青葡萄
わがふるさとの七月は
たわわの房の葡萄の季節
ふるさとの伝説は一粒一粒に実を結び
つぶらな実に遠い空の夢を宿す
空の下の青海原は胸を開き
白い帆船が滑るように訪れると
待ち侘びる人は船旅にやつれ
青袍(あおごろも)をまとって訪れるという
待ち人を迎えて葡萄を摘めば
両の手のしとどに濡れるも厭わず
童(わらべ)よ われらが食卓に銀の皿
白い苧(からむし)のナプキンの支度を
訳は「安宇植」先生
イ・ユクサの詩と散文を数多く読んで訳をされているので、きっと詩の趣を的確に伝えていることでしょう。
空間の広がりと色彩の鮮やかさに心惹かれました。
『李陸史詩集』にある略歴によると、
イ・ユクサ(이육사)は1904年安東生まれ。23年一年余り日本に滞在した。帰国後抗日結社「義烈団」に加盟。26年北京に行き、帰国後、銀行爆破事件に連座。釈放後再度北京へ行き、朝鮮軍官学校第一期生として卒業した。43年特高に逮捕され、44年北京で獄死した。
とあり、抗日の闘士だったことがわかります。そして、ユン・ドンジュに先立つこと1年ほど、獄死をした人だと知りました。「青葡萄」は単に平安な故郷の美しさを歌ったのではなく、奪われた故郷に対する深い愛情が込められていると言います。
この詩集でイ・ユクサの詩を見ていると、洗練された洒落た雰囲気が感じられました。日本に滞在した間にヨーロッパの詩人たちの詩に接したことや北京を中心に中国に滞在し中国の知識人に接したことによると解説にありました。
『韓国人が最も好きな名詩100選』をみていたら、何とこの中に「青葡萄」が取り上げられていたのでした。
청포도
내 고장 칠월은
청포도가 익어가는 시절
이 마을 전설이 주저리주저리 열리고
먼데 하늘이 꿈꾸며 알알이 들어와 박혀
하늘 밑 푸른 바다가 가슴을 열고
흰 돛단배가 곱게 밀려서 오면
내가 바라는 손님은 고달픈 몸으로
청포(清泡)를 입고 찾아온다고 했으니,
내 그를 맞아 이 포도를 따 먹으면
두 손은 함뿍 적셔도 좋으련
아이야, 우리 식탁엔 은쟁반에
하이얀 모시 수건을 마련해 두렴.
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