「文ちゃんの浦安残日録」 (Ⅰ―21)
2011年6月ⅹ日(ⅹ)
Ginnyさんの「Let’s enjoy chats and debates in English 」の 2011年前期クラスが始まった。浦安市国際交流協会の外国語学習講座の一つ「中級英会話」のことである。
前年の前・後期に参加して3期目となる。2,3人の新人を除いて親しい顔ぶれだ。
Ginnyさんはシアトル出身の女性で、20年前に来日。新潟の高校で英語教師を8年間勤め、日本酒・酒盗・納豆などが大好きになる。日本の伝統文化にも、かなり詳しそう。
クラスメイトの三分の二は女性で、日本人だけでなく、ロシア・中国・韓国系の人が混じる。定員は20名だが、受講を始めてからレベルが追いつかず中退する数人がある。
通常は3月からの前期が、東日本大地震の被災地になったために教室が使えなくなり、5月半ばにスタート。毎期の世話役「CDR(コーディネーター)」2名は籤引きで選ぶ。今期は籤が当たったロシア系美人ユリヤさんと、自分から手を上げた私でコンビを組む。
外国語学習グループの14クラスのCDRは、月1回、土曜の夜の定例会に出席して全体行事などの打合わせ・連絡をするので、男声合唱団の練習と重なる私はユリヤさんに定例会への出席をお願いすることにした。
ところが、初回の定例会に出たユリヤさんが、そこで話される早い日本語のスピードにヒアリングが追いつけず、役目が果たせないと訴えて、数年参加のベテラン高山さんに交替してもらうハプニングが起きた。変則的な3頭立てCDRもわるくない。
“Chats and Debates”の話題は、Ginnyさんが準備する資料で示すものと、輪番で担当するショートスピーチのトピックスなどで、質疑応答をきっかけに談論風発が始まる。
浦安が思いがけない被災地となったので、当面のトピックスは地震・原発・節電だ。常日頃使わないヴォキャブラリーを、Ginnyさんだけでなく、みんながよく知っているのに感心する。各人の節電の具体策を提案し合ったが、私は、朝日新聞社が公募した提案論文で書いた『脱原発とエネルギー政策』から、2,3の私見を述べた。
エネルギー政策を立てる経済産業省資源エネルギー庁などによる日本全体の発電能力は、原子力を1とすれば、水力1、火力4で、震災前の操業率は、水力ほぼ100%、火力と原子力はそれぞれ50%前後だったから、火力を65%にするだけで電気は余る。原発がすべて停止・廃止されても、問題はないことになる。しかも、全体需要の20%近くは自家発電で、その90%が火力、10%が水力だ。大手企業は電力会社から電力を買うより安い自家発電設備を使っているのである。
朝日新聞掲載の国際エコノミスト齋藤 進氏の「原発なき電力供給は目前」によれば、昨年の原子力発電実績を新型発電設備のガスタービン・コジェネレーション(熱電併給)に置き換えても、必要な新規投資額は8千億円程度で、その熱効率は、既存火力よりも30~50%も高く、二酸化炭素の排出量も大幅に下がるという。
それを聞いたGinnyさん。「超暑がりの私にとっては、この夏が生死の問題なのヨ」と太った体をゆすった。日本の大手重工業メーカーはこの種発電設備を短期間で製造・設置する力をもっているから、2,3年ほどガマンしてもらい、私たちは、エアコンが家庭に普及する以前の、「方丈記」の鴨長明流に“家のつくりは、夏をむねとすべし”の暮らしに戻ればよいだけなのだが・・・。