床屋道話 (その19 北朝鮮化を進む日本)


 偉大な領袖の下、強勢大国の門を開いた北朝鮮は、世界人民の導き手となっている。遅ればせながらわが日本も、その後を追うべくいよいよはっきりさせてきており、慶賀にたえない。

「決断できない政治」よさらばである。この点において我が国で最もかの国の指導者に近いのは、橋下徹大阪市長である。「今の政治に最も必要なのは独裁」という彼の勇気ある発言こそ、真実のかなめである。戦後の日本はGHQに洗脳されて、デモクラシーだリベラリズムだへちまだと空騒ぎしていたが、だんだん夢から覚めて独裁に近づいてきた。(韓国が少しずつ逆の道をたどっているのは残念だが。)橋下氏が言うように「無駄なものは議会」である。彼も府議会や市議会をいっきに廃止はしていないが、形骸化を進めてその準備をしている。すなわち改革会議とかなんとか直属の機関をつくり、そこに応援団の知名人(たとえば堺屋太一氏)や側近を送り込んで、実質的な決定を行うようにしている。議会の次に無駄なのが抵抗する公務員である。職員は橋下氏の顔色をうかがって忠実に仕事をすればいいのである。ところが中には自分の政治的意見などを持って、橋下氏の対立候補を支援するようなとんでもないのがいる。公務員はすべからくロボットであるべきであり、政治活動(選挙運動や政治集会への参加などだけでなく政治性のある演劇なども含む)に刑事罰を科す条例を提案したが、バカ中央官僚がそれは憲法違反だと邪魔にはいった。やむを得ずさしあたりそういうやつは首ということで我慢したが、「維新の会」が中央政界で力を得れば(その可能性はいまや大きいが)、他の自治体や国家公務員にも広がり、ひいてはGHQ製の亡国「人権」憲法の破棄にもつながろう。スピーディな橋下戦略は、しかし長期戦略も欠けていない。すなわち教育改革である。競争を強め、仲間との信頼や協力などを信じない人間をつくること。大事なのは上に立つ者と国家の命令への忠誠であること。生徒や教員を監視し処罰するだけでは足りない。政治から独立した「行政委員会」という名目で逆らうバカ教育委員会とたたかい、独裁者が直接教育目標をたてられるように変えた。
 
 この橋下氏がこのごろの野田首相を絶賛した。自民・公明と談合してついに消費増税を決めた。人民は飢えても権力者が肥え太ればいいのである。自公民はそれを知っている。ただバカな大衆はわからないヤツもいるので、財政破綻と脅かし、大衆増税以外の道はないと思わせることにしている。竹下内閣で導入し、村山内閣で増額して、増えた税収の分、福祉も年金にも行かず、ほぼ同じくらい法人税が引き下げられており、大金持ちの所得税も下がっていることなどは知らせないことだ。この成功はやはり独裁化のたまものだ。我が国では小細工が必要なので、分身の術を使い、ロッキードのときの新自由クラブ、佐川のときの日本新党などをつくって複数の選択肢から国民が選んでいるかにみせていた。自民と民主の違いはカレーライスとライスカレー、鳩山邦夫と鳩山由紀夫の違いでしかないのだが。それでもこの見えざる翼賛会に歯向かう奴もいるので、これをさらに減らすのが次の重要課題だ。すなわちこうした少数派の議員が選ばれやすい比例定数を減らすことであり、これは「身を削る」と称すれば、消費増税と同様マスコミも援護するだろう。

 そして何より大切なのは核開発だ。原子力基本法改定で、原発も「安全保障」目的が認められた。JAXAの改革でも宇宙開発の「平和利用」というかせがなくなったので、いまや我が国も核兵器の保有に進みつつある。石原都知事が以前から主張しているように、核兵器に転用できるからこそ日本は原発を推進すべきなのである。はじめ大げさに反対していた橋下氏が再稼動を認める方針に転じたのは、はじめから脱「脱原発」を大きな目的として菅内閣にかわった野田内閣に大きな励みとなった。自虐的な姿勢で近隣諸国との「友好」を贖うのでなく、むしろ外からの「危機」をうまく利用して、時には「瀬戸際」に立つこともおそれず、軍拡を続けるべきである。マイナンバー制も準備が進んでいる。国民ももっと監視カメラをつけてほしい、という声が多い。独裁体制は一人ひとりをすみずみまで監視し・管理してこそうまくいく。ロケットからコンピュータまで、トップクラスの技術力を持つ我が国はまた、その社会的目的は自分では考えないオタクテクニシャンの家元でもある。北朝鮮に追いつき追い越す日は近い。


添付画像

平壌、ヘルス・センター蒼光院内の床屋↑





 

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2012/09/04 17:43 2012/09/04 17:43
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