白夜行(びゃくやこう)はご存知のとおり、大ベストセラーの東野圭吾の長編ミステリー小説です。集英社の「小説すばる」の1997年1月号から1999年1月号に連載され、1999年8月には、単行本として刊行されました。
当初は、連作短篇として連載されていましたが、単行本では長篇に構成しなおして刊行されました。発行部数は2005年11月の時点で55万部。ドラマ第1話放送後に、売れ行きが伸び、2006年1月に100万部を突破しました。2007年4月時点では、120万部を超えている大ベストセラーとなっています。その頃、私も家族の勧めでこの小説を読みました。
幼少時、初恋の少女を助けるために父親を殺した少年。その少年を庇うために母親の命を奪った少女。彼らの残酷な14年間の愛の軌跡を描いた物語が「白夜行」です。私は同情人物の図を作り、それぞれの関係を表にしながら読んでいました。複雑に絡む人間関係の中からミステリを解く鍵を見つけるのは推理小説の一般的な読み方だと思っていたからです。もちろんすこしずつ犯人に辿り着く楽しみもありました。
ストーリーは1973年の大阪。ある質屋が殺されました。何人かの容疑者が捜査線上に浮かびますが、どれも決定的な証拠はありません。最後に被害者と会った女がガス中毒死して、事件は迷宮入りを迎えます。
被害者の息子である桐原亮司と, 容疑者の娘の西本雪穂。2人のその後の人生は順風満帆ではなく、次々忌まわしい事件が降りかかります。随所にさまざまな伏線が張られていますが、壮大なスケールでのストーリー展開は、こまかな謎の存在などどうでもよいという印象すら与えてくれるほど。さてその結末は…
この小説はTBSによってドラマ化されています。原作と違って最初から犯人を明らかにしてこのドラマは始まっていました。ドラマでは、原作にほとんど描かれていなかった亮司と雪穂の関係が描かれています。
しかし、時代の整合性上、殺人事件が発生したのが1973年ではなく1991年となっていて、第1話導入部でいきなり原作のネタバレを登場させたりするなど、ドラマでは原作と大きな相違がありました。視聴者からは「小説のイメージと主要キャストの雰囲が違う」という意見も多数寄せられました。さらには、映像化そのものに反対する意見など,さまざまな声がTBSに寄せられました。
原作者は、内容の改変に寛大な作家としても知られていますが、本作では「原作とドラマでは、主人公の性格が180度違う」という異例の発言を行なったそうです。原作に大幅な手を加えたことについて、石丸彰彦プロデューサーは雑誌のインタビューで「亮司と雪穂をモンスターにしたくなかった」と語っています。
韓国版『白夜行』予告編
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