新木場は始発駅なのでほとんどの場合、席に座って居眠りをする。
今朝も同じく、新木場から有楽町線のいつもの車両に乗り、空いた席に座って居眠りをしていた。たまに目を開けて停車駅の確認をする。
永田町で降りなければならないが、何回か麹町駅まで行ってしまい戻るのに苦労をした経験がある。麹町えきのホームは上下線が同じホームを利用する永田町駅と違って、乗り換えるためには階段を上り、改札口を一回出なければならないので面倒である。
いつものとおり、停車駅を確認するため目を開けると、背広の左胸ポケットに赤系統のシルクハンカチを刺した老紳士が前に立っていた。朝の通勤電車ではあんまり見かけない姿だったので、つい観察してしまう。背が高くないせいか、珍しく靴底が厚い、だけどしゃれている紳士靴を入っている。見ているうちに目が合ってしまい、困った私はまた目をつぶって眠ったふりをする間に本当に寝てしまった。
目が覚めたのは、座っている私に人が打つかってきたからであった。びっくりして目を開けると、先まで前に立っていた老紳士が中心をなくしてふら付いている。直感的に事態が普通ではないと感じる。瞬間、私は立ち上がり、「どうぞ、お座りください。大丈夫ですか?」と声をかけた。よく見ると彼は顔色が良くなく、冷汗をかいているよう見える。「駅員を呼びましょうか?」と聞いたが、次の駅で降りるので大丈夫と言う。並んで座っている人々はただ見ていた。明日はわが身かも知れないその状況、もし私に同じく急に具合が悪くなっていたら、そして満員電車で座ることも、駅員を呼ぶことも出来ない状況になってしまったら、誰かが声をかけてくれて、駅員を呼んでくれるのだろうかと思いながら、永田町で降りて、坂を下って会社に向かって歩く。
9月30日、今日で今月も終わりかと思ったら、今年も残りあと3ヵ月・・・9月の天候は波乱万丈だった。気温の変化も激しく急上昇と急降下を繰り返しながら秋に向かっているようだ。

世間の経済状況も同じだった。
9月26日付けの「統一日報」の対談記事の出だしは「欧州発の金融危機が世界的な関心事になっている。危機は各国の国債等級引き下げや米国の信用不安につながり、日本には急激な円高という形で影響をおよぼした。その一方で韓国はウォン安に陥っている。解決策の見えない金融不安に打つ手はあるのか。」であった。
ところで、リビアの独裁者カダフィ大佐は今どこに隠れているのだろうか・・・金部長の話によると、リビア国内に隠してある金塊300トンを無事に外に運び出すまでは国内で粘るのではないかという噂もあるとか・・・