自分たちの話を信じてくれないということでした。

 

小泉総理の平壌訪問は9年前のことですし、金正日の当時の目論見は失敗しましたが、今後金正日体制はもちろん、金正日のような野蛮な独裁者を対する時に非常に有用な情報だと思います。今の張さんの短い発表を通じて、われわれは「北韓学者」類のいわゆる専門家などは到底分からない、分析できない平壌の事情(秘密)が分かります。金正日体制の体質や行動基準、行動マニュアルなどを垣間見ることができた気がします。

 

私がまず注目したのは、金正日は「外交も工作である」と言いますが、対日主導権、いわば「対日政策」の立案や推進が外務省から対南工作機関(統一戦線部)に移管されたという点です。これは平壌側が対米交渉では外務省が前面に出していることとは明確に対比される点です。

米国は平壌に対して工作機関の排除を要求して貫徹しました。反面、韓国と日本は「実権を持っている労働党」を好み相手にして、アメリカの姿勢とは明確に違う。戦略的観点から、協商のルール作りという面で北側の言い分を呑んでいいのかということです。と言うのは、金正日が指定する北側の窓口はまさに工作機関だからです。

 

特に、看過できないのは、日本政府を圧迫する目的で、メディアを動員した対日宣伝扇動を強調したこと、統一戦線部が朝総連と対南・対日心理戦基地を動員した対日心理戦を展開したという件が私には引っ掛かります。これは日本国内の内応(裏切り)勢力の存在を前提としているからです。金正日が「朝総連の地位と権威」を強化するために、日本側に朝総連メンバーの(北への)自由往来解決を求めたのは、朝総連こそまさに日本内の最大の工作拠点・基地であるからです。この朝総連に対して民主党政権は朝総連高校への授業料無償化を進めているから、ただ呆気にとられるだけです。

 

金正日とその家来たちが、(金正日の拉致を認めた表明後)日本側の強力な追及を予想していなかったと言われますが、それは独裁()側が自由民主主義の強さへの理解が足りなかったという側面も確かにありますが、実は、東西冷戦時代から、金正日は「日本の世論」も朝総連や社会党から自民党左派まであらゆる親北勢力を動員して北側が望む方向に日本の世論を引張ることができたという自信や慢心から間違った判断になったではないか、とも考えられます。

 

そして、金正日体制では基本的に党の中に内外の諸般の情勢を総合的に分析し、戦略や対策を真剣に練る組織とシステムが存在していることを忘れてはならないと思う。これは善し悪し(よしあし)は別にして、必死に敵に勝とうとする、敵を騙そうとする部分が存在するということです。北側の機関や人間はなぜ必死になるのか。野蛮的な金正日体制の下では金正日の方針を貫けず失敗すれば問責程度で終わらないからです。

普通は常識や論理が中心の方と必死の方がぶつかると当面は必死の方が必死じゃない方を圧倒するのが当然です。極言しますと、サラリーマンと自爆も辞さない戦士の対決に喩えられるでしょうか。南・北関係や日・朝関係では、必死の方が「間違った価値やシステム」で動いていたことが幸いだっただけです。つまり平壌の一種の「NSC」が韓・日のNSC(*そもそも日本にはNSCは存在しませんが)より必死の姿勢では勝っていたと言えよう。

 

北側は核武装を通じて戦略的目標を達成しようとしています。いや、アメリカと自由世界に敵対する国々へ核やミサイルを拡散させています。

反面、日本は世界的規模の対テロ戦争への協力を表明しながら、一方では「戦後処理」という「形式論理」的課題のため、地球上で最も危険な不良国家、文明社会で代表的な失敗国家、「ならず者国家」を持続させ、この「ならず者国家」と国交正常化の機会を窺う矛盾した態度を取っています。金正日は、日・朝首脳会談は前払いを条件にせよと言ったというのに、今年も日本の総理が平壌訪問を密かに検討したという報道がありました。日本の政治家の中ではこの危険極まりない「金氏王朝」との国交正常化を主張する人々が少なくありません。

 

今年、チュニジア、エジプト、リビア、イエメンなどのアラブ社会の独裁体制が崩壊しました。日本(日本社会)はこういう国々の「民主化」を歓迎しました。アラブの春は、独裁体制との「対話」でなく、多くの尊い命、多くの犠牲を払って勝ち取ったものです。

テロとの戦いとは、観念論でない現実の中ではカダフィやウサーマ・ビン・ラディンを殺すことです。金正日ほど悪辣・危険でもない(?)独裁者の退場は歓迎しながら、オウム真理教のテログループには死刑を宣告しながら、金正日体制の世襲は認めるのは矛盾ではないかと言いたいです。金正日に虐殺された数多くの犠牲者たちは復讐を望んでいるのに、金正日を自由世界が支援すべきだと思いますか。金正日への最大の復讐は、奴隷の状況におかれている北の住民に食糧ではなく自由を与えることです。

 

張さんが今日ここで多くのことを話す余裕はありませんでしたが、張さんは韓国に来て金正日の悪魔性を告発する本を書きました。初めての本は「私の娘を100ウォンで売ります」という詩集です。北の90年代の大飢饉、いや金正日による虐殺の時の惨状を書いたものです。日本語にも翻訳されました。その他に叙事詩の「金正日の最後の女」という金正日のもっとも隠密な私生活に関する告発と、今年は「詩を抱いて江を渡った」という自身の脱出記を出しました。この脱出記は日本語版が間もなく出ます。張さんの言いたかったことがたくさん出ています。()

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佐藤勝巳 洪熒(2011117)

 

佐藤 不幸なことでが、ソウル市長選挙(1026日投票)は、われわれの対談「韓国―自由と民主主義が危ない」(107)で、洪さんが予測した通り、「純血左派」朴元淳候補が当選しました。この選挙を通じ、洪さんの目に新しく何が見えてきましたか。

 

「純血左派とは何か」

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洪 親北左翼がソウル市長になったことは、盧武鉉が大統領に当選した時と同じほどの衝撃です。選挙の前は、朴元淳なる人物がどんな思想の持ち主で、「左派市民運動」の中でどういう位置を占めてきた人物なのか、そして、韓国の政治がどれほど危険なレベルに達しているのかなどが、さほど実感されず観念的に言われ勝ちでしたが、今回の選挙を通じて革命的「政変」の形ではっきりなりました。

まず、「純血左派」のことですが、一言で言えば、左翼運動においての純血主義です。つまり、彼らの言葉によれば、社会問題への意識を持ち始める若い時期から、「当局」に弾圧されながら闘争してきた「前歴」(*逮捕・投獄)を持っているのかどうかのことだそうです。もっと平たく言えば、自由民主主義や資本主義体制に敵対し、「外勢」であるアメリカを韓国から追い出し、南北の連邦制を実現するため体を張って闘争してきたのが「純潔左派」、要するに、金正日独裁を支え追従する勢力です。

この勢力は、決定的な契機が来るまでは各政党や社会団体、宗教など、既存のあらゆる権威を「宿主」として生き抜いて来ました。この「純血左派」がいよいよ彼らが長い間食い尽くした「宿主」から出て、新しい権力主体になると宣言しているような局面です。

 

佐藤 日本に例えて言うなら、政府機関、政党、労働組合、メディア、大学や研究機関など、あらゆる公共団体と組織に潜り込んで、政策、世論工作に関与してきた、日本共産党、旧社会党左派向坂グループが社会党を牛耳った手法と同質のものですね。

 

年間100億ウォン以上の集金力

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 朴元淳は、弁護士の肩書きを持ちながら「悪法は守らなくてもいい」という信念で「市民運動」をやってきました。彼はいわゆる「ソーシャル・デザイナー」(*言い換えれば革命家)を自任し、国家保安法撤廃、反米や共産主義の容認などを主張してきました。2008年のアメリカ産牛肉輸入反対の「狂牛病ロウソク暴動」を助長、支援した張本人の一人です。それで、左派の世界では大統領候補と囁かれるほどでしたが、一般の生活人には「市民運動に熱心な弁護士」程度に知られていませんでした。その人物がいきなりソウル市長に立候補したのだから、多くの有権者が、彼の本性をほとんど分からないまま投票に行ったわけです。

そして、今回分かったのは、彼が作った「参与連帯」、「美しい財団」、「希望製作所」などを運営するため、年間100億ウォン(7億円以上)前後の寄附金を集めてきた事実です。こんな巨額を何処から集めたのか、です。もちろん、財閥など企業からです。どうように集められたのか。彼自身が語っていることですが、お金をくれない企業は社会的に悪い企業にしてしまう戦略、つまり、企業の弱みを握り、これを暴露糾弾し、時にはデモを掛ける。そのようにして資金(寄付金)を集めたと言っています。

彼は外国企業からも「寄附」を受けています。日本との関係ではトヨタ自動車やトヨタ財団からも62千万ウォンをもらったことが確認されました。南・北の左翼勢力は今までトヨタ財団の資金をもらった右派学者を「親日派」と攻撃してきたし、朴元淳自身がはあの「親日人名辞典」を作った「歴史問題研究所」の理事長を務めたこともあるのに、です。こういう破廉恥な偽善からも彼の職業革命家としての本性が分かります。

寄付金の募金や使い道は当局に報告するようになっていますが、彼の財団は法律に違反して報告もしていません。当局には報告されていませんが、あの「狂牛病ロウソク暴動」に50億ウィンを支援したと伝えられています。

 

典型的なユスリ、タカリ

佐藤 絵に描いたようなユスリ・タカリではないですか。北が落ちぶれる前は、金大中氏が日本に亡命しようとした1970年頃は、日本は景気が好調で、北や総聯が資金を潤沢に持っていましたから、手先らに日本経由で資金援助ができました。今は、金正日自身がカネに窮していますから、手先は現地で活動資金を調達しなければならなくなりました。それにしても仮にも弁護士の肩書きを持つ人間ですから、早晩、弁護士法違反などに問われることになるでしょうね。

 

「政変」と呼ばれる所以

洪 朴元淳のソウル市長当選を、思想は別にしても革命的「政変」と見られる理由は、二つの側面から説明できます。まずは、前述のように「純血左派」が民主党などの「宿主」から出て堂々と権力奪取に乗り出したという点です。つまり、既存の政党体制(ハンナラ党や民主党)が致命的な打撃を受けて崩壊し始めたということです。もう一つは、権力奪取の手法が、卑劣な嘘と煽動ではあるが、「ジャスミン革命」を可能にした、新しい情報媒体と大衆運動を結合して推進している点です。

要するに、従来の議会民主主義制度の前提でもある伝統的な政党政治を、ネットワークとムーブメント(運動)で一瞬にして崩す衝撃力・破壊力こそが「政変」であり「革命」と呼ばれる所以です。わずか2ヶ月前(ソウル市の住民投票)は投票ボイコットを煽動した左翼勢力が、朴元淳への投票は手段方法を問わず督励した。法律と選挙制度を選択的、恣意的に利用する狡猾さや悪魔性はボルシェビキ的革命家そのものです。

 

佐藤 ハンナラ党、民主党などは、自分達が「純血左翼」に今まで「宿主」として利用されて来たということに気がついているでしょうか。

 

洪 気がついている者は少ないと思います。気付いても認めたくないでしょう。今回のソウル市長選挙の結果を、議会民主主義を覆す「政変」と捉えているのは愛国勢力の内でも多くないと思います。

この「政変」は突然の出来事でありません。従北左翼は、盧武鉉政権が締結した韓米FTA(自由貿易協定)の国会での批准同意を4年間も物理的に阻止するなど国会の機能を麻痺させておいて、一方、街での暴力デモや大衆煽動、そしてネットでの世論操作などで国民の目に政府や国会、政治家の無能ぶりを徹底に印象付け、権力の奪取に出たのです。

私は、李明博氏が大統領候補になる前から、金泳三こそ「左翼の宿主」で、金泳三政権(19932~982)からは朝鮮労働党の影響下にある勢力が本格的に権力中枢に根を下ろしたと「現代コリア」誌などに書いてきました。

 

佐藤 金泳三を左翼の「宿主」と呼んだのは洪さんが最初だったと記憶していますが、金泳三、金大中、盧武鉉、李明博と「純血左派」と全く戦わないどころか支援する政権が続き、ついにソウル市長を彼らに握られ、それすら気がついていない韓国の政治状況は、日本の深刻さと質が違うように思います。

 

敵にカンパしてきた大統領

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 そもそも李明博政権やハンナラ党は保守でも右派でもない、と繰り返し言ってきました。今回、「純血左派」の全面浮上で李明博大統領の致命的問題がより鮮明になりました。朴元淳は、「参与連帯」「美しい店」「美しい団体」「希望製作所」などを作りましたが、李明博大統領は、ソウル市長当時4年間の給料2億ウオンを全額「美しい財団」に寄付しました。李大統領は今も従北左翼を周りに多く置いています。恐ろしい話です。

李大統領は、金日成が最も可愛がった尹伊桑(音楽家、ドイツ国籍の北工作員)を記念する財団の代表発起人で、同じく金日成が可愛がった黄皙暎(小説家)をはじめ歴とした左派を大統領直属の「社会統合委員会」などに多数布陣させている。この人事に代表されるように法治は放棄、左派との妥協が「純血左派」の全面登場を招いたと言っても言い過ぎではありません。

 

佐藤 「美しい店」とはなんですか。

 要するに寄附やリサイクルショップです。

 

佐藤 日本から北朝鮮に沢山の古い自転車や自動車が廃棄物とて送られていました。北の軍が、再生して高い値段で、中国やロシアに売って、利益を手にしていましたが、朴元淳などの「美しい店」がやっている活動内容や狙いはどういうものですか。

 

洪 全国に130以上の店舗を持ち、リサイクル運動や貧困層への支援、寄附などを標榜し社会各層を網羅する巨大組織です。健全な市民運動の形を取っていますが、社会変革運動のためのインフラにするというのが隠れた狙いです。教会などからモノをただで集め、販売して資金を集めており、多くのボランティアが参加してします。

 

佐藤 3年前の「狂牛病ロウソクデモ」も企画・指揮したと知られる「参与連帯」は権力を監視すると言い、大企業への監視、告発を集中的に行なってきたと聞きましたが、日本ならさしずめ「総会屋」と言えるものですね。この組織が、企業の弱点を調べ、先ほど話のあった恫喝をして「美しい財団」が資金を集めるということのようです。トヨタ自動車やトヨタ財団がカンパしたのは、背後に何があったのでしょう。不思議であり、大問題と思います。菅直人前首相も過激派崩れの「市民の党」などに巨額のカンパをしていますが、あのカネは菅直人の個人の金ではなく、国民の税金です。あのカネの行方を断固究明しなければならないと思います。

 

希望製作所の日本支部「日本希望製作所」

洪 「日本希望製作所」というNPO法人をご存知ですか。ソウル市長になった朴元淳が作った韓国の「希望製作所」の日本支部です。2007年に設立されました。理事長は町づくりプランナーとして有名な林泰義氏、事務局長は韓国の慶熙大学に留学した桔川純子氏です。「日本希望製作所」の事務所は民主党の菅直人グループの大河原雅子参院議員の事務所の中にあります。菅直人前首相は平壌に亡命中の「よど号」拉致グループと関係のある「市民の党」の酒井剛との繋がりが指摘されましたが、「日本希望製作所」事務局長の桔川純子氏は、関係者の間では、日本内の親北人脈との深い関係が言われています。

 

佐藤 昔、日本は北にとって韓国を赤化統一するための工作基地でした。ところが最近は、韓国の「純血左派」が、日本の「左翼崩れ」や「贖罪派」などを組織し、指導している構図ですな。この流れからすると菅直人氏の朝鮮学校授業料支援審査再開指示、正体不明の大口カンパなどは、どうしても気になります。北の対日工作が韓国経由で始まった極めて注目すべき動きではないでしょうか。

 

「野田佳彦お前もか」

佐藤 いまひとつ理解し難いことは野田内閣の李明博政権との「通貨スワップ」です。1019日、野田首相は突然韓国を訪問、日・韓が外貨支払いに窮したときは、お互いに助け合う「通貨スワップ」を約束しました。中身は、日・韓は700億ドル(53000億円)応援しあうというものです。

日本政府は対外債務の支払いができないことはありません。また、日本の銀行は韓国の銀行に殆ど貸し付けていませんから、仮に、韓国が債務不履行に陥っても、直接には損もしません。韓国の銀行の借入先の半分はヨーロッパの銀行からです。ヨーロッパの銀行は、金融不安に見舞われ一斉に自己資本強化のため韓国、中国から資金引き上げを行っています。従って韓国金融界はドルを必要としています。李明博政権が韓・米通貨スワップを推進し、中国とも韓・中通貨スワップを拡大(1026)した背景にはヨーロッパの金融不安が韓国を直撃しているからです。李明博政権は外貨不足でドルの緊急確保対策が必要だったのが分かります。

問題なのは、李明博大統領は、果たして日本との良い関係を望んでいるのかが疑問です。北の手先「美しい財団」に 2億ウオンも寄付し、今だに反省せず親北・反日勢力を周りに置き、金大中、盧武鉉も口にしなかった「慰安婦」問題の外交交渉を言ってきました。反日左翼の典型な言動ではないのか。野田内閣は、どうして李明博の反日言動には何も言わず、救いの手を差し延べなければならないのか、です。野田氏は人間関係の初歩的な作り方も知らない。これではなめられるに決まっています。

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EUの通貨不安は、中国も直撃、中国経済のバブルは崩壊を始めました。再三われわれの対談でも言及してきましたが、中国が崩れたら金正日政権はひとたまりもありません。朝起きてみたら韓半島の風景が一変していたということは益々現実味を帯びてきています。

 

洪 李明博大統領はもはや植物政権化してリーダーシップなど期待できません。韓・日の通貨スワップは、任期のある政権の次元でなく、アジアの自由民主主義大国としての両国のこれからの世界戦略上必要であり望ましいことです。

左翼が今回首都権力を手に入れましたが、当選が免罪符ではありません。学歴詐称から贅沢な私生活、恫喝まがいの方法の資金集めや不透明な使い道など、朴元淳市長はこれから色々な欠格事項や違法行為が法廷で明らかになります。国民多数が朴の偽善と危険性、反逆的思想や言動が分かるようになれば、左翼は大きな逆風になります。一寸先は分かりません。

 

戦いはこれからだ

佐藤 北指導部は朴元淳のソウル市長当選を支援し喜んでいますが、むしろ墓穴を掘ったのかも知れません。自由と民主主義社会の言論、世論、批判というものを個人独裁社会の平壌では理解できません。日朝交渉の中で金正日が拉致を認めるという「誤り」を犯したのは日本の世論の力に対する無知からでした。

煽動や謀略でソウル市長になった朴元淳氏は、これから本格的に検証されるでしょう。日本の民主党の例でも分かるように、政権の座についたことで、ボロが万人の目に明らかになりました。今、総選挙をやったら民主党は悲惨な結果となるでしょう。「純血左派」が市長に当選したことが、彼らにプラスになるとは限らないと思います。愛国勢力の戦いいかんということではないでしょうか。

 

洪 韓国は、「左派の宿主政権」(金泳三)5年、「左翼政権」(金大中・盧武鉉)10年、そして「中道と左翼の連帯政権」(李明博)38ヶ月を経、韓国の地で健全な常識と法治が破壊されました。

韓国の愛国保守勢力は国家の正常化はもちろん、自由統一で北を解放するため戦う覚悟ですが、問題は、法治を放棄した李明博の無定見と卑怯さのために余計な犠牲を払うようになることです。法治が崩れると政変や動乱が来ます。法治(自由民主主義)を回復させなかったがために、血を流さざるを得なくなったら、その罪と責任は李明博大統領とハンナラ党指導部が負うべきものです。了

 

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                                        洪熒 佐藤勝巳(20111004)

 

 

佐藤 今、世界は恐慌に突入するのではないかと戦々恐々としています。韓国の財政状況も危機に見舞われていますが、税金を使う学校給食の無償化などといっておられる情勢ではないと思いますが、1026 日投票のソウル市長選挙は、左翼候補とハンナラ党の候補とどちらが有利な戦いを進めていますか。

 

ソウル市長選挙

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 左翼の統合候補が決まりました(103)。李明博政権が出帆した直後、狂牛病騒動などといって蝋燭暴力デモの馬鹿騒ぎをした、左派市民団体の始祖的存在である朴元淳弁護士(*右写真)です。彼は大学時代から反体制の運動家で、革命を夢見てきた左翼のイデオログーであり、国家保安法撤廃論者です。折り紙付きのプロの革命家です。

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他方、ハンナラ党・保守陣営の市長候補も判事出身の羅卿瑗議員(*左写真)に決まりました。ハンナラ党に対抗して「在野保守勢力」が独自の候補を出しましたが、ハプニングに終わりました。「在野保守」が急遽立てたのは李石淵弁護士でした。李石淵弁護士も元々は左派の市民運動家出身ですが、盧武鉉政権が首都をソウルから移転しようとした時、憲法所願を通じて憲法裁判所から違憲判決を引出し首都移転を阻止したことで有名になった人です。

現李明博政権発足後、法制処長(*次官級ポスト)2年間務めました。だが、彼の法制処長としての職務遂行はすごく平凡な印象でした。と言うのも、金大中・盧武鉉政権下で憲法に違反した法律を沢山作りましたが、彼は法制処長としてそれを改正・撤廃する作業をほとんどしなかったからです。李明博大統領が左翼反逆勢力との闘争をやらなかったためにそうだったかは知りませんが反憲法的法律の整備はほとんど行なわれませんでした。「在野保守」は未熟にもこういう人をまともに検証もせず推薦したのですが、彼は自分の支持率や当選の可能性が低いということで929日にあっさり候補を辞退して「在野保守」に恥をかかせました。このハプニングで「在野保守」勢力は一層の挫折感を味わいました。

 

佐藤 それは困りますね。

 

 非常に困りますが、「在野保守」は普段から組織化されていなかったため即応能力の不足が露になったのです。私に言わせれば、今回もどうせ最初から「次悪」の選択でした。李明博大統領の政治的スタンスとよく似ています。

そもそも、日本ではコリア問題関係者に「今のハンナラ党は保守でない」といくら説明してもなかなか理解してもらえません。たぶん「韓半島冷戦」の実状や韓国社会の内戦的状況への理解が足りないためではないかと私は思っています。

 

ハンナラ党は保守ではない

佐藤 李明博政権は、盧武鉉、金大中と違い北の核廃棄と援助をバーターにし、この政策を維持し、援助はしませんでした。この点は金、盧左翼政権と明白に異なるという評価が私を始め日本人関係者にあります。いまひとつ、李明博・ハンナラ党は「社会統合」とかを云々しながら、韓国内の北の手先などと戦わないため、本質的には金大中、盧武鉉政権に通じているという側面が日本人には見え難い、ということではないでしょうか。左翼と戦わないからソウル市議会を彼らに絶対多数派を許したのです。ドミノ現象が起きたら大変なことになります。したがって李明博・ハンナラ党は保守ではない、というのがジャーリストの趙甲済氏、洪熒さんのような韓国保守派の政治的立場だと思います。

李明博政権は、核問題では米、日と共同歩調を取り、内政では北に指導されている左翼とは戦わないいわゆる「中道政治」の弱点が、日本人コリア関係者にはよく見えていないし、韓国人にもよく分かっていないから、左翼の出鱈目な宣伝煽動に躍らせられて、左傾化が進んでいると言うことではないでしょうか。

先のソウル市の住民投票では、ハンナラ党は投票をボイコットした野党や左派と戦わなかったと言うことですが、市長選挙では選挙運動をやっているのでしょうか。

 

亡国のハンナラ党

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 左翼は一生懸命ですが、ハンナラ党は未だ組織的な選挙体制すら整っていません。羅卿瑗候補が個人的に奮闘しているような状況です。特に、ハンナラ党の中で大衆的知名度が一番高く最有力大統領候補である朴槿恵議員(*右写真)は、首都ソウルの市長選挙で自分の党の候補が勝利することには関心も無いように行動しています。当然、今のところ左翼候補が優勢です。

 

佐藤 ハンナラ党はなぜ動かないのですか。

 

 ハンナラ党は街に出て活動しません。それでは屋内で青年や若者たちを対象になにかかしているかといえば、ここでも本当に何もしていません。仮にも政党と言う以上次の世代作りが必要です。世界中の政党は青年や婦人部育成に力を注いでいます。ハンナラ党は全く何もしていません。左翼は全教祖(教員組合)、その他の労働組合などを通じ、学生や組合員を訓練、洗脳しています。街頭にも出て宣伝活動を積極的に行っています。政権を取ってから3年半間ハンナラ党がやったこととは、李明博につくのか、朴瑾恵につくのかという党内抗争に明け暮れしてきただけです。

 

佐藤 自民党が民主党(小沢一郎氏)に敗北したのはハンナラ党と似たところがあるからだと思いますが、それにしても韓国は分断国家ですからね。ハンナラ党はなぜそんなに劣化したのでしょうか。

 

豊かさに敗れた日本と似ている

 分かりません。ドルやユーロの信用不安、北韓の危険な動向などに対して危機感は愚か関心すら持っていないように見えます。教育の現場を左翼に握られているのに、韓国は自由民主主義の国だから政府が国民を民主主義者に育てている筈だから、自分達を支持すると思っています。未来へのビジョンどころか、恐ろしいほど現状を誤って捉えている認知症の政党です。総体的な機能不全、要するに、今のハンナラ党は政党としての寿命が尽きたと私は見ています。救いようがありません。

 

佐藤 お話を伺っていますと韓国と日本は同じなのかどうか分かりませんが、1970年代日本の経済が高度成長に入ると、国民から怒りが消えてゆきました。多くの国民の目は個人の幸せのみに傾斜、労働運動、反体制運動、学生運動は急速に衰えていきました。そして無気力で身動きできない集団と化した「豊かさに敗れた」のが現在の日本姿です。ハンナラ党の現状は70年代の日本の左翼運動と似ていますね。しかし、韓国が深刻なのは日本と違って、北の独裁ファッショ政権が虎視眈々と韓国併呑を狙っていることです。ハンナラ党が駄目なのは、金正日政権と戦い、韓国内の金正日の手先と断固として戦わなければ韓国が北のファッショ体制に組み込まれるという生存本能が決定的に欠如していることです。韓国の左翼は、北の別働隊ということが分かっていない、危険極まりないです。

 

 だから私はハンナラ党こそが主敵だと言ってきました。このままハンナラ党が選挙で負けるだけなら自業自得ですから仕方ありませんが、しかしハンナラ党は金正日と戦わず、その上なんでもかんでも無償(福祉)などと大衆を扇動している左翼とも戦わず、「われわれは石頭の右翼とは違う」と、左翼に媚びることで国を滅ぼしにかかっています。左翼と何も変わらない、国の長期的安全保障の観点から見ると大韓民国の敵なのです。

 

6者協議」再開は難しい

佐藤 また、中国の自分の「国益」から6者協議をやろうという動きが顕在化していますが、この2人の対談で何度も指摘してきたことですが、金正日政権が核を放棄することはありえません。アメリカは散々騙されてきましたから、共和党ブッシュ政権よりも民主党のオバマ政権の方が、金正日に対して厳しい態度に終始しています。

昨今の国際的最大の関心事は、EUの通貨不安に端を発し、経済恐慌に突入するのかどうか、世界のリーダーたちがそれの回避に奔走していることです。6者のメンバー中国、ロシア、アメリカ、韓国、日本の財政赤字を合計すれば天文学的数字になります。詐欺師相手の6者協議など考えている暇がないのが現実です。仮に、当面何らかの措置で経済恐慌を回避できたにしても、アメリカ、ヨーロッパの経済の停滞は中国、インド、ブラジルなどの新興輸出国への影響は避け難く、中国の不動産バブルが弾けたら大混乱が起きます。大情況からいうなら、6者協議の再開は客観的に困難というのが私の見方です。

 

通過儀礼の南北接触

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 北側と韓国内「従北勢力」らから執拗に攻撃されてきた玄仁澤統一部長官が退任した2日後、北京で2回目の南北接触(921)がありました。報道では双方の間に正式の会談用のテーブルもなかったそうです。丸い小さなテーブルが置かれた懇談会のようなものであったと言われています。つまり、南・北の接触は米・朝接触のための要式行為、通過儀礼でした。

北側は核開発施設や核弾頭の放棄に繋がる会談などは韓国とやる気は全くなく、金氏王朝の独裁体制の維持を保証する「6者協議」再開への環境整備という儀式と捉えていることがよく分かります。先ほど仰った通り外交史において世紀的詐欺劇と言える「6者協議」は、再開される形が取れるだけでも国連安保理の対北制裁決議が心理的に無力化されますから、中国と平壌側には大いにありがたいものです。

最近、北側がキッシンジャー氏の平壌訪問を要請したという報道がありました。狙いはまずは金氏王朝の権力世襲を認めてもらうことだと思います。独裁者たちが国際的に名の知られた指導者や策略家たちの虚栄心を刺激、利用する手法は歴史の中でよく見られます。

問題は韓国、李明博大統領です。セールスや工事の受注などが得意な彼は、ロシア産天然ガス確保という「実用的」名目でロシアを入れて南北関係の突破口を開きたいという思惑があるのではないかと見られています。仮にも、一国の最高権力者が目前の「実用的」利益を国家安保より優先させるくらいの没概念の持ち主ならその国の安保は本当に危ういと言うしかありません。

 

佐藤 6者が開催されなかったら、来年「強盛大国」を云々している金正日政権はどうなるのかです。確かに日本も韓国も国内政治は大変なのですが、金正日政権も容易ではありません。問題は中国の動向です。昨年末から始まった改革を求める「アラブの春」がいつ中国に波及するか今回のEUの信用不安が中国の土地バブルにどんな影響を与えるのか。中国が揺れだしたら、金正日政権及び韓国の左派もひとたまりもありません。東アジアも水面下では何が起こるか分からない緊迫した情勢にあると見ています。

日本政府や民主党政権は、果たしてこれからの状況にどれほど対応できるだろうか。気を揉んでいますが、最近、日本人拉致に関係した「朝鮮労働党」工作機関の幹部を国際手配した警察庁がせめて日本のプライドを護っているような気がします。

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                                              洪熒・佐藤勝巳(201199)

 

 ソウル市長辞任

佐藤 日本では殆ど取り上げられなかったのですが、824日ソウル市で、学校給食費の無償化問題をめぐって住民の賛否を問う「住民投票」が実施されました。投票者は2157772人でしたが、有権者総数の3分の1に達しなくて、投票そのものが不成立に終りました。オ・セフン(呉世勳)ソウル市長は、約束どおり市長を辞任(826)しました。

ところが、新しいソウル市長選挙(1026)をきっかけに、従来の韓国政治の枠組を根底から変える激動が始まっているようです。学校給食無償化問題が、なぜソウル市長の辞任、そして既存の与野党を一挙に無力化させる「政変」にまで突き進んだのか。どんな政治的背景があり、来年12月の大統領選挙にどういう影響を与えるのか、教えていただければ有り難いです。ところで、呉世勲ソウル市長はどんな経歴の政治家でしょうか。

 

 弁護士から国会議員になって、ソウル市長は2期目でした。国会議員の時は、与党所属でしたが、イデオロギー的にはどちらかと言えばノンポリという印象でした。呉市長が変わったのはソウル市長2期目になってからです。

 

佐藤 契機は何ですか。

 

左翼の福祉ポピュリズムと戦わなければ国が滅びる

 昨年(2010年)6月の地方議会の選挙で、ソウル市議会の70%以上を野党、左派が占めました。左派は、早速、ソウル市の小学校の給食費を税金で負担せよと決議し、市長に実行を迫ったのです。

それに対し呉市長は、現在、既に貧困層の児童の給食費は税金で負担しており、全額負担にしたら、より緊要な教育予算を給食費に転用せざるを得なくなるので、それは出来ないと拒否し、左翼の大衆迎合政策と対立していたのですが、昨年の12月に市議会を掌握している野党は、3分の2の再可決をしたのです。 

呉市長は市議会の要求を拒みつづけたため、市政が麻痺状態になりました。そこで呉市長は、ソウル市民に直接意見を聞きましょうということで、野党・左派の「全面(即時)無償給食」か、市長の「財政状態を見ながら段階的無償給食拡大」かを問う住民投票となったのです。呉市長は行政の現場で、果てしない福祉ポピュリズムと戦わなければ国が滅びると素直に目覚めたのです。

 

佐藤 開票要件である3分の1になぜ届かなかったのですか。

 

選管の非中立

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 野党や左翼は、議会の決議が市民の意思の反映だとして、住民投票の必要はないと反対し、投票不参加を決めただけでなく、「悪い投票」への投票拒否を市民に呼びかけました。住民投票法では、有権者の3分の1が投票しないと開票できないことになっています。左傾化した選挙管理委員会は、野党と左翼の投票ボイコットの呼びかけを野放しにしたまま、市長の「投票しましょう」という呼びかけ(824日は住民投票日」写真参照)を「投票誘導に当る選挙法違反だ」として禁止したのです。

今ひとつは、投票日が平日だったことです。投票するためには勤務中に職場を無断で抜け出すことなど出来ず、早退や休暇という手続きを取らなければなりませんでした。投票日の決め方も市長には不利、左翼に有利に働くという著しく公平さを欠いたことも投票が規定数に至らなかった無視できない理由でした。

しかし、もっと重大な問題は、呉市長に反対する左派は投票自体を拒否したため、投票に参加する人たちの大多数が市長の主張の賛成者ですから、投票に行く者は市長への賛成派に見られ、選挙の原則の一つである投票の「秘密」が破壊され、全体主義社会を彷彿させる事実上の公開投票になったことです。その上、投票をボイコットしたはずの野党や左派は投票場に参観人として入って、野党や左翼に反対する有権者を把握、監視したわけです。つまり、「福祉ポピュリズム」に反対する有権者が心理的に圧迫感を感じる中で投票が行なわれたという、極めて問題の多い選挙でした。

今回のソウル市の住民投票は、現象としては「給食費の全面無償実施」か「市の財政を見て段階的に実施する」かというー地方の「給食福祉」をめぐる争いのような受け取り方がありますが、ことはそれほど簡単なものではありませんでした。野党や左翼は来年の選挙政局をいわゆる「福祉」で争点にしようとしたのです。

 

ばらまきは従属への道

佐藤 私の孫は東京都下の市立中学2年生ですが、給食費は月額5000円支払っています。ソウル市議会の給食無償化措置は、民主党の「児童手当」と同じ最も安易な大衆迎合で、カネをばらまき、票を集める愚民政策の最たるものです。

日本の現状は、政権担当者が赤字国債(借金)を発行して、自民党政権時代から国民にカネをばら撒き、有権者もばらまくものに投票して来ました。その累計赤字は900兆円、国民1人当り700万円という天文学的な借金です。借金は返済しなければ国家財政が破綻(はたん)します。返済するためには、景気をよくして税収を増やさなければなりません。その目途は全く立っていません。韓国も例外ではなく、株価が暴落、物価上昇を止めることが出来ないでいます。国家財政はピンチなのです。

日本の国債(赤字)は、日本の金融機関が買っていますから、日本政府は金融機関に対して、一定のコントロールが出来ます。しかし、韓国の国債は中国など外国資本も買いますから、政府のコントロールが効き難いのです。内政のばらまきは、健全な自由民主社会を破壊し、やがては外国資本の発言力を強める深刻な問題を内包しているのです。

 

 新しい政治の嵐

洪 さらに深刻な問題は、左翼は学校給食を税金から賄うことを「給食福祉」と呼んでいるのですが、これは序の口で、これから「無償シリーズ」が爆発しかねないことです。なんでもただみたいなことは、社会主義の真似、北の真似ごとなのです。そもそも社会主義に勝つために拡大させてきた先進国の「福祉」政策路線が、理性を失って大衆迎合になると社会主義そのものになりかねません。

実際、「全教組」(教員組合の全国組織)の核心勢力は、無償学校給食を「小ブルジョア家族制度の撤廃」と位置づけています。そもそもすべての生徒に画一的な食事を強いるのも野蛮ですが、左翼はそれを「福祉」という名で選挙に利用、革命を目論んでいます。

今、指摘があったように左翼の煽動に迎合すると、金融を通じて中国の支配を招く売国の道にも繋がります。「福祉ポピュリズム」を拒否した呉世勲市長の言動は、高く評価できる新しい政治の嵐の前兆と言ってよいでしょう。呉市長の今回の失敗はより大きな前進のための「投資」でした。

 

佐藤 ところで与党ハンナラ党は、このたびのソウル市の住民投票にどんな態度を取ったのでしょうか。与党が首都で動けば、こんなことは起きないと思われるのですが。

 

左翼と同じ朴槿恵氏

 一言でいうと、ほとんど傍観です。特に朴槿恵系は呉ソウル市長を批判しました。理由は、大衆におもねって票を集めるという点で左翼と同じだからです。国家財政がどうなるか、統一のときの資金をどうするかなど全く考えていません。頭にあるのは、来年4月の総選挙で自分が当選できるかどうかだけです。

真実を訴え、左翼の出鱈目さ加減を暴露し、呉ソウル市長のように戦うならば勝利する筈なのに、逆にばらまけば当選できると思っているのです。大統領候補として最も有力視されている朴槿恵氏は、呆れたことに「住民投票はソウル市の問題」であり、われ関せずと言い放ちました。彼女は10年前に北を訪問してから、金正日批判を一切しなくなりました。韓国の愛国保守勢力は、左翼と戦うソウル市長を支援しなかった朴槿恵と与党ハンナラ党に嫌悪を感じ、今まで朴槿恵を支持した多くの人々が彼女から離れました。

 

佐藤 ところで、左翼はいつからソウル市議会を3分の2占めるようになったのですか。

 

金正日独裁政権と戦わない李明博

洪 ソウル市議会を野党・左翼が席捲したのは、昨年62日の統一地方選挙でした。選挙間近の3月に、北側が韓国海軍の「天安艦」を撃沈して47人の海軍兵士を殺したのに、李明博政権は、金正日に断固とした報復もせずにうろたえているうちに、金正日体制を庇ってきた野党や左翼勢力に起死回生のとんでもない煽動を許してしまったのです。

つまり、親北勢力は地方選挙で、南北間にこのような緊張状態を作り出したのはハンナラ党と李明博政権の対北強硬政策にあるのだから、「ハンナラ党候補への投票は戦争に繋がる。左翼への投票は平和への道」と、戦争を恐れる有権者を巧みに組織したのでした。その結果、首都ソウル市の議会を明け渡すことになり、「給食費無償化」という大衆迎合となって現われてきたのです。

要するに、李明博とハンナラ党は執権3年半が過ぎた今日まで、金大中と盧武鉉政権が10年間、反憲法的活動を行なってきた人達を李明博は、言論界なども含めて排除するのではなく、広く登用してきたことです。その結果、左翼は力を温存し、ソウル市議会を占有するまでになりました。

大統領という合法的権力が与えられているのに、その権限を行使せず左翼を野放しにしたことが、逆に左翼にやられるという深刻な事態に直面しているのです。

 

愛国勢力の統一候補に

佐藤 天安艦を撃沈したのは金正日なのだ。左翼の言い分は、李明博政権が金正日の気分を害したから緊張状態が起きた、という「奴隷の平和」論そのものです。こんなインチキな親北左翼の煽動を粉砕できずにソウル市議会を彼らに占拠されたのです。その根本的な理由は、「中道」「国民融和」などという観念論に毒され、左翼と戦う勇気がなかったからです。このような事態を招いたのは、ハンナラ党と李明博大統領の自業自得です。                                                                                                                  

だが、愛国保守勢力にとっては「不幸中の幸い」ということが言えるのではないか。日本ではハンナラ党が韓国の保守勢力と理解している人が多いようですが、それは誤解であることがますますはっきりしたことです。

もう一つ、来年末の大統領選挙で愛国保守勢力は万難を排して呉世勲氏のような候補で一本化すべきではないでしょうか。韓国の愛国保守勢力は大統領ポストを握れるかどうか、天下分け目の戦いになって来ましたね。

 

未来を切り開く「福祉ポピュリズム」との戦い

 非常に厳しい状況です。実は、呉市長が辞任した直後に、呉市長を辞めさせた「無償給食」の張本人である郭魯炫ソウル市教育監(教育長)が、去年6月の教育監選挙で、左派の有力候補をおカネで買収していたことが発覚しました。郭の候補買収はあまりにも重大な選挙犯罪ですから、今週末にも逮捕されると見られています。これは左派には致命的で、ハンナラ党にとって絶好の材料なのに、李明博とハンナラ党は1026日のソウル市長選挙をめぐって主導権を握れないでいます。逆に、野党でもない朴元淳という骨の髄までの左翼と、ソウル大学融合科学技術大学院長の安哲秀という左翼煽動家に押されています。

メディアや教育、そして「文化権力」を掌握した左派の長期間の組織的な宣伝・煽動によって、普通の有権者や庶民は経済や暮らし向きにばかり関心をもち、「福祉ポピュリズム」を振りかざす左派煽動屋の餌食になり易いのが実態です。

「福祉ポピュリズム」の誘惑を拒否して住民投票に参加した215万人のソウル市民(全有権者の25.7)に象徴される韓国の健全な愛国勢力が、北韓解放という未完の自由民主主義革命を成し遂げるためにも、反逆的従北勢力はもちろん、現状に安住しようとする一切の既得権勢力の打破のために決起すれば、韓国は未来に向けて前進し続けられると思います。そのための動きが活発化しています。

 

洪熒 桜美林大学客員教授

佐藤勝巳 ネット「現代コリア」主筆

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2011
722日、民団中央本部を訪問した李正姫を歓迎する黄迎萬議長。

在日民団が憲法に挑戦する違憲・従北政党で金正日の手先である南韓労働党を歓迎した。反国家団体である韓統連の招待で訪日した民労党代表、朝総連を庇護してきた民労党の代表を歓迎したのは民団の歴史に残る汚点、恥辱になるはずだ。従北・反逆勢力を歓迎するこの1枚の写真は2011年7月現在の民団中央本部の理念的座標や体質を物語る。

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洪熒

最近、韓国キリスト教界に影響力の強い外国人牧師が、教会の集会で平壌の「金氏王朝」の世襲を認め、特に金正恩を祝福する言動を公然と行った。この衝撃的な事件は各種スキャンダルなどで揺らいでいる韓国キリスト教会のアイデンティティに改めて疑問を投掛ける契機になっている。

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韓国「イエス伝道団」の創始者である米国人・デイビッド E. ロス(韓国名;オ・デウォン、呉大院、76歳、*左写真)牧師は、先月の623日、韓国屈指の大型福音主義教会であるオンヌリ教会(河用祚担任牧師)が主催した「マリア行伝」という女性伝道者たちのための集会(ソウル)で、「北韓の金正恩がイスラエル歴史の中の『ヨシヤ王』のようになれるよう神
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様にお祈りしましょう」と
3,000人ほどの参加者に求めた。その場にいた参加者たちによれば、オンヌリ教会(右写真)は、ロス牧師のこの許せない反キリスト教的発言を公式的に問題にせず公開しないまま引き続き他の宣教集会にも講師として招いている。

ロス牧師が金正恩を祝福するため比喩に引き出した『ヨシヤ王』(紀元前640年即位)とは、ユダ王国歴史上イスラエル人の神様への信仰心を復興させたもっとも優れた王の一人として旧約聖書に記録されている人物だ。

ロス牧師は、26歳だった1961年に宣教師として韓国へ派遣されてから『イエス伝道団』を作り、アメリカの『ユース・ウィズ・ア・ミッション』(YWAM、世界青年宣教会)と一体になって活動中だった1986年、政治的活動を理由に韓国から追放された人物だ。

彼はアメリカへ帰ってから在米韓国人2世たちの「霊的(意識化)訓練」と「対北宣教事業」に集中してきた。在米韓国人社会では、彼がシアトルを根拠地として全米の韓国人教会(現在約4,000箇所)の親北化を目論んでいる張本人で、彼の影響力によって年間少なくとも数千万ドル以上の巨額の献金が金正日体制に流れているはずと言われてきた。

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金大中・盧武鉉の左翼政権以来、韓国の宗教界は人道支援を名目に対北支援を拡大してきた。だが、キリスト教界の場合、「平
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壌科学技術大学」(*左写真)を建設した「所望教会」の郭善煕牧師や「心臓専門病院」を建設中の「純福音教会」の趙鏞基牧師をはじめ、いわば“韓国クリスト教左派”による金正日体制への支援は、韓国社会や教会に葛藤と分裂だけをもたらした。特に、多くの教会や信徒がキリスト教を抹殺した金正日体制への支援に出たのは、親北政権による「太陽政策」のせいもあるが、より根源的な背景には悪魔的世襲独裁への批判意識を封鎖し、麻痺させるための対南工作に加えて、キリスト教左派による長い間の周到な工作があったと専門家たちは指摘する。(*右写真は「平壌科学技術大学」内の「金日成永生塔」)

今韓国でもっとも注目されているオンヌリ教会や愛の教会など目覚しく成長しつつある教会らが、ロス牧師の根拠地であるYWAMなどのいわゆる「新使徒運動」に寛大である。特に50年に及ぶ韓国への宣教活動を通じて築いた一種の「カリスマ性」を持つロス牧師のような人物を統一関連集会に講師として招待することが、教会内で従北勢力を拡散させる大きな要因になっている。

ロス牧師が国際的規模で主管する「新しいコリアに尽す働き手学校(NKSS)」の親北性を暴露した参加者もいたが、ロス牧師は先週(712)、シアトルでのあるインタービューで、余生を北韓で送りたいとも言い放った。

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(佐藤勝巳・洪熒対談)

 

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佐藤 金正日が、520日から27日まで訪中しました。今回もまた「恒例化」したあの大名行列の列車旅行でした。延べ5000キロ以上ですから中国側は警備などで大変なはずです。中・朝両方は、いったい何を考えてあんなことを今やっているのでしょうか。

 

介護人が常時必要

 金正日は2000年以降7回も訪中し、今回と似た視察・遊覧コースも列車で何度も旅行しました。父・金日成の真似かも知れません。内外のメディアの報道では、あれだけ長い旅行ができたのは金正日の健康が回復し、北の内部状況も安定している証拠だ、などの解説もありました。

ご指摘の通り金正日の「恒例化」した中国列車旅行は、いわゆる「中朝関係の特殊性や親密さ」の象徴のように言われがちですが、私はこういう列車豪遊こそ、金正日と共産独裁体制の前近代性、そして北・中国関係の不健全さを物語っていると言いたいです。

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いずれにせよ、去年の天安艦テロ攻撃以後3回も訪中とは尋常でありません。そして今回の訪中では、金正日体制の問題点が非常に分かりやすい形で現れたような気がします。そのヒントが金玉の然りげない登場、いや彼女の存在と役割の誇示です。

金正日の列車豪遊に女性同伴は付き物ですが、今までは公にはしませんでした。だが今回は同伴女性が金正日の車にも同乗し、そして中国側が設けた公式晩餐会ではフアストレディー並みの待遇です。金玉の存在と役割は、北の内部では決して人民にまでは知られて欲しくない問題の筈です。

 

佐藤 確かに今度金玉の存在と役割の誇示は注目に値します。絶対権力者の直ぐそばに座れる、位置できるのは、いろんな情況によって違ってきますが、普通の正常な情況では奥さんか序列第2位の人物です。ただ、安全のための警護責任者や、公式会談での通訳や秘書、病人なら主治医や介護人が直ぐそばで世話をします。金玉の今度の登場は、どうも介護人としての役割と北の内部の複雑極まりない政治的事情が反映されている気がします。今の北朝鮮が政治的にそれなりに安定しているという大勢の見方は、まったく間違っています。

 

 金日成死亡後、金正日では体制維持は難しいという予想が支配的だったが、現実には体制を維持しました。だから、金氏王朝の体制不安定説には二度と騙されるまい、というのが多くの専門家の気持ちなのかも知れません。同時に、「現状固着」を望む北の特権階層が、特権を維持するために、また南の親北左翼勢力も、金正恩への順調な権力承継を意図的に流しています。

 

 情勢の変化

佐藤 内外の情勢はめまぐるしく変わっています。この変化をどう捉えるかです。金正日は先月の中国訪問で、今までかたくなに拒否していた「6者協議」の再開に同意しました。ところが、中国から帰ってから南北間の秘密接触を暴露し、李明博政権を激しく非難(61)します。

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中国のもくろみは、天安艦爆沈と延坪島砲撃がもたらした「日・韓・米の結束」を崩すため「6者協議」の再開し、その前提として南北関係の緩和を推進しようとしていた筈です。南・北韓の秘密接触(59)は北京で行なわれたのですから、中国は知らないはずがありません。それを金正日が暴露して、つぶしにかかっているのです。この豹変は中国への不満なのか、平壌政権内での権力争いの結果なのか、極めて注目される現象です。

 

 0.1パーセントの富裕層

 長い間北を観察してきた専門家、特に北の軍を観察研究した専門家によりますと、今北で何の不足なしで贅沢な生活のできる人口は最上層の23万人だそうです。つまり人口の0.1パーセントは中国の中流以上の生活ができ、残りの99パーセントは体制に依存することなく、独自に生活の糧を手にしているということです。

つまり、金正日・金正恩が物質的に世話できるのは23万人にしか過ぎないため、最上部の0.1パーセントを含めて国全体が統制が利かなくなってきています。 だから、北の住民が警察(人民保安部)の言うことをきかなくなり、特に餓えている軍人たちを抑えられずに治安が悪化しています。そのため、今年(2011)3月に、その責任を問われて周相成人民保安部長が解任され、「国防委員会」行政局長の李明洙(*「人民軍総参謀部」の作戦局長出身)が後任に充てられました。

また、軍隊でも、軍を取り締まる総政治局長のポストが趙明録の死亡(201011)後未だ後任が発表されていません。軍も核ミサイルを持ったものの、食糧をはじめとするあらゆる補給が途絶えています。そのため末端の兵士は栄養失調になり、部隊の士気が落ち、敗北主義に陥っている。これらの回復は、金正恩を取巻く将軍たちの急務であり、こうした現状が、金正恩時代を担う「新軍部」が対南挑発に走る背景と見られます。

 

佐藤 コップの中に水と油を入れると、水より軽い油が水と分離されて浮きます。平壌居住者を含むその油の部分がそもそも北の「核心階層」でした。ところが、この「核心階層」にも配給が届かなくなり、今や市場勢力の成長で9割以上の水の部分は、油と関係ない世界で生存しているということですね。金正日政治の核心をなす軍にも食糧が行きわたらないで、総政治局長人事も決まらないということは“安定”などとは程遠い状態ですね。

 

 南北秘密接触の暴露

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 金正日体制が安定どころでない証拠が、6月1日の「国防委員会」による南北秘密接触(59)の一方的な暴露です。そもそも「唯一指導体系」の個人独裁では南韓との秘密接触を進めるのも、また、それを中止、暴露するのも金正日の批准(サイン)が絶対必要です。

周知の通り、北側は金日成時代から労働党の統一戦線事業部がその対南工作の戦略戦術全般のコントロールタワーとして「首領」を補佐しました。

それが2009年に人民軍に「偵察総局」ができてからは、統一戦線部が南北関係においての企画統制機能を失っています。金正日が健康なら偵察総局をコントロールできたでしょうが、病床にあって3男に権力移譲を急ぐ状況では、先軍後継体制の前で統一戦線部が無力になるのも当然です。

天安艦撃沈と延坪島砲撃、そして南北秘密接触の暴露は、金正恩後継を支える「新軍部」の、従来の統一戦線部(の遣り方)への不信や不満の爆発という側面もあるでしょう。現に、既に金正日には南北首脳会談のための気力などありません。だから、略奪に頼ってしか生きようのない「パルチザン伝統」に忠実な偵察総局や「新軍部」は、力で南韓を脅かし屈服させようとします。問題はソウル(李明博政権や親北左派)がこういう事情が分かっていないことです。

この時期に、介護人(金玉)に支えられての5000キロの大名旅行を通じて、金正日は、自分が判断力の機能しない病気の老人、裸の王様であることを、自ら行動で示しました。そもそも今回の訪中は病気の老人の気分転換の目的から始まったのではないでしょうか。

極端な個人独裁の唯一指導体制で、その「首領の脳髄」の機能不全がどういう結果を招くかが危機管理の次元で注目すべき点です。

 

 市場経済にあくまでも抵抗する金正日

佐藤 金正日を支えてきた側近達は、正恩時代が来れば現職に止まれない。現に金正日と一緒に記念写真に写っていた軍幹部達の顔ぶれが大幅に変わってきています。内部で世代交代(権力交代)を進めつつ、逆に独裁体制を維持し、23万人が身を守るという政治力学が働くことは軽視出来ない問題だと思います。

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しかし、金正日に権力が世襲された時と決定的に違うのは、国内外的の安定度です。もちろん、今の北が直面している苦境は金正日自身が招いたものです。洪さんと私の対談で今まで何度も指摘したことですが、住民の90%が“市場”を利用し生きて15年以上経過しています。実態として、初歩的な市場経済化が進行しつつあります。あれを「力」で押さえつけることは多分無理かと思われます。言葉を替えて言うなら、北朝鮮は中国経済圏に既に組み込まれているということです。

 

洪 人民は生存闘争を通じて市場経済を体得しているのに、金正日と労働党は依然として「黄金坪特区」だの、「羅先特区」だのと、他人のものをただで貰う工夫ばかりの卓上空論で終始しています。新義州が毎年ちょっとした雨にも浸水するのに、あの中州をどうするというのか。丹東地域の開発もまだ完了していない中国が、ライバルの経済特区などを本気で支援するでしょうか。

政治的に不安で経済論理が機能しない所に投資することなどあり得ません。中国が「羅先」地域に持つ関心は経済だけでありません。表に出しているのは経済ですが、裏は軍事です。

 

安い安全保障費

佐藤 いまひとつは中国の動向です。北のトップが中国の言うことを聞く限り、面倒を見ると言うのは、中国共産党としては、北の独裁体制が崩壊し、自由民主主義が中国と国境を接する事態だけは何をしてでも阻止する戦略です。そうでなかったらこのご時勢に、中国領土内5000キロを金玉との「新婚旅行」まがいに汽車で走るなど馬鹿馬鹿しいわがままを認めるはずがありません。中国の安全保障費と考えているからです。それなら安いものです

 

洪 中国としても金正日の豪遊は気まずく、国際社会に対して恥ずかしいかも知れませんが、中国が描く戦略に金正日を利用できれば、実用的な対応として合理化できる筈です。しかも、若しかしたら今回は、金正日が生きているうちの最後の訪問になるかも知れませんから。でも、中国共産党の実用的な寛大な待遇こそが、金正日を窮地に追い込んだ結果になるかも知れません。

 

 金正日の説明責任

 つまり、金正日は世界に向けて、少なくとも北の人民に向けて死ぬ前に、今まで「わが民族同士」を闡明しながらも、なぜソウルとの対話を拒否し、頻繁に中国に物乞い出向いたか、また国内では今まで決して公にしなかった「妻」を中国で先に公開したかとう事情を 説明する責任があります。金正日の女性パートナーは、本来ならば北の国の「オモニ(お母さん)」の筈だからです。

 

金玉同伴の意味

 話を戻しますと、なぜ金玉を中国に公式同行させたのかということですが、金玉こそ今のところ平壌の複雑な事情を解くに欠かせない存在と見るべきです。平壌の権力地図は、金正恩が後継者として登場する過程で激変しました。金正日の旧友とも言われた呉克烈などが第2線へ後退し、組織指導部の李済剛第1副部長が「交通事故」で殺されるなどありましたが、誰々が銃殺されたとか、北からの血なまぐさい消息はこれからも続く筈です。

今のところ、金敬姫(金日成の長女)大将を頂点にする「白頭山筋」が、金正恩の後継構築を支えるという態勢です。これまで粛清された幹部らはこの構図に抵抗したか邪魔になると見なされた者です。金玉が病弱な金正日を介護しながら金敬姫を支える役割を自任したとすれば今回の訪中での彼女の行動は説明がつきます。

 

佐藤 独裁者が権力を肉親に譲るとき、側近達の権力争いが起きるのは当然です。金日成から金正日の世襲のときも起きました。今、同じことが進行している、ということなのですが、独裁政権の側近達にとっては死活問題なのです。

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要するに金正日の数多くの女の中で、金玉が最終的に金正日のパートナー(同業者)になり、後継問題まで絡んだ。だから、金正日は金玉を同伴し、金正恩の真の後見勢力である中国共産党指導部に挨拶披露したと解釈できますね。

いずれにせよ、諸悪の根源である中国共産党が支える限り、金氏王朝の暴圧体制の本質は何も変わらず、独裁体制の暴走は続くということです。

 

 新しいテロリズム

 この中朝の独裁同盟の挑戦に直面している当事者の韓米同盟と日本は、北の非常に不安定な末期的状況をどう管理、対処すべきかが問題です。特に金正恩の取巻きの「新軍部」の権力基盤の不安さが、これから対南挑発を激化させるのでは、と予測されます。

北のこれからの対南挑発はいろんなことが考えられますが、後見人である中国の立場などを勘案すると、原爆の追加実験よりはサイバー攻撃を加えたテロの可能性を警戒すべきだと思います。特に北側はここ数年、韓国に対し大胆なサイバー攻撃を繰り返しています。

最近、米国防部がアメリカの国家基盤システムなどへの国家的意思によるサイバー攻撃は戦争行為と看做して軍事力で即時報復すると闡明しました。これは、戦場が従来の陸・海・空から宇宙へ、そしてサイバー空間に拡大したのを反映しての対応です。つまり、高度の産業インフラを整え、金融やサービス業などが発達した先進国ほど、北のような大規模のサイバー部隊を持つ後進的敵対勢力の攻撃にもろいためです。アメリカの新しい戦略は、同盟国へのサイバー戦争攻撃に対しても当然即時報復になると思います。

こういう安保脅威が増しているにもかかわらず、韓米連合軍司令部を2015年まで解体するという韓国の国防政策はどう考えても愚かです。

 

佐藤 金正日の死と金正恩への権力世襲は単なる承継でありません。東アジアの「平和と安定」への重大な挑戦です。そう捉えなければならないのに、わが国の政治はうつむきに終始、権力闘争に明け暮れています。金正日が拉致を認めているのに取り返すことが出来ないでいます。本当に情けない話です。日・韓には、アジアに残されている前近代性と独裁を打破すべき責務があると思います。(2011.06.12)

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 佐藤勝巳・洪熒(2011.05.26)

 

佐藤 大型連休最後の58日、日比谷公会堂(東京千代田区)で、拉致救出の全国集会に参加されて、どんな感想をもたれましたか。

 

 訪朝発言の背景は何か

 国民の関心か東日本大震災に向いているとき、 主催者発表1300名も集まったのですから、よかったと思います。集会では、寺越さんを拉致被害者に認定しない政府の態度や、1年半の間に拉致担当大臣が4人も変わったなど批判もありましたが、日本政府が人権啓発基本計画に拉致問題を入れることを決定したという、肯定的な動きも報告されました。

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救う会は(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)、北側が拉致被害者の消息について「調査のやり直し」の約束を履行していないことを理由に政府に対北追加制裁を強く求める決意を内外に示すために、拉致3団体と特定失踪者調査会が一緒にデモ行進(65日の午後)を宣言しました。金正日政権をテロ国家に指定せよ!という主張も出ました。

ところで、拉致議連の平沼赳夫会長が、家族会の要請によって「拉致解決のためにピョンヤンを訪問する用意がある」と発言されたので、一瞬「え、何だ、何か北から接触でも始まっているのか」と驚きました。あの発言の背景になにがあるのでしょう。

 

訪朝発言はアドバルーンか

佐藤 「救う会」の動向は、メールニュースしか読んでいませんので全く分かりません。一般論で言いますと、今まで北が、何か日本に動きかけをするときは必ず水面下で、事前に「工作」がありました。平沼赳夫議連会長に工作が始まったのでしょうか……。

いや、それは考えにくいことです。議連の主要メンバーは自民党、民主党、公明党、立ち上がれ日本などですが、『訪朝』となれば、それぞれの政党の思惑が絡んできますから、議連内で合意を得ることは簡単ではないはずです。何よりも議連に外交権もおカネもありません。そんなところに北が接触してくるとは思われません。

あくまでも推測ですが、力不足の菅直人政権にとって、福島第1原発放射能汚染と東北大震災復興に精力をそがれ、拉致どころではない、というのが現状ではないかと見ています。国民の関心は拉致より放射能汚染や大震災復興に集中しています。まさに拉致は忘れられる存在になりつつある中での平沼会長の『ピョンヤン訪問』発言は、菅政権攻撃と国民の関心を呼ぶためアドバルーンだったのかも知れません。

 

説明責任

洪 それにしても不可解な話です。平沼議連会長は、「家族会の要請により」と集会ではっきり言いましたが、日本政府の基本方針は、拉致救出はもちろん、核、ミサイルの三点の一括解決が対北関係回復の前提条件でした。平沼会長と家族会は、拉致を、核とミサイルから切り離して優先解決せよと言っているようにも聞こえます。これは非常に重要な点ですが、日本や東アジアの安全保障問題から拉致救出を切りはなし解決するというのかどうか、家族会、「救う会」、議連は、説明する責任があるのではないでしょうか。

 

救出できない理由は何か

佐藤 家族会の幹部の中に制裁だけではなく、話し合いも重要と考えている人がいることは間違いありません。確か、「救う会」は、最近の運動方針で従来の制裁一本槍から、話し合いも付け加えたように記憶しています。しかし、金正日政権は、過去、彼らにとって都合が悪いと判断すれば、難癖をつけて話し合を打ち切ります。

また、3年前に拉致被害者を再調査すると日本政府に約束しましたが、全く履行せず、交渉にも応じていません。そういう相手を話し合いに応じさせるためには、より強い制裁をというのが家族会、「救う会」の方針でした。2006年から政府も基本的にはその線に沿って対処してきました。

だが、5年がたった現在、何も打開されていません。そこで打開できない理由は何か、と言うことが家族会、「救う会」の緊急の課題のはずです。課題について詰めた議論があった気配はありません。だったら家族会は拉致議連会長に何を頼むのか、です。依頼の中身も決まっていないのに、金正日政権に「話し合い」提案をするというのなら、それは余りにも無謀すぎます。敵の罠にはまるだけでしょう。

 

 自国民を救出するための日本政府の覚悟や動員が充分だったのかも問題ですが、政府を動かすのは国民の義憤の声、世論です。また、国民の公憤を誰がどのように組織化するかですが、そこに議連会長のピョンヤン訪問が突然、日比谷公会堂の集会で発表されたのですから、一体何が起きているのかと、誰もが思います。

 

信じがたい家族会の対応

佐藤 政府の拉致対策本部は日比谷集会の直前に、被害者家族に対して「何をやって欲しい、と思っているのか」と意見を個別に求めたのに対して、返事をしたのは、関西の一家族だけだったことを最近の取材で知りました。長期間の運動で疲れ果て、しかも現実は変わらないとは言え、返事をしないということは、家族会は拉致問題が現状のままでよいと、思っているのではないかと受け取られかねない対応です。本当にびっくりしました。政府に聞かれてもなぜ自分の意見を言わないのでしょう。理解しがたい態度です。

 

なぜ、大集会を組織しないのか

かつて「救う会」は、政府と県、「救う会」の3者で、新潟では(政府抜き)6000名、愛媛で3500名、和歌山1600名、熊本1300名、福島1000名、岩手1000名、富山1300名、埼玉1500名と集会を組織してきました。各地でこのような運動を行なうのは、まず当該県選出の国会議員は、拉致救出運動を無視できないこと、霞ヶ関、永田町、首相官邸も動かざるを得なくなること、何より、国民の怒りの声が日本各地で起こることは金正日が困るのです。こうした運動は、継続しておこなうことに意義があります。

関係者の間では知られていますが、「救う会」現執行部と家族会の一部は、上記の運動に反対し、ソウルやワシントンで集会を開くことに力を注いだのです。国民の支持があるから政府をはじめ政治家が救出運動に注目し、「救う会」や家族会の発言に耳を傾けます。現執行部はその道を放棄したのですから、拉致救出に国民の関心が薄らいで行くのは自然の成り行きです。

「救う会」主催で、「東京連続集会」が毎月のように開催されていますが、参加者はこと大東京で50から100名ほど、マンネリの見本です。57日の「救う会」全国協議会幹事会で、神奈川など幾つかの「救う会」が連名で、全国的に救出運動を盛り上げる必要があるが、長い期間の運動で「疲弊している」ので、地方などで拉致救出の集会を開くにあたり、家族会メンバーの参加などを条件に、集会の会場費などを「補填してはどうでしょうか」と文書で、家族会代表に要請しています。

分かりやすく言うと、家族会に集まったカンパを「救う会」地方組織にも使わせろという主張です。こういう信じがたい要請が全国幹事会の席上で提案されています。集会の会場費も集めるのができない組織が、拉致救出など出来るはずがありません。疲れている組織は、世間から「拉致を食い物にしている」と言われる前に、進んで運動から身を引くべきです。

民主党政権になって拉致担当大臣が4人代わるのと、上記の一部「救う会」の言動は質的にどこが違うのでしょう。運動の現状を憂慮せざるを得ません。拉致が解決出来ないでいる主要な原因の一つは、「救う会」、家族会が、国民の心を捉える運動をやっていないからです。

 

金正日政権の本質をどう捉えるか

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洪 平沼議連会長の訪朝発言ですが、カーター(元米大統領)の訪朝や前原前外務大臣の対北独自接触意欲表明などのケースが連想させられます。昨年の暮れ、与謝野さんが菅総理に工作され入閣した頃、菅総理が平沼さんに拉致担当大臣に就任してもらって連立を組みたい、という話が報道されたことがありました。それが裏で再燃したのかという見方も出来ますが、何れにせよ、言葉は、公の場で口から出たら、独り歩きするようになることがよくあります。気をつけねばなりません。

韓国も日本も同じなのです。金正日を相手にするとき、この集団の本質をどう捉えるのかが、決定的に重要なポイントです。金正日は同情されるべき哀れな存在や哀願する相手に飽くまでも残忍な態度で臨んできます。つまり本性が悪です。それを悪魔と呼ぶか、ゴロツキと呼ぶかは別にして、全く信用できない集団と見るかどうかです。こちらが話し合いたいと言えば、「いくら出すか」ということになります。

 

悪の詐欺集団

佐藤 かつて自民党政権が、金正日に「日朝交渉をやりたい」といったら、「コメを寄越したら、話し合ってやる」と言われて、同政権は、1995年から累計で150万トンのコメを献上しました。その挙句いまだ日朝交渉も開かれていません。要するに「話し合い料」だけただ取られて、交渉を打ち切られたのです。『詐欺集団』ということです。平沼先生が話し合いたいと言えば、必ずカネを要求します。家族会は「話し合い料金」を支払う用意があるのでしょうか。議連の交渉に政府が資金供与するなどあり得ない話です。対話料を支払わなければ話し合いに応じないということを家族会が学習をしていれば、この期に及んで、平沼会長に訪朝を要請するなどということはないはずです。第一、何を話すのですしょう。

 

騙す奴が一番悪い。騙される人間も同質だ

 韓国の金大中・盧武鉉など、左翼や左翼民族主義勢力が、金正日も「同族」で「人間」であるはずだから支援をし、話をすれば分かってくれるし通じる、などと彼らはあらゆる手段を動員して、韓国民だけでなく米・日をはじめ、国際社会が金正日を支援するように働きかけました。左翼らは安保予算まで削って対北支援をしました。しかし、結果は金正日の核武装です。騙す方が最も悪いですが、何度も騙される側にも責任があります。

相手の正体が悪であることが分かった後も悪と妥協し、取引する者は金正日と同罪です。歴史的に悪と妥協することで勝ったという話を聞いたことがありません。

 

救出の戦略・戦術なし

佐藤 北はカネが欲しいから非公式に、拉致被害者を帰すからカネを出せ、と幾つかのところに話を持ってきている感触が伝わって来ています。当然、政府にも来ていると思います。

それはさて置き、総理大臣を本部長とする拉致対策本部は、官房長官、外務大臣、拉致担当大臣(事務局長)4人で構成され、その下に事務局があります。問題は、拉致がまぜ解決しないのかということです。その重要な理由の一つに、政府の拉致被害者救出のための 「戦略と戦術」の欠如があります。悔しいことですが、過去も現在もこれからも当分作れないと思います。前述のように当事者である被害者家族がどうして欲しいのか考えていないからです。政治家も官僚も、拉致は主権が侵された重大事件、戦争を仕掛けられているのだと、本気で受け取っている人はごくわずかです。

 

カネを使うノウハウもなし

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ビンラーディン射殺で見られるように、国家情報機関を持っている国でもテロリズムとの戦いは難しいのです。日本人などを拉致している金正日政権は、韓国の哨戒艦を撃沈し、大砲で延坪島を攻撃、正規戦を仕掛けて来ています。それに対してわが国がやったことは、元工作員キムヒョンヒを軽井沢のブルジョワの別荘に招待、料理を作り、ヘリコプターで首都圏を遊覧させたのです。家族会や「救う会」は、政府の馬鹿げた行為に一言の抗議もしませんでした。この政府にしてこの運動ありです。こんな状態で拉致が解決できないのは当然のことではないでしょうか。

独裁国家相手の拉致解決は情報が決定的に重要です。国家情報機関はすぐ設置できませんから、次善の策が必要となります。ところが担当大臣が45ヶ月に1人交替しているのですから話になりません。しかし政府は、キムヒョンヒ招待で見られるように信じがたいカネの使い方をしました。情報集収集についてのカネの使い方、ノウハウを分かっていないと言われても仕方ないと思います。こういう現実の中で拉致議連会長がピョンヤンに行って何か解決できると考える家族会の現状認識は、余りにも雑で無責任過ぎます。

 

拉致問題は戦争だ

洪 金正日は、拉致問題で日本側が疲れ果てて無関心になるか諦めるのを待っています。金正日ももちろん疲れています。しかし、金正日は「我慢くらべ」では絶対自分が勝つと信じているはずです。

何度も話したことですが、北側による「拉致」は、日本の国内法が定めている刑事事件でありません。この問題はテロリズムを道具とする戦争なのです。刑事事件は法律や裁判というルールがありますが、戦争では基本的にあらゆる手段・方法が正当化されます。例えば、寺越さんのケースを、日本当局が証拠云々し、拉致として認定しないことは、責任のがれや偏狭な法治主義であり、敵の戦争攻撃を弁護士に相談するのと同じナンセンスな話です。

つまり、日本側は未だ、拉致問題の本質、金正日体制の本質、そして金正日を庇う中国共産党の属性が分かっていないだけでなく、今までの学習成果はゼロに近いと言わざるを得ません。

戦争は、勝利のために敵の強さと弱さを冷徹に捉えることです。このことに本当に気づけば勝てる手段と方法がいっぱい見えてきます。日本当局はその材料を沢山持っています。なぜそれを使わないのかです。

 

佐藤 結局、やる気がないというか、政治家も官僚も断固として原則を守り、戦い抜くという闘争心がなっからです。関係各省庁には拉致についてのいろいろな情報があるのに、セクト主義で全くと言ってよいほど共有化されていません。ピョンヤンやアメリカに行く前に、国内の改革が先なのではないか、と思います

 

洪 自由と正義は妥協や譲歩の対象でないという原則を堅持することです。最近聞いた、在瀋陽日本総領事館が、これからは脱北者を庇護(受け入れ)しないと中国当局に約束したという噂が事実でないことを願います。

 

メルトダウン

佐藤 えぇ、なんですって。日本の瀋陽総領事館が北からの脱北者を保護しないことを中国当局に約束したというのですか? 総領事館がこんな重大なことを決められるはずがありません。ここでも何が起きているのか。メルトダウン(核燃料が溶ける最も危険な状態)しているのは 福島第1原発だけではなく、菅内閣を先頭に、外交、東京電力、運動体など、いろいろな分野で起きているということですね。

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金正日が520日から一週間、例の列車遊覧旅行に出た。あの列車旅行は金氏王朝の前近代性を物語る。そして中国共産党の本質もよく教えてくれる。

現代外交の特徴の一つは首脳外交の比重が絶対的と言えるほど増大した点である。首脳が動くというのは国家そのものが動くのを意味し、その分国家間の複雑な事案を妥結することが期待できる。 つまり、効率性を重視する時代の流れを反映したものだ。

こういう重さや象徴性から首脳外交は基本的に多目的効果を狙う。金正日の訪中もいつも多目的だった。でも、去年の天安艦爆沈以降の1年間3回もの訪中には特に切迫した理由がある。それは李明博政府を屈服させるため仕掛けた対南武力挑発が裏目に出たのを収拾することだ。

北が中国との連携を経てその収拾策として縋っているのが、彼ら自身が拒否した「6者協議」の再開だ。北・中両方が狙いは「6者協議」の再開という局面を作ることで、対北制裁を事実上無力化させることだ。北・中が天安艦爆沈と延坪島砲撃の責任を追及されず「6者協議」の再開に成功できればそれは韓・米・日への外交的、戦略的勝利を意味する。

北・中の真情を窺えるのが金正日の列車を利用した前近代的様態だ。北が国際社会の一員になりたいならまず非効率の極致の豪華遊覧から止めるべきだ。

同時に、自由世界のメディアは金日成金正日の王朝のと暴力の裁体制、中でも北の宣伝扇動を助長してはならない。例えば、北の経済的窮状の原因や事情を歪曲しないことだ。

北韓は今まで自力更生の社主義体制の優越性を自慢し、人民にこの世の中に羨ましいことは無いと歌わせてきた。しかし、北は1948年以降一刻とも自力更生だったことがない。北の自力更生とは、はソ連がその衛星国らを束ねるために作ったコメコン(COMECON、経済相好援助)から援助をもらうことだった。自由陣峙した主義の自力更生がその正体だった。コメコンは東やソ連邦の崩壊で1991年に消滅した。つまり北の本格的な窮はこの乳母後見人が亡くなってから始まった。

嘘の金氏王朝の物語の中ででないのが一つある。「パルチザン統」という部分だ。パルチザン隊の本性とは言い換えれば集りということだ。 

後見人が消えた北が集りの象を探すのは然だった。だが、韓が集られるのを拒否してきた。金正日は核ミサイルで韓米同盟に挑している。この前近代の不良家、家の後見人を自任して出たのかアメリカに挑する中だ。いくら全体主義裁とは言え、連安保理の常任理事たるが、火遊びのと八百長までやるのは恥ずかしくないか。

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