第30回「市美術展」のご案内
見明川住宅内のケヤキ・クヌギ・サクラなどの紅葉が、眼を楽しませてくれています。
暦の上では立冬を過ぎましたので、まさに“冬紅葉”です。
今夏の長い猛暑の余韻が先ごろまで残っていたのが、急に、冷え込んできましたので、紅葉の発色はとても鮮やかで、住まいの周り、川沿いの桜並木、「ふれあいの森公園」の木々の“錦秋”に、絵心を誘われている日々です。
冬紅葉眺むベンチに陽の温し ふみを
さて、「市美術展」のご案内が、諸事多忙にまぎれ、たいへん遅まきとなりました。
あしからずご寛容くださり、ご高覧くだされば幸いに存じます。
この公募展には、平成7年に初入選してから毎年出品してきました。
初めて応募した頃、2千人を越える来場者があると聞き、個展・グループ展に比べて大勢の人びに見てもらえるのがうれしくて、今日に至りました。
今年の応募作品は『原初の光』(墨彩・20号)と題した、心象的な絵です。
ビッグバンで始まったとされるこの宇宙に光が生じ、太陽系で46億年経った地球にも、光が絶え間なくそそがれてきました。
数百万年前に猿類から分化した人類は、ながい年月のなかで、知恵と富を蓄積して
文明を築いてきましたが、初めは平和だった人類社会に、富と統治権力をめぐる争いや戦争が生じ、折々に聖人が現れてその非を教えました。釈迦、キリスト、ムハンマドらです。
それらの教えにもかかわらず、いまだに争いや戦争が絶えません。
『原初の光』は、人類出現以前の朝の光のイメージを作品化したものですが、この宇宙の地球という星に生を享けた私なりの、人類融和への祈りのメッセージです。
自己流の墨彩・水彩の作品は「日本画」部門に応募・展示されてきましたが、伝統的画法の技術も不勉強で未熟な、“想い”ばかりの拙画です。
ご高覧くださり、ご感想を伺うことができれば、望外の喜びに存じます。
「松本文郎のブログ」に長期連載中の『アラブと私』も(38)となり、数日後の原稿締切り前の執筆に集中したいところですが、“錦秋”の彩りが褪せるのが気がかりです。
執筆の合間の散歩にスケッチブックを携え、移りゆく秋色を描きとめたいと存じます。
末筆ながら、ご健勝をこころからお祈り申しあげます。
平成22年 神無月 吉日.
松本文郎 拝