「文ちゃんの浦安残日録」 (Ⅰ―34)
前立腺がん検査 2011年12月29日(木)
あわただしい年の瀬に、病院を2回往復することになった。
7年前から右肩上がりで上昇してきた前立腺PSAの数値が、昨年10月の血液検査で30.36となり、担当医にMR検査を勧められたからである。
7年間の数値上昇の途中で2回の生検、エコー・触診、CT検査などを受けたが“白”だったし、夜中に2度ほどトイレに行く外、なんの症状もなかったので、3回目の生検を勧められても、受けずにきたのである。
前立腺がんの診断は、生検で細胞を採取して確認するしかないとされるが、十数本の針を刺す採取方法では、がんに当たらないで“白”となる確率もあり、PSAの値が肥大とがんのいずれを示すものなのか、よくわからない面もある。
担当医は、MR検査はがんの広がりを見つけやすいのでよく採用していると説明した。
わが街浦安には、天皇陛下の前立腺がんを診断した、高校の後輩Tさんが住んでいて、
2年ほど前、セカンドオピニオンを求めたことがあるが、自分で検査・診断しなければなんとも言えないが、「松本先輩の日常生活の様子を聞くかぎり、歳相応の肥大と思われますがねエ・・・」だった。
妻のお千代は、「お尻の穴から指を入れられるのが好きならともかく、生検はもうやらないで、初めてのMRを受けてみたら」と宣うた。
12月21日に、血液検査とMRを受け、27日に検査結果を聞きに行った。<唄う>趣味だけでも、特養老人ホーム「愛光園」訪問のクリスマスコンサート、端唄「千鶴会」の発表会、IKSPIARI第九の練習をこなした、あわただしい年の瀬だった。
コンピューター画面にMR検査の画像を出して待っていた医師の前に座ると、
「まず、血液検査のPSAですが、10月の30.36から 24.15に下がっています。でも、 8月の 21.33よりは上です。ところでMR検査の方は、ご覧の画面に写っている白い
弧が前立腺の一部です。その右側にある2つの白い点は、近くのリンパ節と骨の一部にあり、それらから、前立腺の進行がんの疑いをもちます」
「・・・・・・」
「以前から申し上げているように3回目の生検を受けられ、早く治療を開始されるのがよろしいのではないでしょうか」
検査結果の診断を聞いた私に、20年前に食道がんを告知されたときの“青天の霹靂”の驚きは全くなかった。前立腺がんの診断は生検によるほかないから、他の検査はあくまでも傍証に過ぎない。
「歳相応の機能低下はあっても、日夜、お千代と“仲良く”過ごしている実感を信じ、元気に楽しく<唄い><描き><詩文を書く>残日の生き甲斐とQOL(生活の質)を乱す懸念のある薬冶療法など、受けたくないのです」と、これまで繰り返してきた同じ言葉を医師に告げた。
とはいえ、2ヶ月前に急逝した1歳年上の知人の夫人から、前立腺がんが頚椎に転移して首の神経を侵し、発声も不自由な末期だったと夫人から聞いていたので、3回目の生検ではなく、医師が勧める「骨シンチグラフィ」(放射線で全身の骨の異常を検査)を正月早々に受けることにした。