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『華やぎⅠ・刹那の彩り』
 
  近所の「ふれあいの森公園」で向日葵が咲き誇っていた。カルメン色のカンナのように、暑い夏がよく似合う花だと思う。数年前、お隣りの庭の大輪を垣根越しに描いて、「文ちゃんの画文展」の作品で出したのを、海外勤務と食道がんの戦友Sさんが気に入ってくれて、お見舞いに差し上げたことがある。3ヶ月の命と告知されていた彼は、3年余りを生きてから旅立った。
 この向日葵をスケッチしたときは、6月の「みなずき会展」に出品した「ふれあいの森公園の新緑」のような、普通の写生画でと思っていたが、がん闘病後に復帰してコンサートを開いたロック歌手の忌野清志郎さんが亡くなり、加えて、精神統合失調症の女性画家アロイーズの展覧会を観て受けた衝撃が、なぜか、初めてのコラージュを試みさせることになった。
 向日葵の日々の変容の強烈さが森羅万象の「無常」を印象づけ、過ぎて行った人びとや時間への想いをかき立てたようだ。
 すべての人々の人生に“刹那の彩り”があるが、釈尊の「色即是空」は、アインシュタインの「量子論」に通じ、すべてのものは「刹那刹那に、“無”から生じて“無”に還る」のだと思う。
 反骨の歌を唄った清志郎に加えて、圧制と動乱を経て、今華やぐプラハの街の時計盤、京都・時代祭の巫女、大学共闘に燃えつき挫折した日本の若者たち、闘病後に復帰してがんばっている演歌の坂本冬美らを選んだ。すべては、イビジョン映像を写真に撮って加工したもの。
 アロイーズ展で求めた図録のカラーコピーもあるが、関係者のお許しをいただけると信じる。
 展示直後の深澤孝哉先生の講評で、「向日葵の葉の色は好きだが、写真の一部にも同じ色を掛けるといいネ」と言ってくださった。
 初めてのことでおっかなびっくりだったが、コラージュの面白さが少し分かってきたので、次は、もっと大胆にやってみることにしよう。
 後期高齢者などと侮ってほしくない! 私たちにも、まだまだ“刹那の彩り”は残されている。
 間もない選挙でどの政党が政権をとっても、敗戦後の灰燼から立上がり、驚異的復興を果たした世代を軽視することは、許されないですぞ!

2009/08/29 15:53 2009/08/29 15:53
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