「文ちゃんの浦安残日録」 (Ⅰ- 4)
2011年3月2X日(X)
見明川防災本部から朗報があり、下水道復旧工事が急ピッチで進められているなかに、曜日指定で洗濯機・風呂の使用が試験的に可能との由。久しぶりで自宅の風呂に入ろうるとした矢先のさらなる連絡で、この地区の排水規制が全面解除となった。ブラボー!
夜分は零度前後となる避難所で不自由な暮らしを強いられている被災者の皆さんに、「なんだか申し訳ないみたい」と言うお千代と並んで湯船にひたった。
事故発生から十五日。福島第一原発の危機的状況打開のメドは、まだついていない。
当初からの東京電力の鈍い対応にイラついた政府の指揮ぶりもモタついて、打つ手が後手後手にまわっている感は否めない。でもそれを論っているときではなく、試行錯誤を重ねながら体制を整え、必死で取り組む外ないだろう。
各号機の深刻な状況を伝えるテレビ報道にいらただしさを感じているのは、私だけではなかろう。東電側が把握していながら知らせず、高濃度放射能の水に足を晒した作業員が被曝するなど、危機管理体制の脆弱さを云々されてもしかたない。
こんな有様に、原発事故対応の基本“停める・冷やす・閉じ込める”での“冷やす”機能の電源が失われたと分かった時点で、いち早く海水注入を決断すべきではなかったか、と素人ながら言いたくもある。
“安全神話”を振りかざして原発設置を推進した電力会社・監督官庁と、地震・津波の想定規模を提案した学者・技術者らは、この想定外(?)の天災の数多の犠牲者の死をムダにしないよう、原発の今後を抜本的に見直す責務に、」真摯に取り組んでほしい。
国難と称するほど未曾有の危機的状況のなかで、情報通信の重要性を再確認したい。
原発・被災者支援の「官邸主導体制」と「セカンドオピニオン集団」を整える官邸の慌しい人事発表にも、情報処理・インフラ整備や危機管理の専門家がふくまれているが、大災害の憑き物、流言蜚語に振り回されないように、正確で分かりやすい情報を迅速に伝える体制づくりも遅れていたようだ。
原発を建設した関連メーカー・土木建築業者などの復旧現場作業を統括する東電の力不足も感じられる。メンツを捨て、会社組織の旧弊を破って危機を打開してほしい。
NTTグループは、情報通信インフラの復旧と維持に総力を挙げて取り組んでいることだろし、“電電建築”技術者の後輩たちがいるNTTファシリティーズも、情報通信施設
建物や通信鉄塔の被害調査や修復に大童と聞く。
また、NTTのBHN(Basic Human Needs)組織は、人類にとって衣食住と同等に不可欠なICTによる国際援助活動をしてきたが、役割遂行の機会が国内に生じたのだ。
ニュージーランド震災の瓦礫の下からの救助を求めるメールが日本に届いて、一命が助かった人の記憶も新しい。大きな災害時の情報通信の機能確保がいかに大切であるかは、NTTで仕事した私たちの肝に銘じている。
千年に一回というマグニチュード9.0の体験で、情報通信インフラや建築都市の耐震設計上、かってない大幅な見直しが必要となるだろう。