「文ちゃんの浦安残日録」 (Ⅰ―18)               

                                                                                                                       2011
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早大卒建築家・絵画グループの春季「彩寿会展」・パーティに招かれ、楽しいひとときを過ごした。NTT建築部門OB仲間の一人倉橋潤吉さんの、いつものご好意のお陰だ。秋季の展覧会は、三田にある建築学会・建築会館ギャラリーだが、春は、銀座が会場。

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 多士済々の絵が架けられた会場中央の卓上に、ご馳走やワインの瓶がズラリと並ぶ。「彩寿会展」のパーティーの魅力の一つは、愛知万博のプロデューサー原田鎮郎さんが呼ばれる音楽家の演奏。いままでに、ピアノ・二胡・ギターなどの演奏をほろ酔い気分になってから聴かせてもらったが、今回は、オカリナの富蔵さん。原田さんが、万博で名古屋市に滞在中にみつけられた料理店のオーナーだったと紹介された。
 二回のステージの演奏はこころに沁みる音色がすばらしく、楽器の半ばは自作と聞く。

 東日本大震災犠牲者の冥福を祈る黙祷で始まったパーティに相応しくて、私の好きな 曲でもある[What A Wonderful World] の演奏の末尾に『ふるさと』が挿入されていたので、そのわけを伺うと、3年ばかり前のパーティーでギターを弾かれて間もなく故人となられた方(仙台在住だった)の編曲で、ご冥福を祈って選ばれた由。すばらしい。

 愛知高原の酪農家での住み込み経験をもつ富蔵さんは、自然に学ぶことを身につけて、山歩きや自然写真を始め、写真エッセイ集『Seed』を出版(1991)。オカリナの演奏家活動を1993年に開始して、初のCD『轟』を発売したのが1999年という。

 料理店オーナーからの見事な転進ぶりにいたく共感したので、ご持参のCD『富蔵』を求めて、サインをもらう。これをご縁に、お互いのメッセージを交歓し合いたいと、唄い・描き・詩文を書く活動を列記した手作り名刺を渡した。

 会
場で、日本建築学会男声合唱団の創立20周年記念演奏会で一緒に唄ったテノールの田嶋さんと5年ぶりに再会。来春の25周年記念演奏会に向けて、彩寿会メンバーの田畠さんとも唄っているから参加しませんかと誘ったが、どうやらコーラスは“ご卒業”の様子。各人の残日は、それぞれの気の向くままにが一番よかろうと思う。

 絵画展といえば、われらがNTT建築技術者OBの「みなづき会展」も来週だ。昨年同様、「松本文郎のブログ」への掲載をT新聞社のM女史にお願いしたばかりだ。

 今年の出品作品は、『被災地浦安の春』と題し、3・11の約一ヶ月後“花まつりの日”から3日間、「ふれあいの森公園」に通って描き上げた。

大地震のせいか、東京湾からの稚鮎の遡上が例年より早まった見明川沿いの桜並木は満開で、その背後に見える家並みのなかには、液状化で傾いたままの家も見えている。

芽吹きはじめた大芝生には枯芝が混じり、周囲には、芽吹きの兆しが現れたばかりの裸木もあるが、風薫る五月になれば、芝も木立も新緑に染め上げられ、ライフラインの寸断で不自由な暮らしを余儀なくされた公園周辺住民の憩いの場所になるだろう。

20余年来の日本語教師を辞したお千代は、「ふれあいの森公園を育む会」のメンバー

になったばかり。開園して数年の「花いっぱいクラブ」のベテラン女性から教えてもらいながら、苗の育成・雑草取り・花植えの土仕事にいそいそと出向いている。

 未曾有の大震災をたらした自然はいま、季節の花々と風に光る新緑で、傷つき疲れた私たちのこころを癒してくれている。

 自然の一部である人間は、もっと謙虚に生きなければと想う。



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2011/05/26 12:06 2011/05/26 12:06
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